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ひろば(BBS)

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2006-07-08 ☆ エシャロットの収穫

《7月7日にエシャロットを収穫した。春に植えて夏に収穫する作型に不安を抱いていたが、エシャロットは私の不安をよそに立派に育っていた。》
- エシャロットの成長の特徴- 日本の「中間地」でのエシャロット栽培


(クリックで画像の拡大)
収穫直前のエシャロット。
 草の中に埋もれていたが、撮影のため草は抜いた。

(クリックで画像の拡大)
収穫直後、3カ月間育った場所で「記念撮影」。
 フランスから送られてきた種を写したときに使った物差しを今回も一緒に写しているので、収穫したエシャロットがフランス産のものに比べて遜色のない大きさに育っているのが分かっていただけよう。


3月29日に植えたエシャロットを収穫した。収穫日は7月7日だから、3カ月あまりで収穫期を迎えたことになる。

前の記事にも書いたが、エシャロットの鱗茎を春に植えつける作型に対しては多少の疑念を抱いていた。しかし、種を送ってくれたフランスの友人が耕作者に確かめてくれた播種期であり、また、栽培書(日本語)にもフランスの作型として紹介されているものである、と自分を納得させて、栽培を試みた。友人によれば、収穫期は夏になり葉がしおれたときである。6月のいつだったか忘れたが、エシャロットのことを思い出し確かめたところ、葉がしおれ(枯れ)はじめていた。周りに草が茂ると、葉が次第にしおれていくエシャロットは目立たなくなり、またその存在が意識に上らなくなった。そんなとき、私がよく閲覧する或る人のブログでエシャロットが話題になった。そこでまた思い出し確かめると、今度は葉がかなり枯れていた。その状態から収穫期であると判断した。

エシャロットの成長の特徴
日本で売られているエシャロットは、若どりのらっきょうが「化け」たものである。市場に出回っている本物のエシャロットは極少数であろう(私は、日本では売られている実物を見たことはない)。そのような情況であるから、私は掘りあげた状態のエシャロットは知っていたが、畑で生育している現場は目にしたことがなかった。そこで成長の特徴をつかむ目的で時々観察していた。

発芽したのち株が増える。葉の状態から、増えた株は数えることができる。成長初期の観察では、一つの種は4、5株に増えるように思われた。それぞれの株の根元がふくらみ、エシャロット1球になる。根ではなく茎が太るので、タマネギの場合と同様、鱗茎の一部は地上に出ている。収穫前にその部分を見て、数はともかく、鱗茎はあまり太っていないように思われた。それで、栽培方法(施肥の仕方)に問題があったのか、そもそも気候があわなかったのか、と原因をめぐって決着のつかぬ考えが頭をめぐりだした。しかし、太っていなくても、葉の枯れ具合から判断して、これ以上の肥大は望めない。そこで収穫に踏み切った。

掘りあげてみると、意外にも、球は満足できる大きさになっていた。球は下ぶくれの形状であるが、地上に出ているのは細い先端であり、太った下部は地中にあったため、掘り出す前の観察ではあまり肥大していないように見えただけであった。数も以前に確認したときより多かった。6球の種に対して、収穫したのは、小さいものを含めて、34球であるから、6倍弱に増えた計算になる。ニンニク並の増え方である。大きいものは、フランスから種として送ってもらったものよりも太っていた。よく太ったもの10球を来年の種として残すことにした。

日本の「中間地」でのエシャロット栽培
私の農園(瀬戸内海から峠ひとつ越えた、標高300mの山間地。日本の農地を気候から分類した場合、いわゆる「中間地」に位置する)での、春植え型エシャロット栽培法は成功した、とひとまず結論していいと思う。自己採種した種で来年も同等の結果が得られれば、エシャロットを安定的に栽培できる見通しがつくだろう。

播種期は、今回は3月29日であったが、秋植えのワケギが再発芽する頃まで早めてもいいのではないだろうか。そうすると生育期間が長くとれるかもしれない。前の記事で引用した栽培書の記述からすれば、エシャロットは日本の夏のような高温には弱い。また、その栽培書によれば、ヨーロッパではエシャロットは夏の間生育させ、8月末に収穫する、と書いてある。このような記述からすれば、我が農園のエシャロットが梅雨のさなかに葉がしおれて枯れたのは、高温(に加えて、多湿?)に反応したためかと推測される。すると、植えつけ時期を早めれば、鱗茎の肥大期間を1カ月ほど伸ばすことができるかもしれない。だから、来年は今年より早く植え付けて、この推論を確かめてみるつもりである。

よく分からないのは、施肥法である。私は、元肥として、発酵鶏糞と牡蠣殻石灰をタマネギに準じて、施した。そして生育初期に追肥(発酵鶏糞)を一度だけ施した。生育期間が短いので、あるいは元肥だけでいいかもしれない。また、今回の施肥量と生育状況の関係から推察して、肥料は貪欲には要求しないのかもしれない。

追肥を施してたあとしばらくして、一株が(多分腐って)消えてしまった。原因は確定できないが、肥あたりしたのではないか、と推測する。エシャロットは形態的にワケギに似ている(品種的にも、近縁である)。ものの本によれば、ワケギの幼根は肥あたりしやすいそうである。もしかするとエシャロットの幼根も同じ性質なのかもしれない。

このような今回の経験を踏まえて来年の施肥法を工夫したい。

ともかく、エシャロットを掘りあげたときは、思いがけず宝がザックザックと土の中から出てきたような喜びがあった。初めての栽培であり、また植えつけ時には不安があったのでいっそうのこと、その思いが強かった。
 
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