サイト内検索
ひろば(BBS)
メール送信
てつがく村の入り口に戻る
            
> 農耕の合間に >
 
 
2005-09-08  定植したばかりの苗を襲うネキリムシ
《自然農法では、野菜が幼少期を生き延びるかどうかがひとつのポイントになる。自然畝には、生育し始めたばかりの弱い野菜を狙う虫たちが棲息しているからである。そこで幼少期の安全を保証するためにポット育苗を利用することにしている。
 しかし、ネキリムシは定植したばかりの苗をかじってしまう…》
- 野菜の幼少期をいかに安全に過ごさせるか- ネキリムシ- 急いては事をし損じる

ベランダ・ポット育苗を自然農法にも活用しようと思ったのは、作物によっては直播きした場合、幼ないうちに虫に食害されて消えてしまうことがよくあったからである。


(クリックで画像の拡大)
 活着したカリフラワー(2004年9月23日)。
 六枚目の本葉が出始めている。二枚の葉っぱには虫が食った跡があるが、この程度は問題ない。

(クリックで画像の拡大)
 ネキリムシにやられたキャベツ(2004年9月23日)
 写真の上辺、左から三分の一あたりから地面に突き刺さった葦の、枯れた茎が見えるが、その直ぐ下に、地面近くで切られたキャベツの茎がある。その下に、やはり切られた葉っぱが地面に落ちて枯れている。

(クリックで画像の拡大)
 ネキリムシ。繁っていた草を刈って耕耘した畝で。
野菜の幼少期をいかに安全に過ごさせるか
除草しないのを基本とする自然畝は様々な虫が棲息し、いわゆる害虫も多い。種は、発芽してから虫に食べられることを見越して、多めに蒔くのだが、それでも株が欠けるところが出てくる。しかし、野菜は或る程度まで生長すると抵抗力がつき、少々食害されても、それに負けることはない。だから、自然農法のポイントのひとつは、作物に幼苗期をいかに安全に過ごさせるか、ということにある。自然畝は、除草してある普通の畝に較べて、共存・共食・共栄の野生の状態に近いのである。

そこで、ベランダ・ポット育苗で安全に幼苗期を過ごさせてから、自然畝という「自然状態」に放つことにした。

育苗する作物は、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、レタス、キュウリ、オクラ、セロリなどである。すなわち「自然状態」での幼苗期に不安があり、かつ移植可能な作物である。

この方法はおおむね成功している。たとえばキュウリの場合は、ウリハムシに食害されるが、本葉が四枚程度で定植すると、古い葉が食害されているうちに次々と新しい葉が出てきて立派に生長する。


ネキリムシ
ただひとつだけやっかいな食害がある。ネキリムシが定植したばかりの苗を切ってしまうのである。ネキリムシはカブラヤガかタマナヤガの幼虫で地中1cmほどのところに昼間は隠れていて、夜になると地上に出て茎をかじる。すると茎は根元から何か刃物で切断されたようになる。そして食害された野菜は枯れてしまう。ネキリムシは、冬期を除いていつも発生し、しかも草の生えているところに多いという生態があるので、除草も耕耘もしない自然農法にとってはやっかいな虫である。普通の畝でも、それまで草の生えていたところを除草・耕耘したところではネキリムシの食害が多い。

ネキリムシは株が大きくなるとかじらなくなる。たとえば長い育苗期間を経て一番花が開くころの大苗を定植するトマト、ナス、ピーマンなどは、ネキリムシにやられることはない(少なくとも私には、経験がない)。だから幼苗期に定植する作物は、定植適期ぎりぎりの大苗を定植すると、比較的ネキリムシの害が少ない。(たとえばキャベツやブロッコリーは、本葉5枚が定植適期の最後であるから、本葉6枚目が出だしてから定植すればいい。)逆に、早植えするとネキリムシに限らず虫害に遭って生育不良になりやすい。

もし茎が切られてネキリムシの存在が疑われる場合には、株の周囲を浅く掘り返して見つけ出し(「浅く」がうまく発見するコツ)、退治する。退治しないと隣の株もネキリムシの餌食になってしまう可能性が高い。なおネキリムシは、灰色がかったアオムシ様の幼虫であり、掘り出すと丸まる。

ともかくネキリムシの虫害は、自然農法では予防的な対応はできず、事後的に対処するしかない。


急いては事をし損じる
ちなみに八月終わりにキャベツなどを定植したが、他のスケジュールの関係で、まだ定植適期最後に至っていない幼苗を定植したため、見事にネキリムシなどの虫害に遭ってしまった。順調に育っていた苗も、身体のできる前では、共存・共食・共栄の自然状態は過酷であったようである。

 
先頭に戻る


てつがく村
depuis le 1er avril 2000