村便り:2018-01-06(土)/07(日) (仕事始め)
投稿日:2018-01-12(金)
1月6日の午後から仕事始め。
(クリックで画像の拡大) 最後の脱穀が終わった時の「記念写真」。 脱穀機には藁カッターが左側についていて、脱穀した藁をその場で切断する。 ちなみに、背後の山は灰ヶ峰(標高737m。田んぼは300mをわずかにきる標高)。頂上に登ると、村とは反対側に呉市街と瀬戸内海が見える。呉は最近話題になったアニメ「この世界の片隅に」の舞台。 なお、《仮面をかぶった》(笑)人物は私(てつ人)でありません。 |
去年の米の収穫作業が終わったのは、12月6日。稲刈りは、雨のせいで例年より半月遅れて11月2日から始め、完了したのは11月17日。それから稲架に干していた稲の脱穀を始めたのが、11月20日で、それが終わったのが12月6日、というわけである。だから、収穫作業はまるまる1カ月かかったことになる。
(クリックで画像の拡大) 藁カッター。 切断されていない藁を切断するためには、(脱穀機付属のカッターではなく)独立した動力藁カッターを使う。右から入れた藁は、左から切断されて排出される。 |
脱穀が終われば、今度は春の荒起しが始まるまで、田んぼの仕事は休みかといえば、そうではない。脱穀のあとに残った藁を処理する作業がある。藁葺き屋根の家に住み、役牛を飼っていた時代では、藁はいろいろな用途に使われた。しかし、現代では藁は使い道がほとんどない。だから、焼却したり、裁断して田んぼに鋤きこんで有機肥料にしたりする。私は、鋤きこんでいる。
藁を鋤きこむ場合、冬の早い時期にする必要がある。春に鋤きこむと、田植えまでに十分に腐熟しないので水の表面に浮いたりして田植えの邪魔になるし、田植えをしてからは、幼苗を押し倒したり、泥の中で腐ってメタンガスを出したりする。だから、できれば年内に鋤きこむ。田んぼ全面に切った藁を撒き、トラクターなどで耕耘するのである。すると、藁は土と混じり、腐熟が促進される。藁を鋤きこむと、稲作の1シーズンが終わった、という気持ちになる。しかし、私はいままで年内に鋤きこんだことがない。むしろ、鋤きこむことができなかった。そこで今回こそは年内にやろうと思っていたが、またしても果たせなかった。それでも、藁を田んぼ全面に撒くところまでは年内にできた。(これができたのは初めてのことであり、私にとっては快挙である。)
(クリックで画像の拡大) 側溝を浚ったところ。泥は左側の田んぼにあげた。左側は長い間休耕している(事実上、耕作放棄状態の)他家の田んぼ。 |
仕事始めは、前年にやり残したことの続き。藁の鋤きこみは寒が明けるまでには、すなわち、1月中にはやりたい。トラクターで鋤きこむためには、田んぼの土が乾いていた方がいい。そして、水が溜まっているようだとできない。ところが、ダブ[湿田]はもともと乾きにくいうえに、今は排水路が詰まって水がはけにくい状態になっている。そこで、排水路を浚って水はけを促そう、と考え、その作業を仕事始めとした。
作業をおこなうダブは、田んぼの外周全体に横手[水を張って稲を育てる部分の外周の、すぐ内側に設けた通排水路]がつけてある。横手は農道の側溝につながっている。ところが、その側溝からして、水の通りが悪くなっている。側溝は、長年、浚っていないので、泥が溜まり、その泥に草が生え、根が泥の中を縦横に伸びている。底は泥マットを敷いたようになっている。だから側溝から、作業を始めなければいけなかった。泥マットは一挙に除くことはできない。水を含んでいるので重い。スコップや鍬で切断しながら除いていった。
(クリックで画像の拡大) 横手を浚ったところ。 |
それが終わると、横手を浚う。鍬や鋤簾[じょれん。幅広の鍬のような形状をしている。泥や砂をすくうための道具。]を使い、泥の中に入ることもあるので、田靴[田植靴。水を張った田んぼの中に入るための柔らかいゴムでできた長靴。]を履く。
(クリックで画像の拡大) とんど。 |
なんとか日が暮れるまでには作業が完了した。今日、7日は、来週土曜日にやるとんど祭りのため、村のあちこちで、とんどをまいていた。とんどは村の自治会が5つの班に分かれて、それぞれひとつ、まく。村は五つの集落からなっているが、集落が班の単位になっている。私は村には住んでいないので、村の自治会には属しておらず、したがって、とんどをまく作業には参加しない。田んぼから帰りに、もし私がこの村に住んでいたら属しているだろう班が作ったとんどの前を通った。