てつがく村の入り口に戻る
  日  々  想  々 2000年  次の記事
記事一覧
前の記事
> 農耕の合間に >
 
エノコログサ(ネコジャラシ) 2000-07-18

最近あちらこちらでエノコログサの穂が目立ち始めた。エノコログサは7月から10月にかけて出穂する、と本にあるので、今は出穂の走りなのか。

風にそよぐ狗尾草 私の農園では、休耕田の一部にエノコログサが群生しているところがある。一般に、休耕田の草は畑とは趣が違う。しかし、休耕を続けていると、乾田は畑化して、植生が乾燥地に似てくる。エノコログサが立っている田圃は、今年で休耕4年目になる(来年は稲を作ろうと思っているが・・・)。

写真のエノコログサは、背丈が高いもので120cmくらいある。普通に見るものは、これほど高くはない。本にも、50cmから80cmになる、と説明してあるので、ここに生えているのは大柄である。長年の休耕で土が肥えているためだろう。夕方、陽が低くなると、写真左に植えてある黒大豆が陰になるほどである。(休耕すれば、すなわち、耕地を〈荒らし〉ておくと、逆説的であるが、土が肥える。生えてくる草が堆肥となって、土を肥沃にするからである。)

エノコログサは、「狗尾草」と書くように、犬の尻尾に似ている。風にそよぐ様は、犬、とりわけ日本在来の犬が尻尾を動かしている様を思わせる。写真のように、大振りの穂がいくつも風に揺れ動くのを見ると、群れなす動物のようなエネルギーさえ感じる。

アワは、エノコログサがおそらくは中国で栽培化されたものだろう、と言われている。事実、アワとエノコログサとの間には稔性の雑種ができるそうである。小さいころは村にもアワが栽培されていた。隣のおばあさんによると、春ジャガの後にアワやキビを蒔いていたそうである。すると、7月始めが播種期か。遅いような気もする。あるいは、ジャガイモは早々に収穫してしまっていたのか。アワやキビは餅にする。「昔ゃ、米の餅は男しか食えんかった。女はアワやキビの餅を食んよ。今頃ぁ、米の餅でもなかなか食べたがらんがの。」

エノコログサはごくありふれた路傍の草である。しかし、これほど立派なエノコログサの群生があると、思わず目を引かれてしまう。見つめていると、太古ひとが栽培を思い立った気持ちが分かるような気がする。

[先頭に戻る]


てつがく村
depuis le 1er avril 2000