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自然農法爾

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2006-10-02(月)  自然畝での夏野菜:ナス
自然畝での夏野菜の栽培記録。ナス篇。

自然畝での夏野菜の栽培についてまとめておこう。まずはナスについて。

一回目の定植-穴施肥-
ナスは例年通り、踏込み温床で自家育苗した苗を二種類定植した。最初のナスは3月9日に7cmポットに播種し、4月30日に12cmポットに鉢換えして、6月6日から18日かけて定植した(定植時期は一番花の蕾がふくらみかけた時)。元肥は穴施肥とした。記録するのは忘れたが、ピーマンなどの施肥記録からすると、発酵牛糞や発酵鶏糞を併せてカップ1杯から1.5杯施したようである(カップはプラスチック製の汁茶碗で、発酵鶏糞1杯は重量にして500g程度)。

定植したナス
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一回目に定植したナス(6月24日)。元気に生育している。

しおれたナス
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しおれたナス(6月24日)。写真には4株見えるが、結局全部抜いてしまった。(その後には、次に報告するピーマンを定植した。)

収穫が続くナス
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順調に生育する長ナス(9月7日)。この畝は、前作としてソラマメを栽培していた。「しおれたナス」の写真の左後方に収穫の終わったソラマメが見える。
定植した苗が肥あたりした!
定植してまもなく雨が降った。雨が上がるとしおれている苗が何株かあった。最初はまだ活着していないので水不足かと思い灌水した。しかし、朝は元気そうに見えるが日中しおれることを繰り返し、元気を回復しなかった。そのうち、肥料あたりしたのではないか、と考えなおし、その仕組みを次のように推測した。

わが家の畑は20cmから30cm掘ると赤土層になる。そこからは水が滲みにくい。だから、雨が降ると作土に滲みた水は赤土層のところで止まり、今度は傾斜にそって流れる。植え穴は赤土層まで掘って、底に肥料を入れて土と混和し、その上に2、3cmの間土を載せて苗を定植した。すると、雨量が多いと赤土層あたりで肥料分が高濃度に溶け込んだ水が滞留する。その水が根に作用して肥あたりを引き起こす。

ナスの元肥を穴施肥するのは、去年、二カ所で試みてうまくいった。一カ所は収穫用のなすである。今年の畝よりは作土が深いところを耕耘機で耕耘して畝を作り、肥料は化学肥料を使った。したがって、植え穴は今年よりも若干深く、また、水は滞留しにくく、さらに化学肥料は流亡しやすいために、肥あたりがおきなかったのだろう。もう一カ所は、苗2本を試験目的で定植して様子を見た。畝土の状態や気象条件が今年と違うためか、この苗も肥あたりの被害はなかった。

肥あたりした苗(8本定植したうちの4本)は抜いてしまったので、その後の経過は不明だが、活着した苗は元気に育った。

二回目の定植-置き肥-
二回目のナスは、4月7日に播種し、5月16日に鉢換え、6月28日から7月15日にかけて定植した。このナスは、最初のナスの勢いが衰えた頃から実をつけ始め、秋まで旺盛に実をつける。(最初のナスも切り返し[7月終わりから8月始めにかけて枝を三分の一から二分の一に切り縮める剪定]をしてやれば、長続きするのだろうが、二番目のナスを作っているという安心感があるため、ついつい切り返しを怠ってしまう。)一回目のナスで失敗したので、今回は元肥は定植したあと、株の近くに発酵鶏糞をシャベル1杯を置くだけにした。すると、定植に手間があまりかからない。小さな穴を掘って苗を入れ、肥料を置くだけの手間で済むからである。しかし、活着後の生育が心配だった。肥料は灌水したり雨が降ったときに少しずつ土に染みこんで根に供給されるだけであり、肥料分が不足するかもしれない、と考えたからである。

事実、始めのうちは花のつき方に(したがって、実のなり方に)勢いがなかった。しかし、ある程度時間がたつと、旺盛に花がつきだした。ただ、実の肥大具合をみるとやはり比較的緩慢のように思われた。それでも時間が経つと満足できる大きさにまで成長した。なお、定植後、二度、発酵鶏糞で追肥を施したが、施した肥料は総量としては少ない(*)。
(*)慣行栽培の場合、元肥を施し、さらに二週間に一度の頻度で追肥する。追肥に化学肥料を使えば、即効的に効く。ちなみに、発酵鶏糞は有機肥料しては即効性である。

ナス栽培の失敗体験
じつは、今年ナスを定植した畝は、自然畝に転換した最初の夏にナスを定植し失敗した畝であった。当時私は自然農法についての経験はなく、知識は本で読みかじっただけのものだった。栽培記録は残していなから記憶から当時を掘り起こしてみると、肥料は定植した場所から20cmほど離れたところに穴を掘り鶏糞(《発酵》鶏糞ではない)を入れた。定植してからの管理は時折草を刈るだけだった。今は天候と草勢をみて水やりをするが、当時はそれはしなかった。生育に勢いがなかったナスはそのうち草に埋もれて消えてしまった。収穫はほとんどなかった。それ以降、ナスは慣行畝で栽培してきた。

それから6年後の今年、同じ畝でナスを栽培する計画したとき、その苦い記憶がよみがえってきた。しかし、ピーマンは自然畝で十分な収穫があげられるようになり、また、ナスも去年の試験栽培でうまくいくとの感触を得たので、今年はうまくいくだろう、と予想していた。ただナスは比較的肥料分を要求するので、相応の元肥は必要と考えていたが、肥あたりで変則的な元肥しか施せなかった。しかし、結果は、成功といっていいだろう。

地肥、縦横に張る根
この結果は、理由をどう分析すべきだろうか。

ナスは大苗を定植することもあり、天候次第では活着がスムーズにいくよう灌水してやる。また、ナスは水分を要求するので、収穫が始まっても乾燥するようだと、灌水してやる。この点には配慮した。自然農法といえ、多少の手助けは必要であろう。
肥料に関して言えば、畝の状態によってある程度の施肥はするようにしている。今回の場合、肥料は予定していたほどには施せなかった。しかし収穫は予想を上回った。その理由として考えられるのが、ナスは肥料分をもとめて根を縦横に伸ばし、畝の地肥(こんな表現はないだろうが、畝自体が保有している肥料分の意味で造語した)を吸い上げた、ということである。地上部の緩慢ではあるが着実な生育が、この推測の根拠になろう。地肥について言えば、畝は自然畝に転換して6年目であるから、自然に肥えてきているはずである。
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