|
☆ 2002-03-30(土) ☆ 伝え来ったわざ
□村へ入るとき、本庄水源地から村の西條に通じる峠道を越える。峠にさしかかる直前に、大きな山桜がある。路傍に生えているので、否応なく目に入る。今朝その桜が満開になっているのに気づく。26日には気づかなかったところをみると、満開になったばかりである。昨春、「てつがく村」の入り口に、その山桜の満開の写真を載せたことがある。写真の日付は、4月8日となっているから、今年は1週間以上も早く満開になったことになる。やはり今年の春は歩みが早い。
実家の近くに、ビニール・トンネルに温床を作っている畑がある。車から見ると、その温床で畑の持ち主が働いている。以前、その人が温床を作るため、藁を編んでいるのを見たことがある。遠目ではあるが、しっかりと編んでいるように見えた。
□昨日の雨のため、畑は作業のできる状態ではない。そこで今日は田圃に出かけることにする。これからの季節は雨が降らないかぎり、必ず何かやるべき仕事がある。
畦切り
□つぎに、今年耕作する田圃の畦切り。田植えは5月終わりか6月始めだから、もっと後でもいいが、暇のあるときにやっておかないと、できなくなる。畦を切るには、スコップで掘ったり、平鍬で削ったりもするが、畦切り専用の鍬がある。わたしはその鍬を使う。畦は、あまり厚く切ると、耕作面積が狭くなるだけでなく、夏の草刈りにも手間がかかる。切って狭くなっても、畦を厚く塗ればいいのである。 □畦を切っていると、ところどころモグラのあけた穴がある。その穴は潰しておかなくては、水漏れの原因になる。まず、肥料袋(ビニール製)を千切って押し込み、最後に赤土でしっかりとフタをする。草を詰め込めばいいようだが、草はすぐに腐ってまた穴があく。モグラの穴を見つけると木の枝を立てたりして印をして、後日潰しに来る。 □畦切りは鍬が土を打つ反動が腕に来るので、腕が疲れ、手マメができる。日はまだ高かったが、切りのいいところで、今日の作業は終わりにする。
土筆の甘酢漬け
□屋敷に帰って、近くの人と世間話をしていると、弟がやってくる。弟は広島市内に住んでいるが、今日は土曜日なので、会社が休みなのであろうか。土筆を探しにきたが、ほとんど長けていた、と言う。先週末、土筆を家族がたくさんとったが、どうもその頃が採り時だったようである。土筆は頭がかたく締まっているのがいい。開くとおいしくない。それでも、すこし標高の高いところに行って、長けていない土筆を採ってきたらしい。「どがいにして、食べるんな」ときくと、「炒めるんよ。」「甘酢漬けにすると、酒の肴にええで。」「炒めても、酒の肴にならぁ。」 □でも、お酒好きなひとは、是非甘酢漬けをおすすめします。冷蔵庫に入れておくと、1年くらいはもちます。簡単に作り方を。 □土筆は袴をとって、まず水にさらします。水にさらすと歯ごたえがよくなります。つぎに、酢を入れたた水でさっと茹でます。ざるにとって水を切った後、酢4、砂糖1、塩少々の配合で作った甘酢につけます。 □では、お試しあれ。 (4月2日掲載) |
||
[先頭に戻る] |
||
☆ 2002-03-26 ☆ 雨と競争 −農耕日誌−
有給休暇
□朝起きて空を見ると、数時間もすれば雨が降り出しそうな様子をしている。昨日の天気予報では、夕方から雨になる、ということであったが、夕方まではもつまい。
ゴボウの蒔き方
□ゴボウを作るとき問題になるのは、耕土の深さである。我が家の畑は少し掘るとすぐに赤土の層に突き当たる。だから、できるだけ耕土を深くする工夫をする必要がある。また、品種も滝野川ゴボウのように、いかにもゴボウらしい根の長い品種ではなく、短い品種を選ぶ。たとえば、大浦ゴボウとか渡辺早生である。大浦ゴボウは見栄えは悪いが味はいい。わたしは年3回蒔くが、春は渡辺早生、初夏と秋は大浦ゴボウ(渡辺早生も可能)を使う。年3回蒔くと、一年中ゴボウが食べられる。
□さて、耕土を深くする工夫であるが、深耕するにしても赤土を掘りあげるのは大変だし、耕土に赤土が混じると扱いにくくなる。だから、土を盛って耕土を深くする。深くする、というより、高くする、といった方が正確だろう。実際の方法として、畝幅を通常の半分にして、そのぶん土を高くする。また、下の方に抜いた草とか藁くずとかを入れて少しでも高さを稼ぐ。他方で、盛った土を崩れないように藁で枠を編む。 □具体的なやり方は、まず、ゴボウを蒔くところを掘りさげ、土を脇に避ける。すると底面が長方形の穴ができる。つぎに、竹などで骨組みを作り、骨組みに絡ませるようにして藁で枠を編んでいく。藁が盛り土が崩れるのを防ぐのである。枠が編みあがると、底に草などを入れる。その上に、最初に避けておいた土を入れる。これで蒔き畝ができあがる。
□藁を編んで枠を作るのは、父がやっていたやり方である。時間がかかるが、効果はある。父の生前、藁の編み方は教えてもらっていなかった。しかし、さいわい、父が作った芋の伏せ床が残っていた。父は伏せ床にも藁の枠を使っていたのである。(わたしは、伏せ床には、農耕を始めて最初の2年ほどは別にして、藁の枠は使っていない。)藁は腐りかけていたが、わたしはていねいに分解しながら、藁の編み方を調べた。編み方は、文章では説明が難しいので、残念ながら紹介できません。 □雨がぽつぽつ降るなか、昨夜から水にさらしてた種を蒔く。水にさらしていた以上、蒔いてしまうしかない。時間があれば、種を新聞紙のうえに広げ乾燥させてから蒔くが、今日はそんな悠長なことはしていられない。雨と競争である。濡れて手にくっつく種をイライラと蒔く。 □なお、種は、互いに5cmほどの間隔をあけながら、ばら蒔きにする。
□雨はやんだかと思うとまた降り出す。ときに薄くなった雲の背後から陽の光が鈍く射したりもする。そのたびに、ほっとしたり、また、急いたりする。
人参の蒔き方
□人参を蒔き終えるころには、畑は雨で湿ってしまい播種作業はできない状態になっていた。
□最後に、水道で使った水が流れるところに、クレソンを蒔く「田圃」を作って、今日の仕事は終わり。雨は下着までしみ通っていた。 |
||
[先頭に戻る] |
||
☆ 2002-03-23/24 ☆ 廃園 (旧ブドウ園) −農耕日誌−
□3月23日(土) □風が強いうえに、寒い。冬に逆戻りしたような気がしないでもない。実際、広島市内では車のフロントガラスに雨粒が時折あたっていたのに、村に入ると、雪がちらつく。車載温度計は5℃。
トマト発芽開始−温床と冷床−
□午前中は、山に竹を切りに行く。先週日曜日にエンドウのウロを立てたが、大枠を作っただけで、一株一株の豆が這い上がるための支柱までは立てなかった。その支柱としては、藁をぶら下げたり、枝のついた竹(真竹の太くないもの)をさしたりする。わたしは事情があって孟宗竹の枝をさす。 □我が家の山(わずかな面積であるが)[ここで、「山」とは、山塊全体ではなく、その一部分のことである]には、隣の山から孟宗が侵入して来ているところがある。放っておくと、山は竹林になってしまう。そこで、竹を伐採して、はびこるのを防ぐ。筍のうちに折ってしまうのが一番楽であるが、なかなか山まで行く暇がなくて、ついつい竹を成長させてしまう。春に生えた筍ならば、いくら高くなっても、夏にでも根元を切断しておくと、萎れてしまう。しかし、1年もたつと、そうは行かなくなる。筍みたいに柔らかくないし、細い竹のように山鎌で一刀両断にすることもできない。切り倒しても、そのままおくと邪魔になる。そこで、鋸で切り倒し、適当な長さに切って、しかるべき場所に集めておく。 □あるとき、孟宗の枝は豆のウロに好適であるに気づいた。枝は主脈からまた小さな枝を伸ばしている。豆がつかまりながら上っていくのに格好の形をしているのである。それからは、孟宗退治もかねて、春になると山に竹を切りに行く。
廃園
山の獣
□午後は、まずウロ立て。1週間前に立てた骨組みに竹の枝を結びつける。山と違って畑は吹きっさらしである。北の方から吹いてくる風をもろに受けるので、寒い。枝は一株あて1本の割合で結びつけるから、エンドウとスナックエンドウ合わせて、80本になる。だから、作業に結構時間がかかる。震えるほどではないが、寒い思いをしながら、麻縄で一本一本縛りつけていく。 □3月24日(日)
□家族デー。わたしは午前11時から講中の集まりに出席した。昼食と酒つきの集まりで、散会したのは午後3時過ぎであった。結局、今日は農作業なしで、広島に帰る。 |
||
[先頭に戻る] |
||
☆ 2002-03-17 (日) ☆ 子芋の掘りあげ
□家族デー。晴れているが、霞んでいる。いかにも春という雰囲気である。しかし、鼻の粘膜の敏感な人は、花粉だけでも大変なのに、おまけに黄砂が加わると、春霞といって風流がってはいられないそうである。
子芋が教える暖冬? □畑に帰って、昨日終わらなかった堆肥の切り返しの続きをする。積み終えた堆肥にはビニールシートを被せておく。雨に濡れると、肥料分が流出するからである。2、3度切り返せば理想的なのだが、時間の余裕のないわたしは、1回きりにする。
エンドウのウロ立て |
||
[先頭に戻る] |
||
☆ 2002-03-16 (土) ☆ ジャガイモを伏せる −農耕日誌−
□家族の買い物につきあったので、畑に着いたのは朝11時頃。
□3月15日を目処にジャガイモを植える。
□農林の方は、広島県産の種芋を使う。種芋の箱には、生産者として、瀬戸内海沿岸の町の名前が印刷してある。農林の休眠期間は短い。推測するに、暖かい地方で春早く植えて、種芋を生産する。3カ月もすると休眠から醒めるから、それを種芋として供給する。ところが、村の気候では早植えはできないから、完熟させると、8月半ば休眠期間中に伏せることになる。だから早掘りをして、種芋として使おうと考えている。うまくいけば、秋ジャガは自己採取種で対応できるかもしれない。
□ちなみに、食味は、農林の方が他の2品種より劣る。だから、実験が成功しても、農林だけを栽培するつもりはないが。 種芋を切り分ける □さて、種芋は50g程度の小片に切り分ける(30gあれば種になる、と書いてある本もある)。種芋の大きさによって、2分割とか3分割にする。頭頂と尻尾を結ぶ線で分割する。芽は頭頂部分に多く発芽するからである。頭頂部分は、芽がたくさんあったり、出かけたりしているので、どこか分かる。メイクイーンのような細長いタイプでは縦方向に切ることになる。 □今年は、去年同様、種芋を各々6kg買った。去年は母が芋を切ったが、今年はわたしがやった。記録を見ると、メークイーンの場合、去年は147片の種ができたが、今年は、102しかできなかった。どうも今年は大きく切りすぎたようである。切ったあと考えると、種芋はほとんど2分割したが、3分割してもいいくらいのもかなりあった。大きい種の方が収量が上がるというから、まあいいだろう。ちなみに、男爵は、小さいのそのまま使い、それ以外はすべて2分割して、全部で120の種ができた。これは去年とほぼ同じ。
芋を伏せる □切った芋を数時間干したあと、午後、芋を伏せた。伏せる場所を10cm弱、掘りさげて、そこに種をぎっしりと並べる。並べた上から土を被せ、さらに藁などで覆って乾かないようにする。 □直播きにしないで、なぜ伏せるかについては、以前「農事録」に書いたことがあるので、ここに再録する。 直播きする方が手間がかからないように思えるが、必ずしもそうではない。種芋からいくつもの芽が出るが、そのままにしておくと小さな芋しかできない。普通は1つだけ残し、後は摘む。伏せる方法だと、定植する際、勢いのいい芽を2つ残して、あとは摘み取る。定植してしばらして、1つにする。伏せる方法の方が、芽を摘む作業が楽である。また、種芋の中には腐るものがある。直播きの場合は補植しなければならない。そのためには別に伏せておかなければならない。ところが、伏せる方法の場合は、定植する際、腐った芋は捨てるので、その手間も要らない。さらに、畑の準備にも余裕ができる。□伏せる理由として、春の場合、霜害を防ぐ、ということもある。直播きにする場合、切り藁を被せて、霜害に備えるが、範囲が広くなるので、管理が難しい。しかし狭い伏せ床であれば、管理しやすい。芽が出たあと、藁を厚くしたりすれば、芽が霜にやられるのを防ぐことができる。寒冷紗を被せてもいい(もっとも、わたしはそんな手間はかけないが)。
□今日のメインの仕事はジャガイモを伏せることだったから、あとは畑をまわり、気づいた細々した作業をする。 |
||
[先頭に戻る] |
★ 次の5記事 ★
★ 前の5記事 ★
「てつがく村」についての感想や意見をお聞かせください
・ 書き込み板(BBS)
〒 e-mail