てつがく村 を飾った 写真 たちが再登場します


農耕の季節 2002

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フェンネル
(5月半ば)

セリ科。和名は、茴香[ウイキョウ]。フランス語では、fenouil。
全草に芳香があり、種(形は人参のそれに似ている)も芳香がある。薬用にも利用されるようだが、わが家は食用として栽培している。茎はサラダとして、また、種はスパイスとして利用する。この品種は根元が太くなるもので、食用にはその部分を利用する。
夏になると花が咲く。すると、茎がかたく細くなって食用にはならなくなる。したがって、食用としては、春から初夏に、季節が限定される。

昨春、苗を購入して栽培を始めた。しかし、根元が太くならなかった。栽培を提案した家族は、近縁種のディルではないか、と不満げだった。多年草だから、もしかしたら2年目から茎が太くなるのでは、と答えたわたしも疑心暗鬼だった。それでも、採取した種を昨秋蒔いて、畑の一角をフェンネル畑にした。
春になると、昨春植えたフェネルは株を増やし、3本の茎が食用としての太さになった。また、昨秋蒔いたものも小振りながら茎が太くなり、品種固有の草姿となった。いまから考え直してみると、昨春は苗を定植したため、苗は活着のために精力を使い果たして、茎が太らなかったのである。秋に播種して、十分な肥料を与えれば、翌春には立派な茎になる。ただ、わが家では、自然畝での栽培のため播種した次の春は食べるにはまだ小さすぎる、という生育なのだろう。しかし、2回目の春には食べられるようになる。すると来春は食べきれないくらいのフェンネルができるはずである。
栽培を考えられる人には、だから、秋に播種されることをおすすめします。種の方が安いし、翌春には食べられる。種は同じセリ科の人参と同様に好光性の発芽をするので、覆土は原則として不要。覆土なしで不安な方は、篩などを使って、気持ち程度に土をかけてください。株間は最低40cmくらいは必要でしょう。写真のフェンネルは1m程度、本によれば、2mになることもあるそうですので。

最初に、全草に芳香がある、と書きましたが、その芳香を具体的に説明するのはなかなか難しい。でもお酒好きな方には簡単な説明方法があります。アニスというお酒(anisette)をご存じですね?透明で、水を加えると白く濁る、甘味のあるリキュールです。あのお酒に使ってあるアニスもセリ科の植物で、フェンネルににおいがよく似ています。
フェンネルは草の色も、においもさわやかで、乾燥した地中海の夏を思わせます。

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あさつきとマーシュ
(3月始め・朝)

(マーシュの拡大写真はここをクリックしてください。)

浅葱が伸びている。草丈は20cm足らずである。
浅葱は、夏になって葉が枯れたら根球を掘りあげて、9月に2球づつ植えるか、あるいは、掘りあげないで連続して栽培する。連続して栽培すると、春に出る葉は細く、葉数も多い。それを切り取って薬味に使う。
写真の浅葱は連続して栽培したもの。
浅葱の根元にマーシュが見える。写真で言えば、根元から写真の左下にかけて、生えている小さな緑色の野菜がそれである。。マーシュは日本の八百屋ではまず見かけないが、フランスでは、冬のサラダ野菜として普通に売られている。野菜には珍しくオミナエシ科である。
9月終わりから10月始めにかけて、黄色い種を蒔く。大きさは漬け菜の類とほぼ同じ。年末から春先まで収穫できる。5月頃に開花してたくさん種をつける。しかし、種はすぐに落ちてしまうので採取しにくい。脱粒性(種子がすぐに落ちてしまう性質)は野生植物の特徴であることからして、マーシュは野生の性質を残しているということができる。秋になると、種が落ちたあたりにマーシュが発芽してくる。脱粒してすぐに発芽してもよさそうだが、特定の季節にならなければ発芽しない。だから、種子には休眠性(一定期間は発芽しない性質)があると思われる。休眠性も野生植物の特徴である。それに対して、野菜の種には、採取してすぐにでも、温度と湿度の条件が揃えば発芽してしまうものもあるくらいである。
我が農園では、最初は種を購入して蒔いたが、それからは自然に任せている。だから、我が農園には、マーシュが雑草のように生えている。それを摘み取ってはサラダとして食べる。今のところ、生える場所はだいたい決まっているが、場所によっては、どうしてここまで種がやってきたのだろう、と思われるところにも生えている。日本にはない野菜だから、我が農園で最初に播種した畝が「原産地」にちがいないのだが。

農耕の季節 2001 2000

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