てつがく村の入口 | てつ人の雑記帳


村便り

村便り:2012-01-22(日) (田んぼで藁を広げる)
投稿日:2012-01-27(金)
南天とヒヨ 南天の実がふと目を引いた。ありふれた木だが、冬枯れの季節、実のたわわについた房が陽光を受けて赤く輝くのは印象的である。(...

南天とヒヨ
 南天の実がふと目を引いた。ありふれた木だが、冬枯れの季節、実のたわわについた房が陽光を受けて赤く輝くのは印象的である。

南天の実
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南天の実
エンドウ
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実エンドウ。

 去年の11月1日に蒔いた。発芽してから藁を敷いた。藁は防寒と抑草のため。

 エンドウのこちら側、藁の間からわずかに顔を出しているのはソラマメ。また、手前にの枝は梅。蕾はまだまだ小さくてかたい。
 屋敷や、屋敷前の畑には南天が所々に生えている。わざわざ植えたものもあろうが、鳥が落とした種から生えたと思われるものもある。今年はまだ実がたくさんついている。年によっては春先までにすっかりなくなってしまうこともある。鳥が啄むからである。おそらくはヒヨである。啄む現場を目撃したことはないが、ヒヨが頻繁に飛来する年には南天の実がなくなる。南天の実はだから、ヒヨの飛来の指標となる。

 むろん何か指標がなければヒヨの飛来が分からないわけではない。彼らは夜陰に紛れたり、物陰に身を隠しながら、不意をついてやってくるわけではない。それどころか、ピー、ピーヨと寒気をつんざくように正々堂々《名のりをあげ》てやってくる。だから、南天の実は、飛来の指標にもなるが、むしろ彼らの飢えの指標であると言えるかもしれない。

 ヒヨの食欲はすさまじい。野菜をまたたくまに食べてしまう。いまは亡き隣のおばあさんが、その健啖ぶりを評して「あいつらは日にちじゃなあ、時間じゃ」と言ったが、まさにそのとおりである。しかも、食いっぷりが半端ではない。ホウレンソウの畝であれば、まるでバリカンで刈り払ったかのように食べ尽くす。

 今年はエンドウの生育がいい。二月になれば支柱をたててやろうか、と思っているほどである。そのエンドウもヒヨに狙われる。やっと伸び始めたツルの先っぽを啄む。それでもエンドウは、残った葉っぱの根元から新しいツルを伸ばして生長するが、収穫に影響する。昨秋は畑の植え付けが不調に終わったので、いまある野菜でヒヨの餌食になりそうなのはエンドウくらいである。

 南天の実を見て、その鮮やかな赤を愛でるよりは、エンドウが気になった。山が不作であれば、ヒヨは里に降りてくるだろう。


田んぼで藁を広げる
 今日は田んぼでの作業。脱穀機が切った藁を広げる作業である。


脱穀風景

脱穀。

 右側は、脱穀し終わった稲架。

 脱穀機はこちら側が前。右側の台に稲束を載せる。そこから、稲束をコンベアに載せて右から左に移動させる間に脱穀がおこなわる。ついで、稲束は、脱穀機の左側に付けてある藁切り機に送られて、カットされて左側に排出される。脱穀機の前側についている筒は、脱穀中のゴミを吹き出すためのもの。

 背後にも藁がたまったところが二カ所あるが、そこの横に稲架が立っていた。
藁を広げる
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藁を広げる。
 脱穀機には藁切り機が付けてある。脱穀の際には普通、それを使って、同時に藁を切る。切った藁は稲架の周りに排出されて溜まる。藁を切るのは、田んぼに有機質肥料として鋤きこむためである。だから、鋤きこむ前に、藁の塊を田んぼ全体に均等に広げる必要がある。「藁を広げる」とはそういう作業である。

 作業は手作業。フォークを使ってふり撒いたり、一輪車に載せて運んでから手で撒いたりする。ともかく時間のかかる単調作業である。

 コンバイン[刈取りと脱穀を同時にこなす機械]で稲刈りをすれば、作業はだいぶ楽になる。コンバインは刈取りのために田んぼ全面を走り回り、走り回りながら切った藁を背後に排出するからである。しかし私は百姓にできるだけ金をかけない主義。それに金をかけるほど収入があるわけではない。機械がなければ今の時代、稲作はできないから、バインダー[刈取りして、稲束を結束する機械]と脱穀機[ハーベスターとも呼ぶ]はもっている。《コンバイン+天日干しのための稲架+脱穀機》の収穫システムは、《コンバイン+乾燥機》のシステムよりははっきりと安くつく。しかし、金をかけなければ、手間と時間がかかる。販売して利益を上げようととすると、その分、米の価格を高く設定しなければならない。すると、競争力が弱くなる。競争力が弱いと淘汰される。…などと考えていたら私のような小農・貧農はやっていけない。資本主義の論理を無視しなければ、やっていけいない。あるいは、その論理とは違う次元にあるのかもしれない。

 《妄想》休題。早く藁を広げおえ、寒の内に田んぼ(の土)をひっくり返しておきたい。土に混じった藁は冬の間に腐り、ひっくり返された土は、凍みたり融けたりしながら、春までにぼろぼろになる。
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