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子芋掘り 2000-12-24

田圃で作っている子芋を掘りに行った。友人に送るためである。今年は、子芋はよく出来た。

7月中旬。右隣は黒大豆。 子芋は休耕田で作っている。子芋は、原種が沼地のようなところに生育しているそうであり、事実、畑より田圃の方がよくできる。休耕田といっても、田圃は、畑に較べれば、土壌水分が多いからである。かつて田圃は余すところなく稲が栽培されていた時分には、畑の中でも水分の多いところを選んで子芋を植えていた。

それにしても、今年は出来がいい。理由は確かではないが、あえて考えてみれば、追肥と元寄せが計画通りできたからだろう。5月初めに定植してから梅雨明けごろまでに、2、3度、追肥と元寄せをする。株元に土を寄せる「元寄せ」をするのは、芋は暗くないと大きくならからである。暗い方がいい、といっても、土を掛けすぎると逆効果になるので、芋の成長に合わせて少しずつ元寄せをする。今年は、珍しく、狙った時期に3回、元寄せができた。(1回目は親芋のため、2回目は子芋のため、3回目は孫芋のため、になったのだろうか。)

子芋は、9月初めごろから掘り上げることができる。最初のうちは、ただ茹でるだけで美味しい。調味してしまうのが、もったいないくらいである。茹であがった子芋は、皮の上から中身を指で押し出すようにすると、皮がつるりと剥ける。醤油を少しつけて食べると、ソバがきを連想させるような味がする。酒をちびちびやりながら、子芋を食べるのが、初秋の楽しみのひとつ。

掘り上げた子芋 里芋は、子芋だけではなく、親芋も食べられる。子芋に較べれば、堅いが、甘味がある。もっとも、春先になると、食用には適さなくなる(種芋にはなる)。

子芋を保存するには、掘りあげて子芋を親芋につけたまま囲う方法もあるが、我が家は、3月終わりまで、畑にそのまま置いておく。ただ、熱帯原産の子芋は寒さに弱く、5度以下では低温障害で腐ってしまうので、スクモをたっぷりと掛けて、寒さを防いでやる。3月終わりに掘り上げた芋は、4月初めに温床に伏せて、芽出しをする。種芋にならず余った芋は、4月いっぱいは食べる。だから、子芋は、1年のうち8カ月ほどは、食卓にのぼることになる。

芋株は、四つ鍬を株の近くに打ち下ろし、梃子の原理を使って掘り起こす。それから、子芋や孫芋を一つ一つ、押すようにして、ポキリと親芋から外す。今日は、掘り上げると、土の中から冬眠中の殿様蛙が、いかにも眠そうな目つきで出てきた。晴れて昼間は暖かい陽射しだったが、やはり寒いのだろう、緩慢な動きで土の陰に移動して行った。

目を覚ました蛙
写真上でクリックすると、蛙が拡大されます。

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用 語 集
子芋
里芋のこと。村では、子芋や孫芋を食するタイプの里芋を「子芋」という。なお、「里芋」は、「山の芋」に対して使われる名称であり、子芋を食べるタイプに限られるわけではない。
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スクモ
もみ殻。語源は不明。
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四つ鍬
4本歯の備中鍬。畑や田圃の土を掘り起こす時に使う。3本歯の「三つ鍬」は、土を掘り起こしたり、芋類(ジャガイモやサツマイモ)を掘り上げたりするのにも使うが、また、中耕する時にも使う。柄と歯がなす角度は、四つ鍬の方が広い。四つ鍬は、中耕には向かない。
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てつがく村
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