自然畝への転換
投稿日:2006-09-27(水)
最近、慣行農法で耕作していた畝を自然畝[自然農法で耕作する畝]に転換した。慣行畝から自然畝への転換は、「自然農法爾」の二番目の記事で、五年前に書いたことがある。当時のやり方は、秋に慣行畝で最後の作物を栽培して、そのまま翌春から自然畝にする、というものだった。今回は、転換したシーズンからただちに作付けをするつもりで、慣行畝を自然畝に転換した。この記事では、そのやり方を簡単に報告する。
畝作りして表面に草を敷く
問題の畝は、直前まで慣行栽培を行っていたわけではなく、去年の5月に落花生を植え付けたあと管理を怠っていたところである。落花生は発芽がよくなかったうえに、発芽したものも草の中に埋もれてしまい、結局、収穫をあきらめた。去年の秋、草だけは刈り、畝に敷いておいた。それからは草は生えるままにしておいた。両隣は自然畝なので、その畝も自然畝にするつもりであった。しかし、落花生を栽培したとき、元寄せをしたので、畝の表面が凸凹になっていた。そこで一度、畝を作り直して自然畝に移行しようとおもい、9月21日に耕耘して畝作りをした。
畝にはムカシヨモギがたくさん生えていた(土地の植相によるのだろうが、自然畝に転換すると最初はムカシヨモギが畝の優勢雑草になる)。そこで草は草刈り機で刈り払い、燃やした。ムカシヨモギの茎は枯れると硬くなり、それが畝にたくさん転がっていると作業がやりにくいからである。それから、耕耘機で土をひっくり返し、畝を作った。二年間、草が生え鍬を入れなかった畝なので、土をひっくり返すとミミズがところどころに出てきた。
表面は草などで覆う。別の区画の畑に、秋の植え付けをするために刈り払った草が積んであった。その草を運んできてたっぷりと畝に敷いた。草はエノコログサが主体である。むろん時期的にエノコログサの種は熟している。だから、畝に敷くと同時に、エノコログサなど草の種を蒔いたことになる。
自然畝には雑草の種を「蒔く」
自然畝に転換した最初のうちは、意外なことだが、雑草はさほど生えないものである。慣行畝の時代に草取りを励行したおかげで、畝に草の種が少ないからである。ところが、自然畝は草が繁茂し、しかも畝の表面は常時、枯れた草に覆われるようにならないと作物はうまくできない。慣行畝時代の管理によるが、私の経験からいうと、自然畝が成熟しはじめるまでに三年はかかる。いかにも自然畝といった風情になるのは、五年くらいかかる。草との共生栽培だと頭では分かっていても慣行農法時代に身についた習性はなかなか消えない。だから、自然農法を始めた当初は、畝に種のついた草を入れるのはためらわれた。しかし、自然畝の成熟を考えれば、積極的に雑草の種を蒔いてやればいいのである。たとえば、初夏には、種のついたカラスノエンドウを、それが生えていない畝に入れてやる。すると、秋には発芽し、春には繁茂する。豆科の植物だから畝を肥沃にする効果が大きい(と思う)。
(クリックで画像の拡大) モグラが根元にトンネルを掘ったために枯れたそら豆(2006年5月) そら豆が萎れていた。最初は原因が分からなかったが、根元を見るとモグラの穴があいていた。我が家の畑にはモグラがいる。とりわけ自然畝は餌が多いので、畝のなかをモグラが縦横にトンネルを掘っているようである。作物の定植穴を掘ると、トンネルが見えることもある。しかし、トンネルのせいで作物が枯れる例はほとんどない。 |
ただ、草の種でも、多年草は入れないようにしたほうがいい。種類によるが、一度入ってしまうと、頑固に居すわって優勢雑草になり、始末におえなくなる場合がある。たとえば、ヨモギやチガヤがそうである。(やっかいと思える多年草とも共生できるかもしれないが、現在のところ、私は《迷惑》多年草には、畝からお引き取りねがっている。)
枯れ草に覆われていると、素人の大雑把な観察であるが、その下ではいろいろな生物が棲息する。裸の慣行畝よりも、当然のことながら、自然畝には生物が多い。耕耘機で土をひっくり返した時とばっちりを受けて土の表面に掘り出されたミミズも繁殖するはずである。むろん、ミミズなどを探して、モグラもやってくる。モグラの穴掘りのせいで萎れた野菜が出ることもある。
さて、この転換畝には、今秋、実エンドウを蒔く予定である。最初に植え付けする野菜としてはあまり肥料を要求しないものがいいだろう、と考え、エンドウを選択した。結果は来夏、五月下旬をお楽しみに!