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ひろば(BBS)

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2006-03-07 ☆ 早蒔きの大根と人参

《春は露地への種蒔きを三月下旬から始める。しかし、春の野菜の端境期を少しでも縮めるため、二月半ばに大根と人参をビニールトンネルの中に蒔く。》



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 2月11日。種蒔きを終え、畝にビニールトンネルを掛けたところ。  縦ガンギ[畝の方向と直交するように作った蒔き床]を平鍬の幅に切って種蒔きをした。条間は保温と抑草のため藁を敷く。蒔き床には、種蒔きのあとスクモ[もみ殻]が撒いてある。保湿のためである。さらにその上に、保湿と防寒のため、被覆材(化学合成の不織布を使う)をべた掛け[支柱を使わずじかに掛けること]する。もっとも、ここまで手間をかけなくても、つまり種を蒔いただけでも、ビニールで覆ってあれば、発芽するはずである。中の様子は、さらに二番目と三番目の写真を参照していただきたい。
 ビニールの裾は、土を掛け、さらに重しになるもの(写真では、石と材木)で押さえてある。土を掛けただけでは強風、とくに春一番でビニールがあおられて、はがれてしまう。私はビニールの上からさらに支柱で押さえて強風に備えている。

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 3月4日。大根がほぼ全部、発芽している。
 大根の場合、私は蒔き床に、3cmほど間隔で一筋に蒔く。蒔き方を頭に発芽状況を見ていただければ、発芽率が想像していただけると思う。

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 3月4日。人参の発芽状況。草も生えている。人参は赤っぽい茎で、双葉が細長く、全体が垂れ下がったYの字型のもの。
 人参は、蒔き床の中央部にばら蒔きをする。大根は覆土するが、人参はしないか、わずかにするだけである。写真の人参は、種蒔きのあと平鍬の裏で鎮圧しただけで、覆土はしなかった。

春の、露地への種蒔きは、三月の彼岸(3月21日の春分を中日とする一週間)を過ぎた頃から始める。まず大根、人参、ゴボウなどを蒔く。前年度秋蒔きの野菜は、春になると薹が立ち、食用に適さなくなる。ところが、大根や人参は種蒔きのあと三カ月経たないと食用に十分な大きさに成長しない。だから、春は野菜の端境期である。大根や人参の間引き菜が手に入る(種蒔き後一カ月)まで、冬につけた漬け物や菜の花(アブラナ科野菜の薹)で端境期をしのぐ。

端境期を少しでも短縮しようと、私は二月半ばにビニールトンネルの中に大根と人参を蒔く。裾を隙間のないように押さえたトンネルの中は、晴れた昼間には30度から40度にもなる。そのようにして温度を確保し発芽と成長を促す。しかし、天気の悪い日や夜には、いくらビニールで覆っていても温度は下がる。だから、品種は、幼少期に低温にさらされても薹立ちが遅く、また低温でも成長するものを選ぶ。ただ、固定種からはこういった品種を見つけ出すことができないので、値段の高い一代交配種(「F1種」とも言う F1:first filial)を購入することになる。

ビニールトンネルは発芽まで密閉状態にしておく。すると内部の温度が上がるので土が乾燥し、水分不足で発芽しないのではないか、と心配される向きがあるかもしれないが、実際は、この時期は土中水分が多く、さらに水分が蒸発しても、ビニールに遮られて空中に飛散しないので、水やりなしでトンネル内の土は十分な湿度が保たれる。大根で一週間あまり、人参はさらに遅れて二週間ほどで発芽が始まる。

三月に入ると昼間に温度が上がり、トンネル内が過熱状態になる日がある。そのようなときには昼間だけトンネルの両端をめくって風を通してやる。そして夕方になる前に早めにトンネルを閉め、夜寒に向けて中を暖めてやる。ビニールトンネルを取り除くのは、三月の下旬、すなわち露地での種蒔きが始まる頃である。
 
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