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村便り:2013-11-22(金) (稲こぎ開始)
投稿日:2013-11-23(土)

 稲こぎ(*)を始める。ここ一週間は晴天続きだったので籾は十分に乾いている。十分でなくても、スケジュールを考えると、こぎ始めないといけない。流行語の「今でしょう」ではないが、今を逃してしまうと、稲は稲架にかかったまま年を越してしまう(現実味を帯びてはいるが、むろん誇張)。それでもこぐ前に一応、水分計で水分含有量をはかってみる。15.1%。合格! である。出荷するには14.5%に調整しなければいけないらしいが、自家用だとこのくらいで十分。乾きが悪い時期だと16%をきれば、こいでしまう。そして、その分は早めに(梅雨に入るまでには)食べてしまう。
(*)「こぐ」について。
 「脱穀する」の意味。標準語では「こく(扱く)」。しかし、「村」では「こぐ」と濁音化する。なお、標準語では「こぐ」は、脱穀と関連しているとは言えるが別の意味で使われる。「草木を根のついたままそっくり引き抜く」とある国語辞典は語釈している。

脱穀開始
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脱穀開始。
 よく晴れている。しかし、稲架の一部が陰になっている。田んぼに接して、南西側に家が立っているためである(下の画像、参照)。陰になる部分は稲の生育が悪い。稲刈りのころになっても、まだ青い。積算日照時間が稲の成熟を決めるが、まさにそれを実感させる。
 脱穀機(ハーベスター)は田んぼまでは軽トラックで運ぶ。ぎりぎり荷台に載る。そして、朝、11時半に脱穀を始めた。朝のうちは湿度が高い。11時くらいには下がりだすので、そのころが開始の目安。早く始めるとしても10時が限界(むろん時期により違う)。

 最初にもち米をこぐ。収量は、精米後で50kg余りか。1年間の消費量として、これだけあれば十分すぎるほど。あとはすべて、うるち米。

一日の仕事量
 一日脱穀すれば、どのくらいできるか。一人でやるとして計算する。稲架ひとつが45分。精米後の重量では70kgほどであろうか。脱穀は3時を過ぎたらやめる。日没(今は17時前)までには、脱穀した籾を蔵に納めたいからである。すると、脱穀する時間は4時間。順調にことが進めば、なんとか5稲架だろう。今日は計算通りの5稲架であった。

 もし2、3人でやるとすればもっと多くできる。1[ひと]稲架の脱穀は30分。脱穀しているのとは別の人間が、籾袋を蔵に収納するとすれば、脱穀は5ないし6時間できる。すると稲架は10あまり片づく。1人でやるときに比べて倍の仕事量である。そんな計算をしながら、しかし、一人農家の私はのろのろと、しかもいらいらと稲をこぐ。

一日の終わりに
(クリックで画像の拡大)
脱穀の終わった田んぼ。
 太陽は画像右側の山に沈んだところである。
 正面の山は灰ヶ峰。山の向こう側が呉市街。灰ヶ峰を村側から見ると、鳳凰が飛翔しようとして羽を広げつつあるかのようである。その頭に当たる部分に、戦時中は高射砲が据えられていた。いまでもその跡は残っており、瀬戸内海を眺める展望台になっている。そのあたりに、画像では小さな突起が見えるが、それは無人の気象台。その左側(鳳凰の羽の片側にあたる部分)に立っているのは、鉄塔。
「いがいぃ」、「はしかい」、ちくちくかゆい
 稲をこぐと、藁の細かなくずが衣服の隙間から入り込んで、肌がちくちくとかゆい。先日、高知県出身の同僚と話していて、その「ちくちくとかゆい」のを土地の言葉でどう表現するかが話題になった。彼の地方では「はしかい」と表現するそうである。「村」では「いがいぃ」。かゆくなるは、「いがゆぅなる」。インターネットで調べてみると「はしかい」は広範囲にわたって使われる言葉のようである。それに対し、「いがいぃ」は、インターネット検索ではヒットしなかった。地域性の高い方言なのだろうか。「いがいぃ」の「いが」は「毬」(栗などのイガ)に通じるような気がするが。

 暗くなって、稲架を解体した。冷え込む闇のなかで作業しながら、12月始めまでには脱穀が終わるだろうかと、と心細くなった。やるしかない! のだが…
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