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2006-02-13  キャベツの定植

《立春が過ぎて、今年はじめての野菜を畑に放した。自然畝へのキャベツ苗の定植である。今回はじめて、株の間隔を、普通栽培の場合より広くしてみた。》



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 去年ピーマンを栽培した畝に定植した。畝幅は120cm。畝の方向は、地面においた薄緑のポールのそれと同じである。ポールは畝を半分に割る位置よりわずかに左寄りに置いてある。
 ピーマンは40cmの株間隔で、畝方向と平行に2条植えしてあった。キャベツはピーマンの枯れた株の間に定植した(ピーマンの株は、枝部分は邪魔になるので折ってある。)ので、ピーマン同様の2条になっている。今までは、同じ畝幅に3条にして植えていた。
 定植する場所は穴を掘り、肥料として、牡蠣殻肥料(穴の中の白い粉末)と発酵鶏糞(シャベルに乗っている茶色の粉末)を入れて土と混和した。

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 キャベツに虫よけネットを掛けたところ(2月7日の朝)。ネットの裾は石で押えてある。
 2月6日に降った雪に埋もれてネットは潰れてしまったが、苗が小さかったので、茎が折れるなどの被害はなかった。雪のことを考えれば、支柱は写真の数より倍にすべきであった。
12月と1月は、寒さと短い日照時間のために野良仕事に出るのがおっくうになる。この時期はどうしてもしなければいけない作業もないので、自然と屋内にとどまりがちになる。しかし立春(2月4日)も近づくと、春に向けてそろそろ始動しなければいけないかな、と思いはじめる。そして暖かい屋内にまだまだとどまっておきたい心を励ましては、野良仕事へと向ける。


立春の次の日、2月5日に今年になってはじめて、野菜を畑に放す作業をした。キャベツの定植である。最後にそうした作業をしたのは昨年の11月12日、実エンドウとスナップエンドウ[スナックエンドウ]の種蒔きだから、二カ月半ぶりの作業ということになる。

キャベツは10月30日に播種して、ベランダで育苗した。三カ月ほどの育苗のあと、やっと定植できる大きさ(本葉が五枚程度の大きさ)になったので、自然畝に定植することにした。

自然農法の試みは、今年の春で六年目になる。自然畝はそれらしい外見になった。冬枯れの時期でも、枯れ草が地面を覆っているため、最初の二、三年までのように、土が露出することはない。くわえて昨年から施肥という点に関してひとつの方向性を見いだしたこともあり(「自然農法再考」)、今年は自然農法の試みを拡大していこうと考えている。


キャベツはこれまでも何度か自然農法を試みて、なんとか収穫できるものができていた。しかし肥料の関係で、小さな球にしかならなかった。通常の栽培方法によるものほどの大きさではないにせよ、もう少し大きな球にならなければ、自然農法を続けていく意欲が萎えてしまう。そこで、今回の定植にあたり、穴施肥とともに、定植の間隔を工夫することした。

自然畝では、前作の野菜が結実して、その種が次のシーズンに発芽することがある。たとえば菜っ葉類とか大根がそうである。ところが、こぼれ生えの野菜の中にはなかなか見事に育つものがある。その理由としては、畑の肥沃度とか種が受け継いだ形質とかが考えられるが、さらに同じ野菜の生育密度も関係しているように思える。種はたくさん落ちるはずだが、育つのはその中のごく一部であり、結果として、こぼれ生えの野菜の生育密度は疎らになる。

普通の栽培方法では、作物は成長したときの大きさと管理を考えて、株間隔や蒔き条の間隔を決める。畑を有効に使うため、疎植にはしない。それでも、作物の種類と密度に応じて肥料をあらかじめ畑に投入しておくので、作物がお互いに肥料を奪い合って、生育に支障が出る、ということにはならない。

ところが自然農法では、普通の栽培のような施肥はしない。すると、同じ作物は同じ肥料分を要求するので、密植すれば少ない肥料の奪い合いがおこり、共倒れになってしまう。しかし、同じ作物が疎らにしか生育していなければ、他の草との競合はあるにしても、それらとは肥料の量と種類の必要度が違うので、不施肥を原則とする自然農法にしては、立派な生育をするのではないだろうか。

以上のような観察と推論をもとに、株の間隔を少し広げることにした。具体的には、生育密度が、従来と較べて、三分の二になるようにした。株間が広がれば、それだけ風通しがよくなり、病気も少なくなるのではないか、と思われる。もっとも、わが農園の場合、キャベツの病虫害でとくに問題になるのは、蝶や蛾の幼虫による葉の食害と、自然畝でのネキリムシによる茎の切断である。そのうち、葉の食害は、結球がある程度進むまで防虫ネットを被せることで防ぐことができる。

9月終わりから10月半ばにかけて播種したキャベツ(去年の播種は少し遅れた)は寒い時期にじっくりと初期生育をする。そして5月(9月末播種のもの)から6月(10月半ば播種のもの)に収穫期を迎える。品種を選べば春先に種蒔きして6月に収穫することができるが、冬を越したものの方が暖かくなってから病気にかかりにくく、健康に育つようである。
 
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