☆ 2017-04-06(木) ☆ モクレン
投稿日:2017-04-07(金)
畑と屋敷の境にあるモクレンが満開になった。モクレンの白い花は寒さに弱い。開花してから霜が降りると茶色くしおれてしまう。そして、開花後の降霜は珍しいことではない。
(クリックで画像の拡大) 満開のモクレン。 モクレンのすぐ後ろは月桂樹、その後ろに見えている枝は山桜。 |
3月31日(金)は季節外れの雪が降った。雪が舞う、といった程度ではなく、村では夕方には雪が積もった。その時はモクレンは蕾か咲きはじめたばかりの状態であった。モクレンの花がやられるかと思っていたが、蕾は強いようである。何の被害も受けなかった。そしていま満開。
このモクレン、正確な記憶はないが20年近く前に母が苗木を植えたものである。正確には、母に依頼されて妹が植えたものである。私には事前に何の相談もなく、植えられたあとに、気づいた。妹に詰問すると「おばあちゃん[母]が、どこでもええけん、植えといてくれ。あとから植え替えることができる、と言ったから」と母に責任を転嫁して、かわした。野菜苗を移植するならともかく、木の移植は簡単にはできない。私はむかついた。
それからモクレンは植え替えられることもなく、隣の月桂樹と競り合いながら大きくなった。最近は、月桂樹の丈をつづめて、モクレンに枝を伸ばす空間を広げてやろうか、と思っている。
モクレンのことを書き始めたのは、それがここで生育し始めた経緯の記憶を綴りたかったからではない。つい綴ってしまったのは、モクレンを見るとよくそのことを思い出すからである。
閑話休題。私にとってモクレンは、とくに開花の頃は、目につく。それゆえ、季節の進行の指標みたいに見ているところがある。
「暑さ寒さも彼岸まで」と直前の「天地人籟」に書いたが、春の彼岸は暦上で固定している。しかし、寒暖は年によって早まったり遅まったりする。自然は暦ではなく実際の寒暖に反応する。だから、暦上の日にちよりも、春なら開花が寒暖の変化をより正確に示す。その意味で、モクレンは「季節の進行の指標」なのである。(むろん、モクレンの開花ではなく、ソメイヨシノの開花でもいい。)
モクレンの開花は今年は少し遅いのかもしれない。モクレンが咲くころになるといよいよ春の暖かさが始まる、という気がしないでもない。その満開をめどに、私は、温床の苗に夜のあいだ防寒のために莚をかぶせてやるのをやめる。気温が明け方に氷点下になると発芽したばかりのトマトとかナスとかがしおれてしまう。モクレンの開花はそのような寒さが遠のいたことを示すように思える。