村便り:2010-07-30(金) (干天下、ニンジンを蒔く)
投稿日:2010-08-04(水)
夏になると村は雨の空白スポットとなる。 7月28日(水)の夜から7月29日(木)の朝にかけて雨が降る予報だった。実際、自宅のあるH市では予報通り...
夏になると村は雨の空白スポットとなる。
7月28日(水)の夜から7月29日(木)の朝にかけて雨が降る予報だった。実際、自宅のあるH市では予報通り、強い雨が降った。それまでは日照り続きで畑の土は乾燥しきり、鍬が刺さりにくいほどであった。
むろん耕耘機を使えば、乾燥して硬くなった土でも耕耘できないわけではない。しかし、土は粉々に砕けてしまう。土の、いわゆる団粒組織が壊されてしまい、土の粒子間の隙間がなくなる。土が過湿の状態でも、粘土のように土がこねられて、やはり粒子間の隙間がなくなる。土は乾きすぎても湿りすぎても、耕耘には適さないのである。鍬を使う場合とは違い、耕耘機の鋤は回転を微妙に加減することができないから、土の状態には、鍬での耕起の場合よりいっそう注意を払う必要がある。
予報通り、村にも雨が降ったとすれば、今日は耕耘に好適な条件であるはずだった。
話が少し前に遡るが、7月14日(水)は集中豪雨のため朝から交通網が麻痺した。通常利用する高速道路が通行止めになったが、私はいつもより倍も長い時間をかけながらも朝の一コマ目が始まる前には学校に到着した。授業がはじまってしばらくして構内放送があり、休校が告げられた。高等学校までの教育機関は警報が出された時点で自動的に休校処置がとられるようだが、大学はなかなか休校を決定しない。状況からすれば、授業の始まる前に決定されてもおかしくなっかたが、危機管理の動きが迅速でなかったようである。
その日の授業の補講が次の週の土曜日(7月24日)に行なわれた。悪いことではけっしてないが、最近の大学は授業回数(1学期15回)を厳密に守らせる。天変地異で休校になった! もうけた! なんて喜んではいられない。かならず抜けた授業には補講が設定される。たとえ補講日が土曜日や日曜日や祝日になっても… ただ、出勤日でない日に補講をすると、今度は代休をとれ、と通知が来る。労務管理も(大学が法人化してから)厳格に、また他方でけち臭く、なった。代休をとらせないと、時間外手当を出さなければならなくなるのだろう。
正直なところ、私のような職種では代休はさほどありがた味のあるものではない。できれば時間外手当をもらいたい。なんだ、また代休か、なんて不満げに思っている頭にふと最初に書いた畑仕事のことが浮かんだ。そうだ! 金曜日を代休にして、野良仕事をしよう!
朝、畑に行って、畑のすぐそばに住んでいる従姉と話した。「雨? ぱらぱらと降っただけよ。湿りもせんかった。」彼女は意外なことを言った。「Hの方では降ったんじゃろう?」畑の土を確かめると、たしかに雨が降った形跡はなかった。四囲を低い山に囲まれた山間部の村は、夏になると、まるで雨が逃げるように、雨の空白スポットとなる。村を囲む山の中で最高峰である灰ヶ峰(標高737メートル)に薄い雲がかかることはよくあるが、それが雨にならないのである。薄い雲は雨の期待をかきたてはするが、その実、雨が抜け落ちたあとカスかもしれない。
しかし、代休をとった以上、何かしなければ甲斐がない。草焼きをしたり、空いた畝でさらに草取りをしたりして暑い日中を過ごしたが、人参だけは蒔いてしまいたかった。狭い畝のために耕耘機を出すのはかえって手間である。また、上に述べたような理由で耕耘機を使いたくもない。そこで鍬で畝作りをすることにした。
まず鍬で軽く土を起こし、ついで、そこに散水する。最初から硬い畝に散水したのでは、水は表面を流れ落ちるだけで、なかまで浸透しない。水が浸透したのを確認して、肥料を撒布して、今度は深く掘り起こしながら、肥料を土と混和する。こうして畝作りをしてから、人参(新黒田五寸と金時人参)を15ガンギ[蒔き床]分、種蒔きをした。
今のように乾燥した時期だと毎日、ガンギに灌水してやらないと人参は発芽しない。他の野菜でも発芽しにくいが、薄くしか覆土しない人参はなおさらそうである。発芽が揃うまで一週間ないし二週間は灌水が日課となる。
人参畝以外にも、同じやり方で、ビートとキュウリの畝も作った。一週間後の週末にはいずれも定植したい。
7月28日(水)の夜から7月29日(木)の朝にかけて雨が降る予報だった。実際、自宅のあるH市では予報通り、強い雨が降った。それまでは日照り続きで畑の土は乾燥しきり、鍬が刺さりにくいほどであった。
むろん耕耘機を使えば、乾燥して硬くなった土でも耕耘できないわけではない。しかし、土は粉々に砕けてしまう。土の、いわゆる団粒組織が壊されてしまい、土の粒子間の隙間がなくなる。土が過湿の状態でも、粘土のように土がこねられて、やはり粒子間の隙間がなくなる。土は乾きすぎても湿りすぎても、耕耘には適さないのである。鍬を使う場合とは違い、耕耘機の鋤は回転を微妙に加減することができないから、土の状態には、鍬での耕起の場合よりいっそう注意を払う必要がある。
予報通り、村にも雨が降ったとすれば、今日は耕耘に好適な条件であるはずだった。
話が少し前に遡るが、7月14日(水)は集中豪雨のため朝から交通網が麻痺した。通常利用する高速道路が通行止めになったが、私はいつもより倍も長い時間をかけながらも朝の一コマ目が始まる前には学校に到着した。授業がはじまってしばらくして構内放送があり、休校が告げられた。高等学校までの教育機関は警報が出された時点で自動的に休校処置がとられるようだが、大学はなかなか休校を決定しない。状況からすれば、授業の始まる前に決定されてもおかしくなっかたが、危機管理の動きが迅速でなかったようである。
(クリックで画像の拡大) 定植したアキシマインゲン。7月26日。 ポットに播種した種は、外見からして発芽能力に劣りそうなものがほとんどだったので、発芽率が気になったが、結局3分の2が発芽した。定植したのは10株。ただし1株に2本。したがって、20本定植した。収穫は、たぶん、8月終わりからになる。 |
正直なところ、私のような職種では代休はさほどありがた味のあるものではない。できれば時間外手当をもらいたい。なんだ、また代休か、なんて不満げに思っている頭にふと最初に書いた畑仕事のことが浮かんだ。そうだ! 金曜日を代休にして、野良仕事をしよう!
朝、畑に行って、畑のすぐそばに住んでいる従姉と話した。「雨? ぱらぱらと降っただけよ。湿りもせんかった。」彼女は意外なことを言った。「Hの方では降ったんじゃろう?」畑の土を確かめると、たしかに雨が降った形跡はなかった。四囲を低い山に囲まれた山間部の村は、夏になると、まるで雨が逃げるように、雨の空白スポットとなる。村を囲む山の中で最高峰である灰ヶ峰(標高737メートル)に薄い雲がかかることはよくあるが、それが雨にならないのである。薄い雲は雨の期待をかきたてはするが、その実、雨が抜け落ちたあとカスかもしれない。
(クリックで画像の拡大) 人参畝。表面を起こして、散水したところ。 |
(クリックで画像の拡大) 人参畝。肥料を撒布したところ。白いのは、カキ殼石灰。 |
(クリックで画像の拡大) 人参を蒔き終わったところ。畝の乾燥を防ぐため、不織布で覆う。 |
まず鍬で軽く土を起こし、ついで、そこに散水する。最初から硬い畝に散水したのでは、水は表面を流れ落ちるだけで、なかまで浸透しない。水が浸透したのを確認して、肥料を撒布して、今度は深く掘り起こしながら、肥料を土と混和する。こうして畝作りをしてから、人参(新黒田五寸と金時人参)を15ガンギ[蒔き床]分、種蒔きをした。
今のように乾燥した時期だと毎日、ガンギに灌水してやらないと人参は発芽しない。他の野菜でも発芽しにくいが、薄くしか覆土しない人参はなおさらそうである。発芽が揃うまで一週間ないし二週間は灌水が日課となる。
人参畝以外にも、同じやり方で、ビートとキュウリの畝も作った。一週間後の週末にはいずれも定植したい。