サイト内検索
ひろば(BBS)
メール送信
てつがく村の入り口に戻る
            
> 農耕の合間に >
 
 
2003-03-25  自然農園の春−写真集−(上)

「自然農法爾」を春から再開すると「記事一覧」で予告していましたが、長い間休止していたので、どのように再開していいか手がかりがつかめないでいました。そこで、春の自然農法畝の写真を紹介するという形でともかく始めてしてみることにしました。いまのところ「自然農法爾」をどのように展開していくかはっきりとした見通しもありません。しかし、いまから3回に分けて「自然農園の春」を掲載すれば勢いがつき、漠然とした方向も見えてくることを期待しています。
3回連続の記事では、自然農法畝で生育している野菜をアットランダムに11品種とりあげます。第1回目(上)は、やぐらネギロケットキャベツイチゴ、第2回目(中)と第3回目(下)は、トレヴィス紅菜薹ニンニクライ麦チマ・サンチュエンドウ空豆を取り上げます。


やぐらネギ(ユリ科)
 
やぐらネギ
(3月22日撮影)
この名前、はじめて耳にした方も多いかと思う。ふつうのネギは春になると薹が立ち、小さな花が密集した坊主をつける。増殖するためには、坊主に実った種を使う。しかし、やぐらネギの場合、葉茎の先に小さなネギをいくつかつける。「やぐら」が立つわけである。その小ネギを苗にして増殖する。写真のネギにはまだ「やぐら」が立っていない。
このネギ、他のネギに比べれば背丈が低く、かつ横に広がっている。
食味はいいとは言えない。珍しいので畑の片隅に10株ほど植えているが、実際に食べることはまずない。
なお、やぐらネギは自然畝にしたところに植えたのではなく、植えた畝がのちに自然畝になった。
参考
ネギは3月終わりから4月始めにかけて種を蒔き、7月頃に定植する。(ネギ類の種の蒔き方については、ここをクリックしてください。)
春にネギ坊主ができたものは、種を採らないのなら、葉を下10pほどを残して切り取る。それを別のところに植えなおすと、新しい葉がでてくる。(植えなおすのは、秋から冬にかけて株が増えて密集しているので、株の間をあけてやるため。)こうして移植しておくと、種から育てたものが収穫できるようになる晩秋まで、青葉が利用できる。(わが家では、青ネギ[九条ネギ]をこのようにして利用している。)なお、やぐらネギも夏の間利用できる。


ロケット(アブラナ科)
 
ロケット
(3月22日撮影)
ルッコラ(イタリア語)とも呼ばれている。(ロケットはフランス語。)サラダに使われる、ごま風味の野菜。この野菜はご存じの方は少なくないであろう。
写真のロケットは薹が立っているのでひょろ長い草姿をしている。少しすると白い花が咲く。食用には、薹が立つ前のものを使う。アブラナ科の野菜には薹もおいしいのがあるが、ロケットは食べたことがない。
記録し忘れたので正確な時期は分からないが、たしか去年の10月中旬に種蒔きした。すこし遅かったせいもあるが、自然畝のために大きくは育たなかった。
秋は種蒔きが遅れると、生育が思うように進まない。9月の種蒔きで1日遅れると、冬の始めには生育が1週間も違ってしまう。白菜などは寒さのために結球しないで生育を止めてしまう。それでも即効性の化学肥料を十分に施した畝では、遅れをいくぶんかは取り戻すことができる。しかし、自然畝は適期播種が原則である(すくなくともわが農園の場合は)。おそらくは肥沃度(これは畝によってかなり違うと思う)と肥料の性質(自然に蓄積される有機肥料)のために、播種期が遅れると順調に育たない。いままでの経験からすると、一般に自然畝では野菜の生長がゆっくりしている。なお、適期播種は病害虫回避のためにも必要なのではないかと思う。
自然畝での栽培の特質は分かっていたが、昨秋は遅れてもロケットを播種した。食べられる大きさに育たなくとも、2、3年前に自家採取した種を更新しておきたかったからである。
今春は種を採るだけでなく、余った種は自然畝にばらまいておこうと考えている。マーシュほど野性的ではないが、うまくすれば自然畝で野生化するのではないか、と期待しているからである。


キャベツ(アブラナ科)
 
キャベツ
(3月22日撮影)
このキャベツは、去年10月下旬に播種し、今年2月下旬に本葉5枚ほどで定植したものである。慣行農法では6月には収穫できるが、自然農法畝のため遅れるかもしれない。
キャベツを自然畝で作るのははじめてではない。経験からすると、生育は遅れるが、こぶりではあるが、まずまずのキャベツができる。しかし、無施肥ではない。何度か発酵鶏糞を施す。施肥すると葉の色が変わるところを見ると、効き目はあるようだが、やはり化学肥料と比べるとはるかに劣る。
キャベツは品種を選べば周年栽培ができる。ただ、青虫回避のために防虫ネットを被せておかないと、晩秋から初春は別として、人間が食う前に青虫の餌になってしまい、畝が蝶飼育場と化す。(出荷用に大量栽培する場合は防虫ネットを被せるのは現実的でないので、農薬を使う。あくまでも私見だが、市場に出回るキャベツで無農薬栽培のものはない。)小さく結球すれば、ネットを外しても問題ない。新しい葉は内側からできてくるので、外側の開いた葉をのぞいては食害されることはない。写真のキャベツは種蒔きしたときからずっとネットを被せてある。
去年、8月半ばと9月半ばに2度キャベツを自然畝に定植した。しかし10月に入ると急に寒くなったので、最初に定植したのは小さく結球した状態で、二番目のは結球しない前に、葉の色が紫に変わってしまった。熟していない自然畝のせいか、野菜が十分な肥料を吸い上げることができず、寒さに耐えられなかったのである。それからは生長はほぼ止まった。慣行農法でやれば、年内には大きく結球したはずである。
やはりここでも適期播種が必要になる。秋から冬にかけて生長する野菜は、寒くなるまでにしっかり生育させて十分な体力をつけてやらなければ、寒さに負けてしまう。


イチゴ(バラ科)
 
イチゴ
(3月22日撮影)
品種は「宝交」である。よく栽培される品種らしい。
イチゴは5月の収穫期が終わると、株を別の畝に移植するか、同じ畝なら半分を間引くかして、来年度の苗を作る。そのままにしておいても次の年も実はなるが、小粒になってしまう。株からはランナーと呼ばれる茎が何本か地面を長く這い伸び、それに新しい株がいくつか数珠つなぎにできる。葉数3枚程度の株を8月に移植する。それを10月下旬に定植する。私は面倒なので、移植はしないで、葉数5枚前後の苗を抜き取ってただちに定植する。写真のイチゴは、去年の11月始めに定植した。イチゴの自然畝での栽培は2年目である。まずまずのものができる。


さて、キャベツをのぞく3枚の写真には、「雑草」としてカラスノエンドウとオオイヌノフグリが目立っています。どれか分かりますか?カラスノエンドウは、二列対生の葉のついた草です。オオイヌノフグリは、青い小さな花をつけています。イチゴの写真には、オランダミミナグサとヤエムグラも見えます。全部の雑草を識別できるわけではありませんが、自然農法をはじめてから雑草に注意が向きはじめました。無除草が原則ですが、多年草は抜き取っています。セイタカアワダチソウ、スイバ、ヨモギ、タンポポなどです。雑草の問題は、いずれ別の記事で主題にすることがあると思います。

 
先頭に戻る


てつがく村
depuis le 1er avril 2000