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ヒヨ2000-02-26(土)

2月になるとヒヨが来る。ヒヨとはヒヨドリのことである。ヒヨが来ると、またたくまに南天などの実が食い尽くされてしまう。ついばむ速さを評して、隣のおばさんが言うには、「あいつらが食うのは、日にちじゃない。時間じゃけん。」

ヒヨという名前は、鳴き声に由来するのだろう。ピヨ、ピーといった鳴き声をする。鳩を少し小さくしたぐらいの大きさで、灰色の毛をしている。

南天の実をついばむだけなら、かわいいものである。実害はない。ついばんでは排泄するためか、我が家の屋敷のあちこちには、植えたことのない南天が生えている。週末農耕を始めて2年目の冬のことだろうか。晩秋に播種し、年内に、葉数6枚程度で定植したキャベツがあった。2月頃になると葉数はほとんど増えないが、上から見ると茎を中心に直径20cmあまりの範囲まで葉が成長している。内側の葉は卷き始める様子さえ見せていた。ところが、或る日、キャベツを見ると、根元だけ残してきれいにかじられている。農耕経験の浅い私は首を傾げた。青虫がつく季節ならまだしも、こんな厳冬期にいったいどんな虫が葉を食べたのだろう。しかも、食べ方と言ったら、徹底的である。青虫はこんな食い方はしない。しばらくして分かったのは、食べたのは虫ではなく、鳥だということだった。それでも、鳥だと聞いたときも、しばらくは信じられなかった。キャベツはほぼ周年栽培をするが、キャベツを害するのは主として青虫である。鳥についばまれたことはなかった(蒔いた種は雀とか鳩とかに狙われることはあるが)。ヒヨは冬以外は山にいて冬になると里にやってくるそうである。だから、経験浅い私には農耕を通じてのヒヨとの出会いはまだなかったので、しばらくは信じられなかったのである。

ヒヨを寄せつけないようにするためには、マルチ栽培に使うような黒いビニールを棒の先につけ、立てておくと効果があるそうである。ヒヨがそのビニールをカラスと勘違いして寄りつかないらしい。私は、蝶の舞う季節にキャベツを青虫の害から防ぐために使う寒冷紗といったネット類を被せる。ネットを破ってまでヒヨはキャベツを狙わない。

今年もヒヨがやってくる時期になった。この前も裸になった富有柿の木を見上げると、4羽ヒヨが止まっていた。近づいていくと、次々と飛び立ち、ピーッと鋭く鳴きながら姿を消した。これから春先にかけて、ヒヨの食害に気をつけなければならない。

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