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2003-03-27  自然農園の春−写真集−(下)

今日は最終回です。登場するのは、ライ麦チマ・サンチュエンドウソラマメです。


ライ麦(イネ科)
 
ライ麦
(3月22日撮影)
せっかく写真に撮ったので登場させますが、あまり面白みのない写真ですね。

ライ麦は、最初は緑肥にしようとして購入した。いま手許に記録がないのではっきりしないが、4年ほど前だったと思う。緑肥といっても本で読んだだけで、実際に経験があるわけではなかった。本には、春、出穂まえに鋤きこむ、と書いてあった。わが家には耕耘機しかないし、畑は表土が浅いので、鋤きこみはうまくできなかった。1回試しただけで緑肥としての利用はやめた。それ以降、ただ種をとるために蒔いている。
わたしの小さい頃までは麦が作られていた。粒食する大麦(裸麦)と粉食する小麦である。ライ麦を蒔き続けているのは、麦がふつうに見られた昔の風景への郷愁もある。しかし、それらの麦に比べると、ライ麦は背丈が高い。2m前後になる。一見すると折れてしまいそうだが、けっこう強い。だから、ライ麦畑なら簡単に身を隠せる。「ライ麦畑でつかまえて」(懐かしい本ですね。大学に入ったころ読みました。)といっても、なかなか難しい。
もうひとつ気づいたのは、穂を叩くと簡単に種がとれることである。種の脱粒性は野生の特徴であるが、疑似脱粒性とも言える性質はライ麦に野生が残っているしるしのように思える。やせた寒冷地でも栽培できるのは、野生のためかもしれない。
購入した種は「緑肥用ライ麦」となっていた。粒は小さいが、食べられるくらいの大きさはある。もともとライ麦の粒は大きくないだろうから、「食用ライ麦」としても使えそうである。

最後に写真の説明。種は10月終わりか11月始めに、自然畝にばらまいた。すると、そのうち枯れ草のなかから発芽してきた。手間のいらないところも、野生のしるし(?)。いまの草丈は20pもないが、これからどんどん成長して、5月には出穂する。(穂の出たライ麦の写真は、ここをクリックしてください。ジャンプしたページの写真は、クリックすると拡大されます。)


チマ・サンチュ(キク科)
 
チマ・サンチュ
(3月22日撮影)
ご存じ、朝鮮風焼き肉料理につきものの(?)チシャ。チマ・サンチュは朝鮮語で、聞いたところによると、「包むための[チマ]葉っぱ[サンチュ]」(間違っているかもしれませんから、鵜呑みにしないでください)。2、3年前からサカタとかタキイとかの大種苗会社でも種を扱うようになった。青種と赤種の二種類がある。わが農園ではいずれも栽培している。というか、チマ・サンチュ自身が勝手に種を落とし芽を出してる。写真は言うまでもなく赤種。赤といっても、正確には黒ずんだ赤紫。
根っこから収穫するのではなく、葉をかぎとって利用する。その利用形態と縮れた葉っぱは、かつて農家の庭先によくあったチシャに似ている。その「昔チシャ」に比べると、葉は長くて軟らかく、味に癖がない。
5月くらいになると薹が立つ。種が落ちるままにしておくと、自然に芽が出てくる。ただし、好光性の発芽をするので、畑の土が露出しているところでないと発芽しない。
わたしが8年前に農耕をし始めたときには、わが家でも畑の隅に昔チシャがあった。しかし、いつの間にか消えてしまった。昔チシャを手に入れたいのだが、種も苗も見つからない。だから、チマ・サンチュがいまは「昔チシャ」の代わりである。


エンドウ(マメ科)
 
豌豆
(3月22日撮影)
豌豆は10月終わりから11月の始めに種蒔きして越冬させ、5月終わりから収穫する。長い間畑にいるわりには収穫期間は短い。収穫が始まって1カ月もしないうちにあがってしまう。春先から急に伸びだすので支柱をたててやらなければならない。写真の豌豆も支柱を待っている。
豌豆は、実エンドウとスナップエンドウを栽培している。(スナップエンドウは、種苗会社によっては、スナックエンドウという名前を使っている。英語の辞書には snap bean は載っているが、snack bean はない。)実エンドウは莢のなかに入っている実を食用にし、スナップエンドウは莢ごと食用にする。
豌豆は毎年種を買っていた。種袋をみると固定種である。自家採取に関する本(ミシェル・ファントン、ジュード・ファントン『自家採取ハンドブック』現代書館、2000円)によると、豌豆は自家受粉するそうだから、他の豌豆と離しておけば種がとれそうである。(自家受粉するといっても、他品種と交配しないわけではないようである。)今年は種取りに挑戦してみようかと思っている。
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豌豆と空豆の播種(「豆類の播種」−『コラム2002-11-14』)
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ソラマメ(マメ科)
 
空豆
(3月22日撮影)
空豆は小粒で、一莢に5個くらい実が入るものと、大粒で一莢に2-3個の実が入るもの(いわゆる「お多福豆」)がある。父の時代は両方を作っていた。小粒のものは完熟・乾燥させて保存し、おやつにして食べていた。しかし、現代のような贅沢な時代は、煎り空豆のような素朴なおやつは見向きもされない。だから、わたしはお多福豆しか作っていない。お多福豆は、若い実を茹でて食べる。ビールの友にすると絶品。
空豆は豌豆よりも寒さに弱い。早蒔きすると寒くなるまでに大きくなり、霜にやられやすくなる。村での播種適期は10月下旬から11月始め。
空豆は自家採取するが、どうもいい種がとれない。ゾウムシがつくからである。種蒔きの頃、出してみるとゾウムシが這い出した穴があいている。そこで去年は冷蔵庫で保存してみたところ、ゾウムシの穴はなかった。低温状態なので卵が孵化しなかったのだと思う。
空豆は皮がかたいため発芽しにくい。そこで1日ほど浸水してから蒔く。昨秋はポットに蒔いて育苗したが、寒かったためか発芽が遅れ、大部分が腐ってしまった。残ったのは数株だから、食べる分しかない。お多福豆の種は高価だが、今年の秋は購入せざるをえない。
空豆はおいしいが、発芽、寒害、収穫期のアブラムシ害、種の採取と、栽培にはいくつも障害がある。


以上が自然畝で冬を越した作物たちです。これから冬までのシーズンの間、どんなドラマが自然農法畝で展開されるか、次回以降の記事を御期待ください。

 
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