てつがく村の入口 | てつ人の雑記帳
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村便り:2013-08-03(土)/04(日) (田の草取り。コナギ)
投稿日:2013-08-07(水)

 今夏、二度目の田の草取り。昔は1シーズンに三回、田の草取りをしたそうだが、除草剤が普及した今では、せいぜい拾い草[ぽつりぽつりと...

 今夏、二度目の田の草取り。昔は1シーズンに三回、田の草取りをしたそうだが、除草剤が普及した今では、せいぜい拾い草[ぽつりぽつりと生えている草を取ること]を1回するくらいである。しかし、有機農家でもないのに(有機農家は除草剤を使用しない)、田を這っている百姓もいる。それが私なのである。

コナギ
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コナギ。
根もとあたりで枝分かれし、茎は土を這いながら、葉っぱだけを水の上にのぞかせる。太い茎からは根が生じる。数株が生えている、と思って抜こうとすると、1株であることがよくある。茎は折れやすい。
 
 3年前に、コナギが大発生した田んぼがあった。それまではコナギを意識したことがなかったが、その大発生をきっかけに知ったのは、コナギは水田の、優勢化する[他の雑草を駆逐して田んぼを独占する]強雑草[多大な被害を与える害草]であり、また、除草剤使用以前には、よく見られた雑草であることだった。

 百姓を始めてしばらくはヒエに悩まされた。水管理(ヒエは湛水状態では発芽しない)、除草剤の適期使用(ヒエは3葉期になると除草剤は効かない)、および除草を心がけた結果、いまではヒエの発生はほぼ抑えている。しかし、コナギはそうした対策では抑えきれない。とりわけヒエ抑草には有効である湛水状態が、コナギにとっては好適な発芽条件なのである。このことを知ったのも、あの大発生以降である。一般に発芽には、酸素が必要であるが、コナギは日光が射し込む無酸素状態で発芽する。すなわち、代掻き後、田植え間もない水田の状態、水が湛えられ、また稲が小さいため陰がない、という状態がコナギにとってはこのうえない発芽環境なのである。また、コナギは、経験からすると、双葉(2葉期?)の状態になると、水没していても除草剤が効きにくい。(除草剤は水に溶けて、水没している雑草の地上部分に作用する。)ヒエの成長を基準に除草剤を施しても、コナギにはすでに手遅れになっていることがある。


出穂
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出穂。
ただし、隣の田んぼでのこと。品種はキヌヒカリ。早稲。稲刈りは9月中になる。夏のような暑さのなかでの稲刈りになるが、昨今は機械化されているので、作業は思ったほどはきつくない。でも、稲刈りはやはり涼しくなった秋だろう、というのが私の感覚。
 
 私の、このような無知をさいわいに、いつのまにかコナギが田んぼにはびこっていた、というわけである。

 田んぼを這いながら、コナギ対策を考えた。

 ①代掻きは、荒代掻き[田んぼに入水して大まかに代掻きをすること。そのあと畔塗りをする。]と植え代掻き[田植え前の丁寧な代掻き]を二度するが、二度の代掻きの間隔を2週間ほどあける。すると、最初の代掻きのあとで雑草が、したがってコナギも発芽する。発芽した雑草を二回目の代掻きで除去する。雑草の種のすべてが発芽するわけではあるまいが、それでも、種の一部を処理することができる。(最初の代掻き時に除草剤をまく人もいる。この除草剤で発芽してきたコナギは死滅するだろうが、私としては、除草剤は田植え後1回に限りたい。)

 ②二回目の代掻き後、3日ほどで田植えをする。ものの本によれば、コナギの発芽開始までには1週間ほどかかるそうである。したがって、植え継ぎをすぐに済ませて、田植え後、1週間までに除草剤をまく。すると、除草剤はコナギに効果的に効く。



夏水仙
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夏水仙。
畑の隅の、木陰に咲く夏水仙。水仙の色が白っぽくなってしまった。木陰の涼しさも表現しようと思ったが、カメラの操作が悪く、色ないし明るさは木陰に重点がおかれてしまったようである。
 7月半ばに腰を痛めた。担桶[たご]で水を運んだとき、運び方が悪かったため、担桶を前後にぶら下げる棒を担ぐ右肩側の腰(つまり右の腰であるが)を痛めた。それが今でも完治しない。草取りをはじめる前は、悪化しないか、と不安だった。悪化するようであれば、草取りは中断しようと思っていた。ところが、草取りで痛みが軽減したのである! 中腰で前かがみの姿勢が痛めた関節のずれ(?)を調整してくれたのだろうか。不安とは逆の効果があらわれ、草取りの疲労感が少し軽くなった。
村便り:2012-06-08(金) (初夏の田んぼ仕事は一段落)
投稿日:2012-06-08(金)

(画像は、後から追加するかもしれません。) 田んぼの仕事が一段落ついた。田植えを5月26日(土)と5月28日(月)に二回に分けてやり、除草...

(画像は、後から追加するかもしれません。)

 田んぼの仕事が一段落ついた。田植えを5月26日(土)と5月28日(月)に二回に分けてやり、除草剤(あっさりとありていに「くさがらし」とも言う)を6月5日(火)と6月7日(木)の夕方に、これも二回に分けて散布した。田植えが済めば一段落ではないか、と言われそうだが、田植え後、1週間ないし10日くらいに行う除草剤散布が終わって、稲が育つ環境が基本的に整うので、ここで一段落する。

 田んぼの草は繁茂すれば、稲の生育に影響する。一昨年、コナギが気味悪いくらいに繁茂した田んぼがあった。稲は生育不良におちいった。茎葉の色は抜けて黄緑になり、草丈も伸びなかった。百姓を始めてしばらくはヒエに悩まされたが、近年、ヒエはなんとか抑えることができるようになった。そこに新手の草が現われた、というわけだ。(むろんコナギは以前から生えていたが、繁茂することはなかった。)その田んぼは去年は休耕にして畑に転換したが、今年はまた水田に戻した。田植え後7日、水のなかを覗くとはたして、コナギが田んぼ中に芽を出していた。あわてて次の日に除草剤をまいた。除草剤を散布すると田んぼの水は深水状態にする。発芽した草を水没させて水に溶けた除草剤を効かせるためである。除草剤がうまく効果を発揮してくれれば、あとは稲刈りまでほとんど田んぼのなかに入る必要ない。(除草剤のなかった昔は、夏に三度ほど田んぼを《這った》そうである。)

 今年は例年より一週間ほど田植えを早めた。例年は6月に入って最初の週末に田植えをする。しかし、今年はその週末にどうしても学会出席のため出張しなければならなくなった。その学会の春季大会は毎年、田植えと重なる。だから、春に出席することはあまりない。では、田植えの時期を一週間前とか後とかにずせばいいではないか、と言われそうだが、ずらすのは実際はなかなか難しい。早めようとすれば、とりわけ授業との関係で、時間的かつ肉体的にハードなスケジュールになる。後にすると、田植えの準備(とりわけ代掻き)がうまく進まない。しかも、稲刈りと脱穀の時期がそれだけ遅くなり、初冬の気象状況との関係で作業に支障がでる。しかし、今年はやむなく田植えを一週間ほど早めた。スケジュールをこなすため、有給休暇を時々とらざるをえなかった。さいわい、金曜日と月曜日は授業や会議がない。だから、金曜日から月曜日まで連続して四日間農作業をやったこともある。田植えの後は植え継ぎ(田植機が植えなかった部分を手で植える作業)、その植え継ぎの途中で学会出張となった。三日間の出張はまるで骨休みのようなものだった。(むろん出張中、やるべき仕事はきちんとしました ← 笑)。

 田んぼに時間と体をとられている間に、畑は《壊れ》てしまう。一段落ついて、畑に帰ってみると《畑、春にして草木深し》状態。何も植えてない畝には草が高々と茂り、野菜をまいたところでは、野菜が草に埋もれてしまっている。《通いの一人兼業農家》の身では致し方ないこととはいえ、また、毎年おなじことの繰り返しとはいえ、現実を目の当たりにするたびに愕然とし暗然となる。だから、田植えの終わりは、希望と絶望が交錯するとき。秋の実りへの希望と、夏野菜への絶望とが、プラスマイナス・ゼロにならないで、心のなかで両者がせめぎ合い、むしろマイナスが優勢になる。

 絶望を希望に転ずるために、さあ畑に帰りますぞ!
村便り:2012-03-30(金) (歩みの遅い春にニンジンを蒔く)
投稿日:2012-03-31(土)

播種:ニンジン 今年は春の歩みが遅い。(クリックで画像の拡大)エンドウの支柱。3月25日。 支柱の手前では、「村便り:2012-03-19(月) (踏み込...

播種ニンジン

 今年は春の歩みが遅い。

エンドウの支柱
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エンドウの支柱。3月25日。
 支柱の手前では、「村便り:2012-03-19(月) (踏み込み温床)」で掲載した梅の蕾が、咲き始めている。支柱の右向うには、踏み込み温床が見える。
 3月25日(日)に実エンドウのウロ(支柱)を立てた。エンドウの隣では梅がようやく開花を始めていたが、その花びらを吹き飛ばすかのように強風が小雪まじりに吹き荒れた。


レタスとエンダイブの発芽
(クリックで画像の拡大)
レタスとエンダイブの発芽。(画像はあとから追加)
温床での発芽状況
 踏み込み温床のなかのナス科の育苗箱では、ほとんど発芽が見られない。二日ほど前に、トマトがひとつだけ発芽していただけ。トマトはナス科(第一温床で育苗を始めた野菜はすべてナス科)の中でも寒さに比較的強い。しかし、他のプラグトレイは発芽の気配さえない。3月21日に種蒔きをしたから、すでに一週間をすぎている。順調なら、この時期には他のナス科も発芽を始めている。

 アブラナ科のカリフラワーは順調に発芽している。しかし、キャベツの方はまだ発芽していない。キャベツの方が低温に弱いか、あるいは、種が古くなっているのか、原因ははっきりしない。

 ベランダ育苗のレタスとエンダイブはすでに発芽。


ニンジンの播種
(クリックで画像の拡大)
ニンジンの播種。(画像は後から追加)
露地での初種蒔き
 今日は夕方、ニンジンの種蒔きをした。露地での種蒔きの第一号である。ダイコンも蒔こうと思ったが、まだ気温が十分に上がっていないので、延期した。春に蒔くダイコンは薹立ちが早いが、低温時に蒔くとさらに早くなる。
村便り:2012-03-22(木) (畑の耕耘)
投稿日:2012-03-25(日)

 明日は一日雨の予報。(クリックで画像の拡大)井戸から水を汲みあげるポンプと蛇口は冬の間、凍結防止のため防寒しておいた。彼岸が過ぎたの...

 明日は一日雨の予報。

防寒を取り除いたポンプ
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井戸から水を汲みあげるポンプと蛇口は冬の間、凍結防止のため防寒しておいた。彼岸が過ぎたので、防寒の装備を外すことにした。
 ソメイヨシノの開花始めが種蒔きを始める目印だが、彼岸も過ぎたので、そろそろ露地野菜の種蒔きを始めたい。とはいえ、畑の準備がまだできていない。昨シーズンは野菜作りに力が入らなかったので、空いている畝が多い。本当は冬の間に土を一度ひっくり返しておきたかった。冬の寒気にさらされた土は崩れやすくなる。たとえば赤土の塊があるとする。冬を経るとぼろぼろに分解する。ところが、春から秋の間だといつまでも固まったままである。畑が気になりながらも、しかし、とうとう春になってしまった。空いている畝には草が生えた。除草して耕耘すれば、すぐに使える畑になるが、広さからして、また草のはびこり方からして、除草といった悠長なことはしていられない。それでもともかくも、荒起こしはしておきたい。

 雨がたっぷり降れば、数日間は、耕耘できない。そこで、今日は一日休暇をとり、畑の荒起こしをすることにした。


 2月終わりに刈った草は枯れている。その草を取り除き、以後また伸びた草を刈り払った。それから、耕耘を始めた。

畑の耕耘
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畑の耕耘。草の生えている畝を荒起こしする。
 
畑の耕耘
(クリックで画像の拡大)
上の画像とは別の区画の畑を耕耘し終わったところ。
トラクター、耕耘機、牛耕
 今回は畑にしては耕耘する面積が広い。耕耘しながら、トラクターを導入する前、田んぼを耕耘機で起こしていたことを思い出した。トラクターに比べれば耕耘機は、耕耘幅が狭いし、速度も遅い。また、扱うのに力が要る。トラクターは女性でも操作できる。しかし、耕耘機になると男性でないとなかなか扱えない。いま思えば、時間もかかり、力も必要な耕耘機でよくも辛抱強くたがやしていたものである。もっとも、耕耘機もそれ以前の動物耕に比べれば、はるかに能率的である。おそらくは2、30㎝幅の鋤を使い、牛の歩く速度で進みながら。何回も何回も往復して少しずつ土を起こしていく牛耕。機械で耕耘することに慣れた身からすれば、気の遠くなるような単調作業である。そんな昔話を、若いころに牛耕をしていた古老から聞いたことがある。その人は「今の百姓は百姓じゃなあ」と昔の労苦と今の安楽とを比較して言った。

 耕耘し終わると、排水溝を耕耘した区画の周りに作っておく。9時ころから作業をはじめて、耕耘機の土を洗い流しおえたのは18時ころだった。あたりは薄暗くなっていた。
村便り:2012-03-21(水) (温床育苗開始)
投稿日:2012-03-24(土)

播種(温床育苗):【第一温床】ピーマン(普通ピーマン、パプリカ)、トマト(普通トマト、調理用トマト)、日光トウガラシ、鷹の爪、シシ...

播種(温床育苗)【第一温床】ピーマン(普通ピーマン、パプリカ)、トマト(普通トマト、調理用トマト)、日光トウガラシ、鷹の爪、シシトウ、伏見甘長、長ナス、【第二温床】キャベツ、カリフラワー
播種(露地育苗)レタス、エンダイブ[苦チシャ]

 3月19日に踏み込んだ温床は発熱が始まった。踏み込んだ藁に手を当てると熱を感じるが、まだ温度は上がりそうである。温床に育苗箱を入れるまえに、地温計を差し込んで堆肥の熱をはかることもあるが、今回は省略して、午前中にプラグトレイに種蒔きをした。

温床で育苗を始めたプラグトレイ
(クリックで画像の拡大)
温床で育苗を始めたプラグトレイ。
 この時期の温度が発芽適温としては低すぎるナス科は、第一温床で育苗。また、保温したら発芽が早まるアブラナ科は第二温床で育苗。さらに、25℃以上になると種が休眠してしまうレタスは自宅のベランダで育苗。

 日光トウガラシは今年はじめて作る。正確には去年はじめたが、去年の温床はイノシシに荒されて苗ができなかった。まだ青い莢を使って醤油漬けなどにして食べられるというので、作ろうと思った。暑い時期には食が進みそうな加工品である。

 エンダイブは日本ではあまりなじみのない野菜だろう。形はサニーレタスに似ているが、色は緑。レタスと同じキク科だが、別名で苦チシャというように苦い。軟白すると苦みがやわらぐ。サラダに混ぜて食べる。初秋蒔きが本来の作型だと思うが、種袋に春蒔きもできるように書いてあったので試そうと思う。(初秋蒔きはすでに経験済み。)

(エンダイブを私がはじめて食べたのは、巴里での留学生時代。仏蘭西語ではシコレ[chicoree]と言う。英語に直せば、チコリ[chicory]。ところが、チコリは日本では(英語圏でも?)、別の野菜の根っこを伏せて発芽したものを軟白して、サラダとして食べる野菜。逆に、エンダイブ[endive]を仏蘭西語風に発音すれば、アンディーヴだが、仏蘭西語圏ではこれが日本のチコリに当たる。私が二つの野菜をはじめて経験したのは仏蘭西語圏だったので、日本では、チコリとエンダイブが入れ替わっていたのには面食らった。ただ根っこから発芽したものを軟白して食べる野菜も苦いので、両者は近い親戚かもしれない。ちなみに、アンディーヴ=チコリは手間がかかるためであろう、高価な野菜。日本でも種は販売していて、また栽培もできる。栽培は経験済み。)[この段落の説明、分かりました?]
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