てつがく村の入口 | てつ人の雑記帳
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村便り:2007-06-13(木) (黄タマネギの収穫)
投稿日:2007-06-15(金)

 午後一コマ目の授業が終わると、車で40分の畑に急いで向かった。雨が降り出す前にタマネギを縛り、小屋に吊るしたかったからである。(クリ...

 午後一コマ目の授業が終わると、車で40分の畑に急いで向かった。雨が降り出す前にタマネギを縛り、小屋に吊るしたかったからである。

タマネギの収穫
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タマネギの収穫。
 赤タマネギは5月27日に抜いた。黄タマネギも6月に入ると収穫期になるが、田植えに忙しく、様子を見てもやれなかった。やっと田植えが終わり、この前の日曜日(6月10日)家族に頼んで、抜き取り畝に並べておいてもらった。赤タマネギは子ども一人に抜かせたところうんざりしたようなので、今度は母親(すなわち ma femme)と一緒に作業をやらせた。聞くと、タマネギは全部、葉が倒れていたそうである(*)。タマネギは、抜いてすぐに納めることもあるが、天候の状態がよければ二日ほど畝で干してから納める。
(*)ふつうタマネギは葉が倒れた時(葉は根元から倒れる)が収穫適期である。作業の関係上、圃場の7割ほどが倒れた時に全部、抜き取る。赤タマネギの方は、種袋に、葉の倒伏を待たずに収穫したほうが保存期間が長くなる旨の説明がしてあったので、倒伏が始まるとすぐに収穫した。

 梅雨入りが目前に迫り、天気予報によると、午後、夕方を待たずに雨が降り出すことになっていた。さいわい、授業が終わった時は、空の様子からしてまだ数時間は雨が落ちてきそうもなかった。

 畑について着替えるとすぐにタマネギを縛り始めた。タマネギは紐の両端に5個づつ縛って都合10個を、棹に左右に分けて吊るす。作業をしていると隣のお姉さんが声をかけてきた。「ようできとるね。自分の農法[自然農法]でこんなにできたん?」彼女は畝が草だらけなので自然農法だと勘違いしたようである。「いやこれは普通のやり方で作った。元肥は発酵鶏糞とカキ殻石灰、追肥は化学肥料を使こうた。」と私。彼女は「ほうなん。でも、あれはそう[自然農法]なんじゃろう」とソラマメとエンドウを指さした。「うん。豆は自然農法でもようできる。でもタマネギは、一回試したが、うまい具合にいかんかった。」

 作業を続けていると、また彼女がやってきた。「そういえば、[タマネギを吊るしておいてもタマネギが]落ちん縛り方があるんじゃろう?教えてや。」彼女にはその縛り方について話したことはなかったが、別の隣家のおばさんには去年、話したことがある。去年は収穫した当日に縛った。通りかかりに私をみたおばさんは「いらんことじゃけど、葉っぱを乾かして縛った方がええんじゃない。採ってすぐ縛ると、吊るしとるうちに葉っぱが乾いて細うなり、紐から抜けて落ちてしまうよ。」と私にアドバイスしてくれた。「干す暇がないけん今日はすぐに縛りょうるが、抜けん縛り方があるけん、大丈夫よ」と私は答えて、ひとつ縛ってみせた。彼女はおそらくはそのおばさんから話を聞いたのだろう。そこで説明しながら縛ってみせた。縛り方は、簡単に言えば、タマネギの重さで紐が自然にしまっていくようにするのである。

 全部で270個ほどあった。今年は玉が大きい。玉は適度の大きさ(ないしは小ささ)でないと使いにくい。我が家の場合はたいてい小振りの玉になるのだが、暖冬だったせいか、いつもになく大きかった。

 作業をしているうちに雨が落ちたりしたが、なんとか本降りになる前に、縛り終えて、小屋に吊るした。

 作業を終えると、また学校に帰り、明日の授業の準備。結局、帰宅したのは夜の10時であった。
村便り:2007-06-10(日) (さなぶり!)
投稿日:2007-06-11(月)

 やっと植え継ぎ(補植)が終わった。6月4日(月)に機械での田植えが終わり、6日(水)から植え継ぎを始めた。その日から8日(金)までは早...

 やっと植え継ぎ(補植)が終わった。6月4日(月)に機械での田植えが終わり、6日(水)から植え継ぎを始めた。その日から8日(金)までは早朝とか夕方を利用しての作業であり、9日(土)は全日を、10日(日)は午前と、午後の半分を費やした。

植え継ぎ
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植え継ぎには、苗は小さな籠(写真中央左側)に入れて腰につける。苗はあらかじめ小さく短冊状(籠の手前にひとちぎりが置いてある)にちぎり、根を水で洗っておく。根は育苗土がついていて、そのままでは適量(私は一ヶ所3本を目安に植える)をちぎり離すのに力がいるし、またちぎる本数が分かりにくい。
 田んぼ内部の欠株を補うときは前後左右の株の間隔を見ながら、植える場所を決める。しかし、田んぼの隅で広い範囲にわたって補植するときは「定規」を使う。写真中央右に見える竹竿がそれである。竹竿には、20cm間隔と30cm間隔に印をつけてある。苗は、条間30cm、株間20cmで植えられる(株間は機械により、また設定により、変わりうるが、我が家の機械の場合は20cmである)。「定規」は水に沈むと都合がわるいが、逆に、水に浮いていると風などで流されることもある。そのような場合には、長い棒で作ったクリップで挟み込む。写真の「定規」は両端をクリップで挟んである。
 手植えと違い、機械植えではかならず植え残しが出る。機械が田んぼに出入りする個所と機械が方向転換する隅(田んぼが長方形だとすると、角の四ヶ所)は、植え残しは避けようがない(*)。苗は、根の部分がマット状になった長方形の形に仕立ててある。そのマットの湿り具合、あるいは苗の密度によって、苗を適量マットから掻き取り、その苗を植える金属製の爪がうまく動作しない、すなわち苗を掻きとらない、ことがある。孤立して一ヶ所だけ株が欠けることがあれば、連続して複数株、欠けることもある。さらに、田んぼの土の柔らかさも植え付け状況に影響する。それ以外にも欠株の原因はある。
(*)方向転換する隅に関しては、本によれば、植え残しを少なくするテクニックがあるそうである。
 機械植え二年生の私は、植え付け状況に十分に注意を配るだけの力量も余裕もない。

 一年目の去年は、田植えまでに機械の説明書や機械操作に関する市販の本を読み「予習」しておくつもりであったが、田植え準備に終われ、結局はぶっつけ本番になった。田植え当日は、JA農機センターの若い所員が来てくれた。まず、軽トラックへの田植機の積み込みと積み下ろしを説明しながらやってくれた。田んぼに着き、段差のある田んぼへ私がおそるおそる田植機を入れると、その所員は操作の説明をしてから、少しだけ実演してくれた。狭い田んぼを一枚植え終わるまで、所員は見守ってくれたが、あとは「一人旅」。フランスでは自動車教習所に入ると、仮免許なしに初っぱなから路上教習らしいが、まさにそれであった。無我夢中で田植えを終え、作業に関する簡単なメモを残しておいた。

 田植機は一年に一回しか使わない。だから、去年の記憶は薄れてしまい、今年もまっさらの初心者マーク状態。こんな私が植えるのだから、植え残しが多く、植え継ぎにも時間がかかった。今年が去年と違うのは、植え残しの原因を考えるだけの素地が、一回とは言え去年の経験から、できていたこと。したがって、機械操作の改善点に関して、去年よりはるかに多くのメモができたこと。私の鈍さのゆえかもしれないが、農作業は三年くらい経験しないとなかなかうまくならない。畦塗りも人に見られても恥ずかしくない程度にできるようになったのは三年目だった。来年は欠株を大幅に減少します!

 今日はさなぶり。やっとさなぶり[早苗饗 ― 田植えを終えた祝い]。気持ちが晴々し、茹でた赤ソラマメをつまみに飲む晩酌が格別に旨かった。
村便り:2007-06-04(月) (機械での田植え終了)
投稿日:2007-06-05(火)

 やっと田植えが終わった。 「村便り」は、懸念していた通り、田植えの準備のため二週間あまり記事の掲載ができなかった。田植え前、三週...

 やっと田植えが終わった。

 「村便り」は、懸念していた通り、田植えの準備のため二週間あまり記事の掲載ができなかった。田植え前、三週間ほどは、畦塗り、アラジ(荒代掻き)、代掻き(植代掻き)のため、田んぼにつきっきり だった。
 サラリーマン稼業もあるので、週日は、早朝と夕方を使う。さすがにトラクター作業は、たとえ月夜であっても日が暮れてからは、したくない。足場の悪い田んぼの出入りで怪我をしたくないからである。しかし、鍬だけを使う手作業の畦塗りは、終わらなければ、日が落ちてからも続ける。これが結構、気持ちがいい。この時期、夜になると気温が下がるが寒いわけではない。夜陰に浸され田んぼの水に入って作業をしていると不思議な快感を覚える。月や星を友に仕事をせざるをえない兼業農家の、かくれた楽しみとも言える。

 トラクターは、田んぼの水の中で走らせたあとは、原則として、洗う。トラクター作業は日没までに終えるが、屋敷にもどると、ポンプでくみ上げた井戸水をホースで勢いよくかけてトラクターの泥を洗い流す。泥はまだ濡れているので、水の勢いで流れてしまう。井戸端には照明がないので、闇の中でトラクターの一部分を照らしだすヘッドランプの光を頼りに、水をかける。トラクターの洗浄が終わると、身体も濡れてしまう。

 田植えは、6月2日(土)を予定していた。しかし、代掻きが予定通り進まず、6月4日(月)になってしまった。サラリーマン稼業との兼ね合いを考えると、この日がリミットである。月曜日は授業も会議もないので、休暇をとれる。しかし、火曜日からは授業があり、月曜日にできなければ、田植えは一週間も遅れてしまうことになる。苗の生育状況を考えれば、それは避けたい。最後の代掻きは土曜日だった。ふつう代掻き後、三、四日はおいて田植えをする。代掻き直後は田の泥がまだ落ち着いていない(柔らかい)からである。だから月曜日の田植えは《見切り発車》だった。

 田植えは乗用田植機を使う。一昨年、それまで田植えを委託していた人が病に倒れ、去年から、10年落ちの中古田植機を買い求め、自分で田植えを始めた。田植え二年目。しかし、田植機は一年に一日使うだけだから、去年の経験は忘れてしまい、今年も田植え一年生。機械に慣れた人の倍も時間をかけて日没時になんとか作業を終えた。片づけ、田植機の泥洗浄などを終えて、帰宅したのは夜10時。

 田植機はパワーステアリングではないので、思いのほか握力を使う。ハンドルを回す腕力そのものは、一日操作しても、通常の農作業でのレヴェルを超えないが、握力は違う。一日の作業が終わると、両手の小指と薬指がつるような状態だった。

 ともかく、稲作の最初の大きな山はこれで越えたことになる。ひと安心。(田植えに関しては、植えつぎが残っている。田植機が植えなかった株を補植する作業である。)
村便り:2007-05-13(日) (井手堰き、里芋の定植など)
投稿日:2007-05-17(木)

 我が家の田んぼは三本の井手[農業用水路]に関係している。田植えの準備が始まる頃、それぞれで井手堰き[井手の整備]がおこなわれる。...

 我が家の田んぼは三本の井手[農業用水路]に関係している。田植えの準備が始まる頃、それぞれで井手堰き[井手の整備]がおこなわれる。四月下旬と先週日曜日に二つの井手堰きがあり、今日は最後の井手堰き。いずれも始まるのは朝8時、井手床[井手の源]あたりに集合して作業を始める。三本の井手は、いずれも川から水を引いているが、今日のは一番上流から水を引いている。だから最初の田んぼに至る道のりが長い。今は全線がコンクリートでかためられているうえに、関係する田んぼが多く、したがって人手も多いので、作業はさほどきつくない。2時間あまりで作業が完了。

 それから里芋類の定植にとりかかった。普通の里芋、八つ頭、京芋を温床で芽出ししていたが、すでに定植適期を過ぎていた。定植適期は、一枚目の葉が展開し始めるころ。里芋類は適期を過ぎると植え傷みしやすい。しかし、田植えの準備時期には畑の作物を十分に手をかけてやることができない。まあ、植え傷みしても、それなりの収穫はあるはず。普通の里芋を60個、八つ頭11個、京芋を2個定植。京芋の種は頂き物。ただ伏せたイモ16個のうち15個は腐ってしまい(伏せるまでの保存の仕方が悪かったため)、かろうじて生き残りのこったのはたったの一個。でも芽を二つ出していたので、二分割して定植した。

ズッキーニ定植
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定植したズッキーニ。
 畑の色は実際より赤っぽく写っている。
 定植する時は植え穴に水を一杯に入れてやり、定植してから株の回りにたっぷり水を掛けてやる。すると今の時期では、あとは水やりしなくても活着する。
 近所の食堂で遅い昼食を済ませて、午後はズッキーニの定植。黄と緑の二種のズッキーニをあわせて18株定植。さらにジャガイモの追肥と元寄せをした。
 その間、畦切りを終えた田んぼの一枚に水を入れる(「村便り:2007-05-12(土)」の三枚目の写真参照 )。

 帰宅して一日の疲れを取るためヨーガをしようと思ったが、風呂に入っている間に、子どもがヨーガをする部屋に布団を敷いたため、断念。疲れが溜まったままの身体で就寝。
村便り:2007-05-12(土) (畦切り)
投稿日:2007-05-14(月)

 五月始めの連休から少しずつやってきた田んぼの畦切りをようやく終える。田植えの準備は、大略を述べると、(1)荒起こし、(2)畦切りと畦かき...

 五月始めの連休から少しずつやってきた田んぼの畦切りをようやく終える。田植えの準備は、大略を述べると、(1)荒起こし、(2)畦切りと畦かき、(3)荒地(荒代掻き)、(4)畦塗り、(5)代掻き(本代掻き)の順におこなう。その第2番目の作業がやっと完了したことになる。

畦切り
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畦切り。
 畦切り専用の鍬とシャベルを使う。シャベルで目印をつけて、鍬で土をかき取る。最後にシャベルで凸凹を修正して仕上げる。この田んぼ(本文中の説明で概念図を使った田んぼとは違う)は去年休耕したので、かき取る土の量が多くなっている。
 畦切りは単純ではあるが、腰に負担のかかる作業である。腰の左右への負担を均等にするよう、時々、鍬を握る手の左右を入れ換える。たとえば右利きで打つときは右側の腰に負担がかかる。
コンクリート畦
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コンクリート畦。
 農道や井手を整備したところでは畦はコンクリートになっている。そのような畦は三つ鍬で土をかく。あらかじめ、シャベルを使って畦に直交する方向に、2、30センチメートル間隔に切れ目を入れると作業しやすい。
畦かき。
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横手の畦かき。
 この田んぼは農道際に横手を通してある。横手と田んぼの境もやはり土をかいておくと、トラクター作業に目安ができる。
 畦切りは畦塗りの下準備である。去年、畦に塗りつけた泥を専用の鍬でかき取り、畦を塗る「壁」を作る。畦にはモグラが住んでいるため、畦を切るとモグラが開けた穴が出てくることがある。その穴は泥で作った「栓」などでしっかりと蓋をしておく。さもないと田んぼに水を入れても、そこから抜けてしまうことになる。畦を塗るのは、傾斜地の田んぼでは、低い方向に向かう側の畦と、場合によっては、低い側と高い側を結ぶ畦である。田の記事で使った図を使って説明すると、下側の畦と、横手と田んぼを区切る狭い畦のうち、右側の取水口(入水口)と排水口(出水口)を結ぶ部分である。

 また畦をかくのはそれ以外の畦である。トラクターで耕耘したり代掻きをするとき、石垣やコンクリートで畦が作られているところでは、際[きわ]まで鋤くことができない。畦に近づき過ぎると、機械と石垣やコンクリート畦が接触するからである。だから、あらかじめ鍬で際の土を掘りあげておく。また、横手と田んぼを区切る狭い畦様の部分もかいておくと、トラクターを横手に寄せる限界の目安ができて、耕耘作業がしやすい。図にある田んぼでは、上の畦は低い石垣、左の畦はコンクリート製なので畦をかく。また、畦を塗るところ以外の横手もかく。


 畦切り・畦かきが完了した午後、トラクターで田んぼ二枚を荒起こし。草が生えていたので、その草を処理するためもないではないが、代掻きを二回すれば、それ以前に少々草が生えていても埋め込むことができる。だからわざわざ代掻き近くなって荒起こしをする必要はない。しかし、今年は代掻きを一回で済ます「実験」をしてみようかと思っている。そのために乾田状態のときに耕耘して草を処理したのである。


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