天地人籟タイトル  
 
サイト内検索
 
▲次の記事
●記事一覧
▼前の記事
 
村の入り口
(TopPage)
 
 
ご感想やご意見は ...

ひろば(BBS)

e-mail
2005-10-28 ☆ 蕎麦の刈り取り

- 蕎麦の刈り取り適期- 島立て


(クリックで画像の拡大)
 島立てした蕎麦。
 蕎麦作りは、同僚と一緒にする「遊び」なので、私だけが作業するのではなく、農作業の経験がないため少々不細工になっても、私以外の人たちにもできるだけ多くの作業を楽しんでもらうことにしている。刈り取った蕎麦を藁で束ねる作業と島立ては、私は説明をしただけである。束ねるのは女性たちの、島立ては同僚である「弟」の、仕事である。
 まず、島立てした蕎麦が倒れないように、支柱を立て、その周りに、蕎麦の束を6つ、支柱にもたせかけるように立てかけて、頭を藁で縛った。そのような「島」が7つできた。

(クリックで画像の拡大)
 種蒔き後1カ月たった蕎麦畑。花が満開である。

(クリックで画像の拡大)
 稲束や蕎麦束の、藁を使った束ね方。手の動きは、絵が複雑になるので省略する。
 藁は3、4本使う。 緑色の線は、稲や蕎麦の束。右側が株元。黒い線が藁。
(1)藁を一周させて、しっかりと絞め(細い矢印)、半回転させる(太い矢印)。 (2)藁を半回転した状態。
(3)藁を矢印の方向に数回ねじる。
(4)最後に藁を稲などの束に押しつけるようにすると、藁が留まる。これ以上の処置をしなくても、稲束などを稲架掛けしても、藁がほどけることはない。

 この縛り方を応用して、キュウリなどの支柱を縛っても十分な耐久性と強度がある。

蕎麦を蒔いたのは八月二十四日だった。そのとき、大雑把に見通しを立てて、刈り取りは十月半ばになると考えていた。実際、その頃になると、刈り取り適期になっていた。


蕎麦の刈り取り適期
蕎麦は結実の始めは青いが、熟してくると黒くなる。また、一株の実は一斉には熟さない。だから、できるだけ多くの実が黒くなるのを待ってから刈り取りした方が収量が上がるように思われる。ところが、蕎麦には脱粒性がある。脱粒性とは、実が熟するとまもなく落ちてしまう、という性質である。野生が残っている作物にはこの性質がみられる。鳥などに食べられないうちに地面に落ちてしまい、いわば自己防衛するためである。(ところが、人間の手が入った作物になると脱粒しなくなる。稲などはわざわざ脱穀してやらないと、いつまでも籾が藁から離れない。)そのようなわけで、蕎麦は、まだ青い実が残っているうちに刈り取る。

隣のおばあさんは「半分黒うなったら刈らんにゃわからん[刈らなければいけない]」と言っていたし、「蕎麦は黒粒が三つぶらさがると刈ってよい」という諺を読んだこともある。青い実が残っていても心配はいらない。蕎麦は刈ってからも熟度が増し、刈ったとき青かった実もしばらくすると黒く熟する(後熟する)からである。脱粒性に加えて、後熟を考えあわせると、蕎麦は早刈りの方がいいことになる。実際に調査した結果では、自然脱粒による損失を考慮して、実の黒化率が70パーセントから80パーセントの時が刈り取り適期(すなわち収量が最大になる時)だそうである。


十月半ばはまだ稲刈りの最中であった。そこで十月二十二日(土)に蕎麦を刈り取ることにした。刈り取りには、種蒔きの時と同様、同僚家族も加わり、総勢六人での作業となった。

蕎麦はすでに十分すぎるほど熟していた。鎌は二本なので、一本は私がもち、もう一本は同僚に渡し、束ね方と刈り方を簡単に説明して刈り取り開始。刈った蕎麦は両手でつかめるほどの束にする。その束を藁で結ぶのであるが、これは女性と子どもたちに任せた。ただ子どもたちは、蕎麦を束ねるよりも、虫を追いかける方が面白いようであった。


島立て
刈り取り束ねると、今度は乾燥と後熟のために島立てをする(画像参照)。稲の場合、稲架掛けして乾燥する。すると、株元と穂先は上下逆さまになり、穂が下に向かって垂れるが、稲の場合、脱粒性がないので、その状態でもかまわない。ところが、蕎麦の場合、むろん稲架掛けは可能だが、脱粒性を考えると、穂先は上に向いたままがいい。また、稲架掛けは、竿に掛けるため束ねた株を二つに分けるが、その時、実が脱粒しやすい。そこで、蕎麦は島立てをする。(島立ての理由は、経験者に聞いたり本で読んだりしたわけではないが、おそらく私の推論するようなものだと思う。)


島立てが終わると、同僚は食べられるまでにすべき残りの作業を尋ねた。脱穀、箕を使っての精製。ここまでは屋外の作業である。それから、製粉して蕎麦を打つ。最初の作業の脱穀は、乾燥は、途中で雨が降らないとして、10日ほどかかるから、2週間後の週末になるだろか。
 
先頭に戻る
 


てつがく村
depuis le 1er avril 2000