農 事 録 | 2001年 |
▲2002年 ▼2000年 ●農耕の時節 |
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> 農耕の合間に > |
村の世話人が自家農園で作る野菜の、作付け計画と記録です。 |
□冬 12月 ; □秋 11月 ; 10月 ;□9月 ; □夏□8月 ;□7月 ;□6月 ; □春□5月 ;□4月 ;□3月 ; □冬□2月 ;□1月 ; 凡例 □(^):トンネル (-):ホットキャップ □{#}:伏せる {\}:育苗 □_*_:移植 _&_:定植 □■:作業予定 □■:作業進行中 □□:作業完了 二十四節気にちなんだ てつがく村発 農耕の時節 □●夏至 □●立夏 □●啓蟄 □●立春 □●小寒・大寒 |
12月 師走 (旧 10月17日-11月17日) 12月 大雪 12月7日□冬至 12月22日 |
下旬 | |
中旬 | |
上旬 |
11月 霜月 (旧 10月6日-10月16日) 11月 立冬 11月7日□小雪 11月22日 |
下旬 | タマネギ_&_ |
中旬 | |
上旬 | 空豆、めなし(スナックエンドウ)、エンドウ 極早生タマネギ_&_ |
10月 神無月 (旧 8月15日-9月15日) 10月 寒露 10月8日□霜降 10月23日 |
下旬 | イチゴ_&_ |
中旬 | ニンニク(小粒)、キャベツ[来初夏に収穫] |
上旬 | 水菜、ニンニク、ロケット、大根[年が明けてから収穫]、キャベツ[4月から5月にかけて収穫] イチゴ_&_ |
9月 長月 (旧 7月14日-8月14日) 9月 白露 9月7日□秋分 9月23日 |
下旬 | カブ(赤、白)、高菜、辛丸ダイコン、ビタミン菜、紅菜苔、ルバーブ{\}、タマネギ{\}、紅菜苔、菜花、ビタミン菜、小松菜 ブロッコリー_&_、レタス_&、キャベツ_&_ |
中旬 | 大根(青首、三浦、聖護院、中国青大根)、ベトラーヴ、広島菜、ふだん草、エシャロット -échlotte-(根を刻んで薬味に使ったりする。外見はワケギの根に似ており、外皮は茶色で薄い。日本で普通出回っている「(エ)シャロット」はラッキョウであり、フランスなどで利用するエシャロットéchlotteとは別物。今年は、タイのエシャロットを植える。) エンダイブ_&_ アサツキ(今年は株分け定植しない)、マ−シュ(初夏のこぼれ種の自然発芽。9月半ばから発芽が始まっている。) |
上旬 | ほうれん草[11月始めまで随時播種]、二十日大根[11月下旬まで随時播種]、レタス、タマネギ(極早生)、春菊 カリフラワ[秋の終わりから冬の始めに収穫]_&_、赤キャベツ_&_ キャベツ_*_、ブロッコリ(ハイツ)_*_ |
8月 葉月 (旧 6月12日-7月13日) 8月 立秋 8月7日□処暑 8月23日 |
下旬 | ニンジン[年明けから春先にかけて収穫]、白菜{\}、エンダイブ{\}(キクヂシャ。外見はレタスに似ているが、ほろ苦い味がする。サラダに使う。) ポワロ[西洋ネギ]_&_ |
中旬 | キャベツ[年明けから春にかけて収穫]、ブロッコリー[年明けから春にかけて収穫]、つるなしインゲン 芽キャベツ_&_、スティックセニョール_&_、カリフラワ_&_、ブロッコリー_&_ ラッキョウ_&_、ワケギ_&_、青ネギ_&_、下仁田ネギ_&_ ジャガイモ{#} イチゴ_*_、カリフラワー[初冬に収穫]_*_、赤キャベツ_*_ |
上旬 | キャベツ[晩秋から初冬にかけて収穫]_&_、縮緬キャベツ[初冬収穫] |
7月 文月 (旧 5月11日-6月11日) 7月 小暑 7月7日□大暑 7月23日 |
下旬 | キュウリ(四葉)、キュウリ(地這い)、カリフラワー[初冬に収穫]、赤キャベツ、スイートコーン セロリラーヴ_&_ |
中旬 | ニンジン(金時、黒田五寸)[秋から、初冬にかけて収穫]、芽キャベツ[冬の間、収穫]、キャベツ[晩秋から初冬にかけて収穫]、縮緬キャベツ[初冬収穫]、ブロッコリー[初冬収穫]、スティックセニョール(アスパラガスを思わせるような形の花蕾がつくブロッコリー。サカタ育成の品種。) |
上旬 | サツマイモ_&_、長ナス_&_、バナナピーマン_&_ (長さ10cmくらいのシシトウに形の似たピーマン。熟すに従って、黄緑色→黄→オレンジ→赤と色が変化する。サカタ育成の品種。) |
6月 水無月 (旧 閏4月10日-5月10日) 6月 芒種 6月5日□夏至 6月21日 |
下旬 | 黒大豆、スイ−トコ−ン |
中旬 | |
上旬 | 煮豆用大豆 調理用トマト_&_ |
夏至 □6月21日(木)、夏至という意識なしに、黒豆(黒大豆)を蒔いた。先週末に蒔けなかったので、今週末に蒔く予定であったが、週間予報によると土日はどうも雨らしい。そこで、夕方、学校を急いで退出し、休耕田に準備してあった畝に豆を蒔いた。ここのところ雨続きのうえ、一昨日の豪雨で、溝は水が溜まったりして、ぬかるんでいたが、種蒔きには支障はなかった。 □夕方のこの時間は犬の散歩の時間である。種蒔きをしている間に農道を二人、犬と一緒に通りかかり、私に声をかけてきた。うち一人は、「うちも豆を植えんにゃいけんのじゃが、天気がわりぃけんの」と空を恨めしげに見る。その人は豆を伏せている(育苗している)そうである。私も最初1、2回はポットで育苗してから定植した。直播きすると、発芽したところを鳥に食べられるからである。ただ、育苗にも定植にも手間がかかる。この日のような畑の状態では、豆を押し込むだけの播種ならできるが、シャベルで穴をあけ、そこに苗を落ち着かせる定植は少し無理である。手間を省くため、結局、私は直播きをすることにした。ただ、最初は寒冷紗をべた掛けがけして、鳥害を防ぐ。初生葉(豆の形を残している子葉の次に出てくる葉)が出てしまえば、もう鳥に食べられることはない。寒冷紗を使うのは、自家用で蒔く量が少ない(1カ所2粒で100カ所ほど蒔く)からできることである。(聞いたところによれば、大量栽培の場合、豆に農薬をまぶすそうである。)
□時折、全面曇った空から雨がポツリと落ちることがあったが、暗くなるようで暗くならず、無事蒔き終えた。考えてみれば、その日は夏至であった。1年で昼間がもっとも長い日である。しかし、夏至といっても、冬至、春分ほどには昼夜の長さが意識に上らない。小学生の頃は、夏になると、日が長いので遅くまで遊べてうれしかった。ところが、その夏とは梅雨明け以降のことである。実際には、昼間の長さが次第に短くなる時期である。しかし、夏至の頃は、梅雨の真っ盛りにあるので、雨や曇った日が多く、昼間の長さに意識が向かないのだろう。そして、1カ月の梅雨を潜り出た目には、太陽の強い光が印象的なので、梅雨明け以降の方が昼間が長いように感じるのだろう。 |
5月 皐月 (旧 4月8日-閏4月9日) 5月 立夏 5月5日□小満 5月21日 |
下旬 | キュウリ(四葉)、モロッコ豆 田植え |
中旬 | 落花生 生食用トマト_&_、ピーマン_&_、シシトウ_&_、中長ナス_&_、スイカ_&_ |
上旬 | インゲン[つゆ豆]、トウモロコシ 子芋[里芋]_&_、調理用トマト_*_ |
立夏 □「八十八夜の別れ霜」と言われる。「八重桜が咲くと霜の心配はない」と本で読んだことがある。今年の八十八夜は、立春が2月4日であったから、それから88日目といえば、5月2日である。八重桜は4月の終わりに満開であった。 □3月半ばに伏せておいたジャガイモを定植するのは、4月半ばである。その後で、遅霜が降りて、伸びはじめたジャガイモの葉っぱが霜害で黒ずむことがある。今年も、日にちは正確には覚えていないが、ジャガイモを定植した後、間もなくして、「てつがく村」に遅霜が降りた。
□しかし、5月に入れば、霜の季節は過ぎ去ってしまった、と言っていい。霜に弱い作物の種蒔きや定植が一斉に始まる。3月半ばに始まった畑の春の「農繁期」は、5月上旬で一段落つく。それからは、田圃の「農繁期」が始まる。田植え間近の農作業は、夏である。農作業の区分からすれば、だから、立夏は夏の始まりである。
□幼稚園で習った歌を思い出す。「いちごのなるころ、あおいそら、むぎわらぼうしを、かぶりましょう。」てつがく村は淡い夏色である。 |
4月 卯月 (旧 3月8日-4月7日) 4月 清明 4月5日□穀雨 4月20日 |
下旬 | セロリラーヴ{\}、ポワロ[西洋ネギ]{\}、マクワウリ(-)、二十日ダイコン、エダマメ(茶豆)、ベトラーヴ[ビート]、スイス・チャード[多色茎ふだん草] |
中旬 | ジャガイモ_&_ |
上旬 | 子イモ(里芋){#}(^)、サツマイモ{#}(^)、長ナス{\}(^)、調理用トマト{\}(^)、ニガウリ(\)(^)、スイカ(\)(^)、キュウリ[半白キュウリ](-)、カボチャ(-)、トウガン(-)、ズッキーニ(-) クレソン_&_、フェンネル_&_、西洋ワサビ_&_ |
3月 弥生 (旧 2月7日-3月7日) 3月 啓蟄 3月5日□春分 3月20日 |
下旬 | 人参、春大根、下仁田ネギ、青ネギ、唐辛子、二十日大根[5月初旬まで随時播種] |
中旬 | ジャガイモ{#} |
上旬 | トレヴィス(極早生)、レタス、ブロッコリー |
啓蟄 □「立春」(2月4日)から「啓蟄」(3月5日)にかけて、春をかすかではあるが、はっきりと感じる日がある。気温からすれば、まだ冬である。この感覚はいったどこから来るのだろうか。 □概して日本は、四季の区別が明瞭である。折々の草木が視覚的に四季を知らせる。また、気温の変化も顕著である。亜熱帯の夏があるかと思えば、冬には雪が降る。体感からも、私たちは四季を知るのである。 □ところで、2月中は景色はまだ冬であるし、気温も低い。春を感じる要素には欠けているように思える。それでも、晴れた日には、何か春めいた気分になる。そんな日にも、むろん、寒さが身に滲みはする。すると、春を感じさせてくれるのは、陽射しなのだろうか・・・ □冬至を境に、日が少しずつ長くなる。それとともに、陽射しもわずかずつ明るくなる。これまで、2月中に、日長とか陽射しとかを特に意識することはなかった。ところが、今冬は、年が明けてからは、暖冬から一変して厳冬になり、降雨(雪)量が多かった。晴天が比較的少なかった。そのせいで、晴れたときには、太陽の印象が強かった。 □私は、農耕の時節を暦で知る。私のみならず、人間は一般に暦を頼りに季節を知る。「二十四節気」がそもそも、感覚よりも知性に頼りがちな人間の本性が生んだものである。ところが、草木の方は、暦なしに花や芽吹きの時節を知る。「啓蟄」は、梅の花が咲き始める節気と説明されている。「てつがく村」でも、3月始めから梅が咲き始める。 □梅が蕾を膨らませ始めるのは、気温の上昇のみならず、日長や陽射しにも反応してからのことではあるまいか。気温は一様には上昇しない。戻り寒波があったりする。ところが、日長や陽射しは一様に変化する。種子を確実に実らせようとすれば、日光にも反応した方が安全である。時機を外さず花開けば、気温の少々の不順があっても、結局は、時機を逸して花開いた場合よりも、立派な種子をつけることができる。 □人間も生きている限り、光を感じながら時節を知る能力をもっているはずである。知性偏重の知り方や文明的な生活のせいで、その能力が眠っているにしても、きっかけがあれば、目覚める。厳冬のさなかにも、「光の春」は始まっている。私が二月の晴れ間に感じた春は、その「光の春」だったのだろう。
□さて、「光の春」に促されながら、「啓蟄」の頃から、すなわち3月に入ると、そろそろと農耕も動き始める。「啓蟄」の前日、久しぶりに田圃に出た。横手(田圃の周囲の溝)を浚い、田圃の水はけをよくするためである。隣の田圃のお兄さんも、夫婦でやってきた。昨秋、脱穀したあと、切って積んだままにしておいた藁を田圃に広げるためである。傾き始めた太陽を眺めながら、「日が長ごうなったの。ぼちぼち忙しゅうなるで。」「追い出し牛」のように、愚図愚図しながらではあるが、農耕の季節が始ろうとしている。 |
2月 如月 (旧 1月9日-2月6日) 2月 立春 2月4日□雨水 2月18日 |
下旬 | |
中旬 | 人参(^)、大根(^) |
上旬 |
立春 □「小寒・大寒」の項でも書いたが、日本では大寒の頃が一番寒いから、「立春」とは、春に向けて気温の上がり始める時節、農耕の一年の始まりである。今年は、立春の日、夕方近くから雪が降り出した。長期予報によれば今冬は暖冬のはずだったが、1月の気温は平均気温を下回ったそうである。また、1月に入ってからは、雪や雨が多い。測候記録ではどうなっているか知らないが、実感としてはそうである。畑に出てもいつも足場が悪いのは閉口するが、この時期、雨が多ければ、田植え時には、田の水にあまり困らない。今の時期、特に農作業はないから、降雪・降雨は歓迎すべきである。 □「立春」が、まだ感じられぬ春に向けての出発点であれば、野に出て「春」を探そうと思っても、なかなか苦労する。でも、「立春」の前日、節分の日に、畑からの帰り、メジロを見かけた。本当に久しぶりである。私が小学生の頃には、竹籠で飼われていたのをよく見かけた。メジロなどの小さい鳥は、鳥黐で捕まえる。小さな私も、梅の枝などに黐をぐるぐると巻き付けて、鳥のやってきそうな枝に仕掛けたことがあるが、捕まえることはできなかった。さて、見かけたメジロは二羽が一緒にいた。つがいなのか。しばらくすると、小さな黄緑色は夕暮れの中に飛び去った。 □メジロといえば、梅の花である。梅の枝にメジロが止まっている図は、梅花と梅の若木とメジロの羽の色合いからして、いかにも春を感じさせる。しかし、梅はまだ小さな蕾である。やはり「春」は名ばかりなのか。 □夕方、実家の飼い猫が外から帰ってきた。母によれば、姿を見せたのは、二日ぶりだそうである。そう言えば、最近、実家の近くとか畑の近くで猫の独特の鳴き声を聞く。すると、彼ら猫たちにとっては、もうそろそろ「春」である。
□「立春」とは関係ないが、猫で思い出したことがある。猫は群れをなすことを嫌う。雄同士であれば、顔を付き合わせれば、いつも喧嘩をしている。しかし、或る時、奇妙な光景に出くわした。かすかな記憶を確かめてみれば、着衣から判断して、どうも冬のことである。フランス留学時代、夜、閑散とした大学構内を横切っていた。低い木をふと見ると、猫が数匹、枝に止まっている。猫たちは、お互いを見たままじっとしている。まるで猫の密かな集会のようだった。普段見る猫の単独行動からは想像できないような光景であり、魔法使いたちの集まりを目にしたかのような錯覚を覚えた。その猫たちの中に、私の飼い猫も混じっていたが、声をかけるのがためらわれた。
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1月 睦月 (旧 12月7日-1月8日) 1月 小寒 1月5日□大寒 1月20日 |
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小寒・大寒 □小寒から節分までの約1カ月間が「寒中/寒の内」。日本では、統計上、大寒の頃に最低気温が記録されるので、「小寒」、「大寒」という名称は実感にあっている。節分の次の日、「立春」は、だから、実感から定義すれば、春に向けて気温の上がり始める頃、ということになろう。 □寒の頃は、特別の農作業はない。それでも、空豆とかタマネギは、肥料のやり時である。空豆は収穫期にアブラムシがつきやすい。隣のおばあさんによれば、春になって追肥すると、よけいにアブラムシに狙われる。春先の伸び始めに肥料を吸収した茎が柔らかく成長するからだろうか。だから、「豆ぁ寒の内に肥をやらんにゃわからん」というのが、おばあさんの持論である。また、タマネギに関して、父は、止め肥は1月の終わりか、遅くとも2月の始めしないと、春になって病気になる、と言っていた。たしかに、春まで肥料が効くような施肥の仕方をすると、病気になる、とは物の本にある。ただ、本には、止め肥は2月終わり頃、となっている。近所の人も、本に書いてあるような施肥の仕方をしている。しかし、2月終わりに追肥しようが、1月終わりにしようが、玉の太り方は違わないので、私は父のやり方を踏襲している。 □寒についた餅は長持ちするらしい。私の小さいころは、寒い時期に餅をつく時、「おかき」や「あられ」用の餅もついていた。いずれも十分に乾かして保存し、おやつとして食べていた。おかきは、薄く切った餅で、焼き網などで炙って食べる。あられは、賽の目切りにしたもので、ほうろく(焙烙)で炒る。ある時、テープで封印した缶が出てきた。開けてみると、あられが入っていた。どうも2、3年前、寒の頃についたもののようだった。炒ってみると、味には変化はなかった。やはり、寒の餅だ、と感心した記憶がある。 |