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ひろば(BBS)

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2006-05-23 ☆ 泥水へダイビング!


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 手前の、荒代掻きの終わった田んぼに落ちた。写真、右から左に向かって幅30cmほどの畦を歩いているときである。
 写真の車は、我が愛車。究極のオフロードカー、とでもいうべきか。
六月四日の田植えに向けて、いまは田んぼづくりに忙しい。田んぼづくりの最終段階は代掻きであるが、代掻きは荒代掻きと植代掻きの二度行う。先週末は、第一回目である荒代掻きをした。土曜日は、地域科学プログラム(私が関係する学部の教育組織)の第一回卒論中間発表会があり、その合間を縫って、学校から田んぼまで車で片道40分の距離を往復して田んぼに水をあてた。その日の夕方はさらに、斜面の下側にある畦からの水漏れを防ぐため、畦際ををトラクターで走った。翌日の日曜日に午後、三枚の田んぼを代掻きした。代掻きは別の記事で詳しく書くつもりであるが、今日はちょっとしたエピソードを書いて、泥相手に奮闘中の一コマをお見せすることにする。

村全体は緩い傾斜地にあるため、田んぼも緩い階段状になっている。しかも、圃場整備がしてないので、区画は狭く、地形に沿った変則的な(四角形をありうべき形だとすれば)形をしている。だから、トラクターを使う場合、田んぼの出入りに非常に神経を使う。下手をすれば、段差の乗り越えのさいトラクターが倒れることもありうるからである。トラクターを田んぼに入れおえてほっと胸をなでおろす、というのも大げさではないほどである。

さて、日曜日の午後、田んぼ一枚の代掻きを終わり、一つ上の田んぼにトラクターを入れた。そして、代掻きを開始する前にトラクターを降りてこまごまとした準備をしていた。下の田んぼとの境の畦をトラクターに向かって歩いているとき、何にかは分からないが、足が引っかかった。たぶん最初は片方の足がとられたのだと思う。そして身体を支えるため出そうとしたもう一方の足もまた何かに引っかかった。この状態で身体を支えるにはもう両手しか残っていない。しかし、不幸なことに、身体の倒れたのは下の田んぼに向かってであった。あっ!手を差し出すべき地面がない、と思うや、下の田んぼに向かってダイビングしてしまったのである。二つの田んぼの上下差は80cmほど。次の瞬間、前向きで左体側から泥水の中に落ちた。接地すると半回転して仰向けになり、すぐに身体を起こしたものの、腰から下が泥に浸かった。

余裕をもって作業をしないと大怪我をするよ、と天からの警告だったのかもしれない。着替えはない。しかしいったん農作業の拠点である屋敷(跡)の小屋に戻り、シャツとズボンについた泥を水で洗い流した。下着は上半身も下半身も吸水しやすく乾燥しやすい素材でできたものつけている(薄手のこの下着は、冬は暖かいし、夏は汗を吸収して発散してくれるので、とても重宝している)。それを洗って再び身体につけた。水を絞ったばかりでも、素材のおかげであまり不快ではない。その上に、水を絞っただけのシャツとズボンを着て作業を再開した。衣服は一時間もすればだいたい乾いた。一日の終わりには晴天のおかげもあり、すっかり乾いてしまっていた。

帰宅すると夜の8時過ぎであった。口をきくのも億劫なほど疲れ切った私の雰囲気を察して、子どもは口をかけてこない。触らぬ神に祟りなし、である。しかし、泥水で「泳いだ」ことを話すと、子どもは面白がって話に乗り、場が和らいだ。もしかしたら、泥水へのダイビングは、疲労だけを持ち帰ろうとする私に天がもたせた、はじける話題だったのかもしれない。疲れても楽しまなきゃ、一日生きた甲斐がない、と。

 
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