てつがく村の入口 | てつ人の雑記帳
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村便り:2008-03-20(木) (第二温床、カブトムシ幼虫の《移住》)
投稿日:2008-03-21(金)

 昨日は本格的な雨。1月、2月と雪が多かったせいか、本当に久しぶりに雨を見たような気がし、同時に、季節が確実に変わったことを感じた。 ...

 昨日は本格的な雨。1月、2月と雪が多かったせいか、本当に久しぶりに雨を見たような気がし、同時に、季節が確実に変わったことを感じた。

 春分の日の今日は、午前中は家にいた。畑や田んぼでの作業も気になったが、昨日の雨量では足場は悪いはずである。そこで、滅多にやることのない農業関係の出納簿を整理することにした。出費で大きいのは農機。一昨年から稲作を委託なしにやるようになったので、一昨年が田植機、去年が藁カッターを購入。いずれも中古だが、わが家程度の規模の農家としてはこたえる出費。畑作であれば、大規模農家でないかぎり、農機は耕耘機で対応できる。しかし、今どきの稲作は、いくつかの機械を揃えなければ、できない。出納簿を見ながら、高くつく米だとつくづく思う。わが家の場合は、それでも、趣味だ道楽だと思い切ってしまえば済むが、専業農家の場合は、わが家よりはるかに合理化はされているだろうが、やりくりは大変なんだろうと想像する。

トマトの発芽
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 発芽したトマト。画像のほぼ中央、つぶれた逆U字型の芽がそれ。

(クリックで画像の拡大)
 適温に保つため換気している温床。トンネルの両端を開けて換気している。
 ビニール内でコモが被せてあるのはナス科の野菜のポットがあるところ。保温のため。発芽後は取り除く。
第二温床
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 枠組みができた第二温床。
 向こう側が第一温床。夕方になったのでトンネルの両端は閉じてある。
 手前の藁などが見えるところが、《移住》させたカブトムシの住処。もう少し堆肥を追加してやろうかと思う。
満開の梅
(クリックで画像の拡大)
畑の梅はほぼ満開。
 午後は3時頃から畑で作業。

 まずは温床の様子を確かめる。

 この時期、昼間は日が差すとビニールトンネル内の温度が上がりすぎるので、トンネルの裾を開けて風を通してやらなければならない(35℃より上がらないようにする)。しかし、私は通いの農家でいつも温床の様子を見張っているわけにはいかないので、そういった世話はわが家の畑の横に住んでいる従姉に頼んでいる。

 キャベツ、スイートコーン、レタスは多くが発芽していた。ナス、ピーマン、甘トウガラシ類、トマトでは、トマトに発芽しているポットが二、三あった。いま挙げたナス科の野菜では、トマトが一番低温で発芽しやすいので、順当な発芽順位か。播種から4日後にすでにナス科の発芽が確かめられたことは、第一温床での育苗開始を今年から、三月はじめだったのを三月半ばに遅らせた効果が出た、と言うべきだろう。

 作業のメインは第二温床の準備。まず、去年の残骸を整理しなければならない。この温床で昨春踏み込んだ藁はそのままにしておいたが、2月に確かめたところ、カブトムシの幼虫らしきものがいた。今日はカブトムシなどに《詳しい》子どもを連れてきたので、《鑑定》してもらうことにした。間違いなくカブトムシだ、と言う。子どもは小屋から昆虫飼育箱をとってきて、幼虫を数匹そのなかに入れた。カブトムシの幼虫は堆肥ごと別の畝に《移住》させてやることにした。一緒に作業した子どもは、大きな幼虫が出るたびに歓声をあげた。子どもによると30匹はいた、とのこと。堆肥の中で夏まで成長して無事成虫になればいいが…

 温床の枠を作ったところで今日の作業は終了。
村便り:2008-03-18(火) (子芋の掘りあげ)
投稿日:2008-03-19(水)

 午前中、里芋類を掘りあげた。4月始めに温床で芽出しを開始する準備である。 例年3月15日頃に、スクモ[もみ殻]をかけて畑(休耕田)で囲...

 午前中、里芋類を掘りあげた。4月始めに温床で芽出しを開始する準備である。

 例年3月15日頃に、スクモ[もみ殻]をかけて畑(休耕田)で囲っていたものを掘りあげ、二週間ほどトロ箱で保管する。その間に、弱った芋は腐り、元気なものだけが残る。それを温床に伏せて芽出しをする。

掘りあげた里芋
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 掘りあげた里芋。
 右からふたつのトロ箱に入っているのが、子芋。左上が京芋、その下が八つ頭。
 父の時代から里芋は子芋[主として子芋、孫芋を食用にする品種で、普通「里芋」と言えばこれを指す]しか作っていなかったが、近年、品種を増やした。まず八つ頭。次に、インターネットの友人からいただいた京芋。両者の間に、やはりインターネットの友人からのエビ芋も栽培したが、これは失敗(種芋の保存がうまくいかなかったため)。主力は子芋であるが、品種が多ければ、味の個性が楽しめる。それに家族はジャガイモも含めて芋類が好きなので、作り甲斐がある。

 いずれの里芋も小振りだった。栽培に手間をかけなかったためである。毎年、植え付け時(5月初旬)までは、今年こそ手間をかけてやり太った芋を作るぞ、と意気込んでいるのだが、これも毎年のことであるが、結局は草のなかに埋もれさせてしまう。里芋は草に囲まれると、地上部が萎縮してしまう。これでは大きな芋はできない。

 掘りあげながら、よし今年こそは、と決意を新たにしたのだが、さあどうなるか?

【追記】

 3月15日に温床で育苗をはじめた野菜のうち、キャベツとスイートコーンがはやくも発芽しかけていた。

村便り:2008-03-15(土) (温床育苗開始、ジャガイモを伏せる)
投稿日:2008-03-17(月)

播種(温床育苗):ナス、甘トウガラシ類(万願寺とうがら、伏見甘長とうがらし、ひもとうがらし)、ピーマン、パプリカ(赤・黄)、トマト...

播種(温床育苗):ナス、甘トウガラシ類(万願寺とうがら、伏見甘長とうがらし、ひもとうがらし)、ピーマン、パプリカ(赤・黄)、トマト(普通トマト、黄トマト、調理用トマト)、スイートコーン、キャベツ、レタス
芽出し:ジャガイモ(男爵、メークイン、出島、普賢丸、roseval系)


 温床育苗のための種蒔き(冒頭の栽培記録参照)。やっと春の農作業が本格的に動き出した。


地温計
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踏み込んだ藁に差し込んだ地温計。
 温度計と違い、地温計はすぐに反応する。40℃近くを示しているのがお分かりだろうと思う。
温床に並べたポット
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温床に並べたポット。
ジャガイモ種
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伏せ床に並べたジャガイモ。
 手前から、男爵、メークイン、出島、普賢丸、roseval系。出島と普賢丸は早生の春秋兼用種。
 朝、温床の温度を地温計で測ると、40℃あった。木曜日に踏み込んだ藁が発熱(発酵)をはじめている。予定通りであった。

 温床での育苗はビニール・ポットを使う。ポットは、スイートコーンとキャベツは7.5㎝ポット、残りは6㎝ポットを使った(寸法はポットの上面の直径)。6㎝ポットを使う野菜は、レタスを除き、育苗の途中で一度、大きいポットに植えかえる。スイートコーンとキャベツは定植まで同じポットで育苗する。

 1ポットの播種数は大部分が2粒。値段の高い一部の野菜(調理用トマトと大玉トマト)は1粒。

 ポットに詰める土は農協で購入した野菜の育苗土(値段は20kg入りで900円余り)を使う。6㎝ポットを225個、7.5㎝ポットを40個、土詰めした。慣れた単純作業ではあるが、根気のいる作業である。

 播種したポットは稲の育苗箱に並べて温床に入れる。ここまで、正確に時間を計ったわけではないが、4時間はかかったのではないだろうか。

 温床の作業が終わると、ジャガイモを伏せた。「伏せる」とは、仮床で芽出しをする作業を言う。ジャガイモ種は過湿になると腐るので、畝を浅く掘り下げてからジャガイモを並べ、その上から種が隠れる程度に土をかぶせる。さらにその上に藁をかぶせると、作業終了。

 予定の植付け作業が終わるとまだ明るかったので、暗くなるまで細々した作業を片づけた。
村便り:2008-03-13(木) (荒起こし、温床での藁の踏み込み)
投稿日:2008-03-17(月)

 休暇をとって農作業。朝10時半に屋敷に到着。(クリックで画像の拡大)ダブの荒起こしが終わったところ。(クリックで画像の拡大)休耕田耕耘。...

 休暇をとって農作業。朝10時半に屋敷に到着。

ダブの荒起こし
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ダブの荒起こしが終わったところ。
休耕田の耕耘
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休耕田耕耘。
 トラクターが出ようとしている田んぼには里芋類を栽培する予定。この田んぼの三分の二にはもち米を作り、残りに里芋類を作る。右下の田んぼには豆類と蕎麦を栽培予定。
 まずダブ[湿田]の荒起こし。昨秋の稲刈り後やっと第一回目の荒起こしをした。ダブはウワコウダ[傾斜地にある田んぼの、高い側に寄っている部分]が深い。だから、トラクターを入れる前に歩いて、足の沈み具合でぬかるみ状態を確かめる。ぬかるんでいる部分には前進ではトラクターを入れない。トラクターが沈みはじめたとき逃げられないからである。後輪の沈み具合を見ながら後退し、ぎりぎりのところまで入ってからロータリーを降ろし、ぬかるんでいる部分から遠ざかる方向に向かって耕耘をはじめる。時間はかかるが、トラクターが亀の子状態になって自力で脱出できなくなるよりはまし。

(ダブも代掻きのときはさほど心配はいらない。トラクターは言わば泳ぐような状態でも車輪が作土の底に着いていれば動くことができる。)

 トラクターは田んぼから出る前に、車輪に挟まった泥やロータリーの回転部分についた泥をあらかた落とす。これがまた一仕事。でも、これをやらないと、農道に土をまき散らしながら走ることになる。

 ダブの荒起こしのあとは、子芋、大豆、蕎麦を作る休耕田を耕耘して土を細かく砕く。それでトラクターの作業は終了。

 トラクターはその日のうちに水で泥を落とす。タイヤの傷みやロータリーの錆びを防ぐためである。耕耘機の場合は短時間でできるが、トラクターは車輪やロータリーが大きい分、時間がかかる。だから、トラクターを使うときはできるだけ広い面積を耕耘するようにする。トラクターを洗い終わると午後も3時になっていた。夕方までの時間を考えると、すぐに次の仕事にかからなければならない。

 3月3日に枠を作った温床に藁を踏み込む作業である。動力カッターで藁を150束切断し、乾燥鶏糞と糠を発火材として振りかけながら踏み込んだ。藁に湿り気を与えるために、少し踏み込む毎に、ジョロで灌水。踏み込み終わって温床をビニール・トンネルで覆う。作業が終了すると暗くなっていた。

 家に到着したのは20時半。朝作ってもらった弁当を食べる暇がなく、そのまま持って帰ったので、家族に苦言を呈された。「水分しかとらなかったの?」とma femme。「水も飲まなかった。」と私。「昼に休みをとったらどうなの。弁当ももったいないし。」私は「うん」と答えただけだった。
村便り:2008-03-12(水) (エシャロット。エシャロット!)
投稿日:2008-03-14(金)

播種:エシャロット 早朝出勤で始まった業務が終わったのが15時ごろ。早めに退出して畑に向かった。エシャロットを定植するためである。 エ...

播種:エシャロット

 早朝出勤で始まった業務が終わったのが15時ごろ。早めに退出して畑に向かった。エシャロットを定植するためである。

 エシャロットの植付けは今年で3年目である。1年目は、種はフランスから友人に送ってもらったものを使った。2年目は、自家採種したもの。そして3年目の今年も自家採種したもの。初春に植えて7月に収穫したものは、翌年の春になると半分は腐ってしまう。そこで、昨年、近縁種のワケギにならって、秋(9月15日)に植えてみた。8球植えたが、秋のうちに芽が出たのは2球ほど。期待に反して発芽率は低く、しかも生育も芳しくなかった。そのうち草の中に埋もれてしまい、冬の間は消息を確かめる気はおきなかった。

エシャロット、種
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種になるエシャロットの球を選り分けたもの。
 念のために…このエシャロットは、日本で同名で栽培されている早採りのラッキョウではない。《本物の》エシャロットである。
エシャロットを植える
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エシャロットを植えているところ。
越冬したエシャロット
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草の中から姿をあらわした、越冬したエシャロット。(撮影は翌日。)
 今日は残った種を昨春同様に植えてみることにした。種は、やはりかなり腐っていた。利用できるのは、腐りかけたものも含めて13球。しっかりと硬いものもあれば、腐ってしまっているものもある。同じところで栽培したので、どうしてこう保存性の違いが生じるのか分からない。タマネギには、保存性が違う品種がある。保存期間が長いのになると、6月始めに収穫して3月までもつ。すると、エシャロットが収穫後6カ月あまりして腐ってしまうのも納得できないわけではない。でも、腐らないで残った種を植え続けることによって保存性のよいものに改良できるのでは…などと期待してもみる。でも本家(フランス)ではどのような栽培をしているのだろうか、実態を知りたいとも思う。

 植付けを終わると薄暗くなった。昨秋植えたエシャロットが気になったので、確かめてみることにした。去年発芽していたものは草の中から葉っぱをのぞけていた。8球のうちいちばん端に植えたものである。30㎝間隔に植えたので、そこを起点として、一球ずつ消息を確かめてみることにした。草を鎌で丁寧に削ると、ひとつ、またひとつと短い葉を伸ばしているエシャロットが出てきた。結局、8球すべてが冬を越して生きていた! 葉先が枯れているのも多かったので、おそらく秋のうちに発芽して越冬したものと思われる。一列に並んだエャロットの葉を見ると、もしかしたら、という期待がふくらんだ。昨秋植えたときは冬になるまでに収穫するつもりであった。越冬すると薹立ちの危険があると本には書いてあったからである。しかし、小さい草姿を見ると、薹が立たないかもしれない、とも思えた。もしかすると夏まで生育を続けて収穫できるようになるかもしれない。ひどく嬉しい気分になった。
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