てつがく村の入口 | てつ人の雑記帳


村便り

村便り:2006-11-05(孟宗竹の竿を軽トラックで運ぶ)
投稿日:2006-11-11(土)
稲こぎはほぼ終了。解体した稲架の竿を軽トラックで運んだ。田んぼと屋敷は離れていないので、竿は肩で担いで運んでもいいのだが、また、その方が作業感覚としては好きなのだが、近所の人に教えてもらった方法を試してみた。

 金曜日から始めたうるち米の脱穀は三日間でほぼ終わった。最初の日は家族と従姉が手伝ってくれた。次の土曜日は一人での作業。最後の日の今日は、また従姉が手伝ってくれた。一週間前に刈り取った稲架はまだ十分に乾いていなかった(木曜日の計測で、水分が15.9%あった)ので、30kgほど籾が入る袋でおおよそ3袋になるだろう、その稲架は来週稲こぎすることにした。

 昨日、脱穀を終えた稲架を解体して、ナル(横木)の孟宗竹を屋敷に一番近い田んぼに運んで集めた。犬の散歩で通り掛かった近所の人(Nさんと呼ぼう)が並んだ13本の孟宗竹を見て「軽トラで運びゃ、いっぺんじゃ」と語りかけてきた。私は運び方を尋ねた。立ち話での簡単な説明だったので分かりにくいところがあったが、積み方の大まかなイメージはできた。

 今日はその運び方を試してみた。孟宗竹の竿は根元を下にして荷台に積んだ。すると前方に高く突き出る格好になる。しかも長いので重心が前側にかかり、前方に倒れてしまう。そこで根元を荷台の後端の内側に引っかけて倒れるのを防ぎ、ロープを掛けて安定させた。竿の上端が高くなったが、屋敷までの道には障害になるものはない。それでも用心しながら車を低速で走らせた。

 Fさんの田んぼの横を通りかかったときである。田んぼで脱穀の後片付けをしていたFさんが私の方に向かって何か叫んだ。車を止めて聞き返すと、彼はこちらに歩み寄りながら「積み方が反対じゃ」と言った。彼の説明はこうである。竿は根元を上にして積む。細い方を上にすると、ロープで巻いて締めていてもずれ落ちてしまう。ところが太い方が上だと、ずれ始めてもロープが締まって止まる。「昔、若いころ、現場で使う足場を取りにいったことがあるんじゃ。わしも運転手も知らんもんじゃけぇ、細い方を上にして積んだら、ずれてしもうて困ったことがあった」と経験談も話してくれた。 「それから竿の下は荷台から出すんじゃ。そうせんにゃ、前が高こうなるじゃろうが。ここはひっかかるものがないが、ほかでは電線にひっかかってしまうで」とさらに注意点を付け加えた。

 また私は車を動かした。途中、Nさん宅の横を通り掛かった。Nさんは庭木をいじっていた。私は車を止めて「昨日、教えてもろうた通りに軽トラで運びょうるんよ」と切り出し「竿は太い方を上にするんや」と尋ねた。Nさんは、細い方を上にする、と答えた。また、荷台から後ろにはみ出した部分はひこじる(*)ようにして運ぶ、と説明した。私は、ひこじるなら、あえて太いほうを上にする必要はあるまい、と考えた。それに対して、Fさんの説明は、竿の尻はひごじらない、という前提のものである。
 (*)「引きずる」の方言的転訛。「ひこずる」とも言う

 FさんもNさんも、兄貴分的な気持ちからであろう、普段から私に気をかけてくれている。親から教わらなかったことは近所の人たちから教えてもらいながら、私は一人前の百姓になっていく。
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