村便り:2014-01-04(土)(仕事はじめ)
投稿日:2014-01-07(火)
呑兵衛も歳をとると 正月三が日は屋内で過ごした。正月なのでついつい酒量も増える。酒は、飲んでいるときは気持ちが高揚する。そして、そ...
呑兵衛も歳をとると
正月三が日は屋内で過ごした。正月なのでついつい酒量も増える。酒は、飲んでいるときは気持ちが高揚する。そして、そのまま寝てしまう。しかし、それからがいけない。明け方、目が覚める。その頃は酔い覚めてもいる。若いときはそうでもなかったが、歳を重ねるにつれ、酔い覚めたときの落ち込みが激しくなった。しらふの水準より凹んでしまうのである。酔いの高揚で生命的エネルギーを消耗してしまったような感覚である。祭りのあとの虚脱感に似ていようか。適量を過ぎた場合、この感覚に襲われる傾向がある。酒は百薬の長、ただし適量をこえなければ、である。若いころから一貫して、筋金入りの呑兵衛であったが、最近は酒量を考えるようになってきた。
隣家で納屋の解体
正月も四日になれば、そろそろハレの時節から起き上がってもよかろうと思い、野良に出た。仕事はじめである。11時頃ゆるゆると畑に着いた。すると、畑の隣の、他家の納屋あたりから人声がする。そこにはおばあさんがひとりで住んでいたが、数年前に亡くなった。父と同い年だから、90歳くらいであったろう。亡くなってからしばらくして母屋が解体され、納屋だけが残った。その納屋を解体しようとしている様である。近所におばあさんの弟さんが住んでいる。その人と、近くの大工さんが二人で作業をしていて、私の従姉がそれを見ていた。
足踏み脱穀機
柱の一部を切断し、軽トラックで引っ張ると、屋根が落ちた。「ええがいに、いったね[うまい具合に運んだね]」という声が聞こえた。しばらくして、従姉が私のところに来た。「あんたがた、[足踏み]脱穀機あるん」ときく。「あるが、壊れとる。使えん。とっとるだけじゃ」と答える。「O[おばあさんの家の名前]のはまだ使えるよ。もろうたら」と従姉。私は曖昧な返事をした。解体された納屋に戻った従姉はそこから私を呼んだ。行くと「もろうときんさい」と従姉。その脱穀機は、一部部品の欠けたところがあるが、まだ現役で働いている。最近は大豆の脱穀に使われていた。かつては蕎麦の脱穀にも使ったそうである。むろん、ずっと昔は稲の脱穀にも使っていたはずである。貰い手がいなければ捨てる、と言うので、貰うことにした。
おばあさんの弟さんは歳を取り、現在は農作業も縮小している。稲作は、田植えと収穫を委託している。そんな状態だから、脱穀機をこれから使うことはない、と判断したのだろう。私としては、具体的な使い道としては蕎麦の脱穀を考えているが、それ以外には、おばあさんとその弟さんの《形見》という気持ちがある。軽トラックで運んでもらい、蔵の軒下に収めた。
正月三が日は屋内で過ごした。正月なのでついつい酒量も増える。酒は、飲んでいるときは気持ちが高揚する。そして、そのまま寝てしまう。しかし、それからがいけない。明け方、目が覚める。その頃は酔い覚めてもいる。若いときはそうでもなかったが、歳を重ねるにつれ、酔い覚めたときの落ち込みが激しくなった。しらふの水準より凹んでしまうのである。酔いの高揚で生命的エネルギーを消耗してしまったような感覚である。祭りのあとの虚脱感に似ていようか。適量を過ぎた場合、この感覚に襲われる傾向がある。酒は百薬の長、ただし適量をこえなければ、である。若いころから一貫して、筋金入りの呑兵衛であったが、最近は酒量を考えるようになってきた。
隣家で納屋の解体
正月も四日になれば、そろそろハレの時節から起き上がってもよかろうと思い、野良に出た。仕事はじめである。11時頃ゆるゆると畑に着いた。すると、畑の隣の、他家の納屋あたりから人声がする。そこにはおばあさんがひとりで住んでいたが、数年前に亡くなった。父と同い年だから、90歳くらいであったろう。亡くなってからしばらくして母屋が解体され、納屋だけが残った。その納屋を解体しようとしている様である。近所におばあさんの弟さんが住んでいる。その人と、近くの大工さんが二人で作業をしていて、私の従姉がそれを見ていた。
足踏み脱穀機
柱の一部を切断し、軽トラックで引っ張ると、屋根が落ちた。「ええがいに、いったね[うまい具合に運んだね]」という声が聞こえた。しばらくして、従姉が私のところに来た。「あんたがた、[足踏み]脱穀機あるん」ときく。「あるが、壊れとる。使えん。とっとるだけじゃ」と答える。「O[おばあさんの家の名前]のはまだ使えるよ。もろうたら」と従姉。私は曖昧な返事をした。解体された納屋に戻った従姉はそこから私を呼んだ。行くと「もろうときんさい」と従姉。その脱穀機は、一部部品の欠けたところがあるが、まだ現役で働いている。最近は大豆の脱穀に使われていた。かつては蕎麦の脱穀にも使ったそうである。むろん、ずっと昔は稲の脱穀にも使っていたはずである。貰い手がいなければ捨てる、と言うので、貰うことにした。
おばあさんの弟さんは歳を取り、現在は農作業も縮小している。稲作は、田植えと収穫を委託している。そんな状態だから、脱穀機をこれから使うことはない、と判断したのだろう。私としては、具体的な使い道としては蕎麦の脱穀を考えているが、それ以外には、おばあさんとその弟さんの《形見》という気持ちがある。軽トラックで運んでもらい、蔵の軒下に収めた。