てつがく村の入口 | てつ人の雑記帳


村便り

村便り:2008-11-24(月) (脱穀終了)
投稿日:2008-11-25(火)
 窓の外は雨。散り残った枯れ葉が冷たく濡れている…しかし、心は久しぶりに穏やかである。やっと昨日(11月23日)、米の脱穀が終わった。イ...

 窓の外は雨。散り残った枯れ葉が冷たく濡れている…しかし、心は久しぶりに穏やかである。やっと昨日(11月23日)、米の脱穀が終わった。

イノシシの餌場となった田んぼ
 今年の稲作は終盤に《破綻》がやってきた。充実した稲穂が垂れ下がりだした10月始め、休耕田/耕作放棄田に囲まれたダブ[湿田]にイノシシが侵入した。最初は田んぼの一部に獣道ができた程度だった。その時点で稲刈りをすれば被害はわずかで済んだのだが、刈るにはまだ青かった。ところが、熟すのを待っている間に稲は次第に踏み荒らされ、最後には田んぼ全体に被害が広がった。稲穂には食べられたような跡があったので、イノシシは餌場にしたのかもしれない。また畦は、ミミズを探すため、掘り荒された。結局その田んぼでの収穫はあきらめ、農協に被害届を出した。水稲の共済から補償金が出るはずである。(ちなみに、イノシシに荒された田んぼの収量は精米に換算して、1石、すなわち150kg程度。)

稲刈り
 稲刈りは順調に進んだ。10月13日にモチ、10月17日、18日、19日、20日、30日でウルチを稲刈りした。一人で刈り取り、稲架掛けをやると、二反あまりの面積は一週間かかるのである。それから天日で自然乾燥。脱穀できる程度に乾くまでに、晴天続きだと二週間、平均的に三週間かかる。脱穀時期に来たかどうかを判断するには米を噛んでみればいいが、厳密に知りたいと思えば、農協に水分計がおいてある。水分14.5%が目安である。ところが、脱穀を始めようとしたときにまた《破綻》した。

ハーベスターの排藁装置がはずれる
 ハーベスター(脱穀機)は廃棄同然の状態にあったのをもらってから今年で三年目。正確な年式は知らないが機械としては老体にあることはたしか。11月1日(土)、脱穀の準備で機械を点検していたとき、排藁装置(脱穀した藁束をベルトに乗せて排出する装置)が、まるで枯れ葉が木から落ちるように、ぽろりと外れてしまった。外れたのは溶接固定してあった箇所。修理を頼もうにも、土曜日なので農協の農機センターは閉まっている。補助的な装置なので脱穀はできるだろう、と期待して、11月3日(月)にモチの脱穀を試みた。しかし、チェーンに運ばれて脱穀された藁は機械に残ったままになった。だから、手で除いてやらないといけない。そんなことをやっているととんでもない時間がかかるので、脱穀は取りやめにした。

 休み明けに農協の農機センターに連絡して、溶接しなおしてもらった。11月14日(金)に脱穀を始めるつもりで休暇をとった。ところが、ハーベスターを田んぼに移動させている途中で、同じ箇所がまたとれた。再度、農機センターに修理を頼んだ。その日のうちに修理はできたが、日没前までの1時間半で脱穀できたのはモチだけ。

脱穀の途中エンジンが止まる
 15日(土)、脱穀を続けたが、始めてまもなく今度は機械が止まった。脱穀するためチェーンにはさまれて移動していた藁束が三束ほど、チェーンにはさまれたままになった。最初ははさまった藁束のせいでエンジンが止まったと思ったので、藁束を取り出すためエンジンを掛けた。チェーンは少し動くが、またエンジンが止まる。それを何度か繰り返して、藁をチェーンから取り出した。しかし、藁束をチェーンから除いても、エンジンはやはりすぐに止まってしまう。仕方なく農機センターの若い職員の携帯電話を鳴らした。休みかと思ったが、その人は農業祭の仕事で市の体育館にいた。電話からの彼の指示にしたがいながら、ゴミが詰まっていると思われる箇所を開いた。小さなファンが回っているその箇所には米が詰まっていて、一部はまるで籾摺りしたような状態だった。それを取り除くとエンジンは順調に動き出した。

ベルトの交換
 しかし、しばらくするとチェーンの動きが遅くなり、それにともって脱穀胴の回転も落ちた。いくらエンジンをふかしても所定の動きに戻らない。再度、若い職員に電話した。エンジンからチェーンや胴に動力を伝えるベルトが緩んでいるのだろうから、そのベルトを締めるといい、という指示だった。しかし、彼の説明を聞いてもベルトの締め方が分からない。今日の脱穀はあきらめるしかないか、と思っていたところに、彼から電話がかかってきて、いま手が開いたからすぐにそちらに行く、とのことだった。20分後に到着。ベルトを締めてくれた。チェーンと脱穀胴は順調に動きはじめた。それを確認して彼は農業祭の会場に蜻蛉返り。しかし、彼が去ったあとすぐに、また動きが鈍くなった。会場に着いただろうと思われるころ、彼にまた電話した。彼の返事は、無理をしたのでベルトが滑っているのだろうからベルトを交換しなければならない、ということだった。明日、農業祭に行く前に、農機センターに寄ってベルトがあったら、交換する、と彼は言ってくれた。しかし、その翌日は雨。ベルトは交換してもらったが作業はできなかった。

 雨が降れば、二日ほど晴れないと脱穀できない。おまけに私はサラリーマン。週末以外は農作業のためのまとまった時間はなかなかとれない。11月も後半になると、村の田んぼで稲架が残っているのはわが家の田んぼだけとなった。わびしい風景である。

 11月21日(金)に小雨があった翌々日、すなわち昨日の23日(日)に脱穀を続行。残っているのは一反七畝ほど。従姉が手伝ってくれた。ところが、脱穀を始めるまた機械の調子がおかしくなった。例のファンが回っている箇所にまた米が溜まるのである。農機センターの若い職員に電話。どうも休日で自宅にいる気配。おそらく彼はうんざりしてたのだろうが、それでも原因箇所とおぼしきところを説明してくれた。ハーベスターの胴の上にある蓋を開けて彼の指摘したところを確かめるとゴミが詰まっていた。そのゴミを除くと、以降は機械はもう不調になることはなかった。

 しばらくすると近所のお兄さんがやってきて「一人でできんにゃ、うちの機械をもってきて手伝うで。遠慮はいらんけぇの」と言った。彼は脱穀は11月の始めには済ませていた。だから、 ハーベスターはすでに格納してあった。しかし、私がいつまでも稲架を田んぼにさらしているのを見かねてだろう、親切に、ありがたいことに、手を貸してくれると言う。翌日は、すなわち今日は、雨の予報だったので、できればその日のうちに全部脱穀してしまいたかったが、作業時間を計算すると一人ではできそうもなかった。そこで、昼まで作業をやって状況次第で手伝いを頼むことにした。

 昼までの作業から、やはり一人では脱穀し終えることはできないことがはっきりした。そこで、昼食に帰る途中、お兄さんの家に立ち寄り、加勢を頼んだ。お兄さんは奥さんと一緒にやってきて7畝ほどの田んぼの脱穀を引き受けてくれた。日没1時間前、二台のハーベスターは脱穀を終了した。

 お兄さんは帰り際「気をつかうなよ。ありがとう、だけで十分じゃ」と言ってくれた。彼には世話になりっぱなしである。従姉、お兄さん夫婦のおかげで、やっと今年の稲作が終わった。
コメント
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てつ人 ( 2008/11/29 06:39 AM )
 
ハーベスターのトラブルとイノシシ害とを比較すると…やはりどちらも深刻です。ハーベスターはタダでもらった、むしろ、庭先に棄てられていたのをもらってきた、ので、二年間使ったいまは廃棄しても金銭的には十分元がとれています。でも修理して使えるものならまだ使いたいです。修理費が高くつくようであれば買い換えますが。

イノシシ害は米の収量が減少したのも痛いですが、後始末も大変です。畦を直して、溝が壊されたため水浸しになっている田んぼの水を抜き、さらに稲藁を裁断して耕耘する…冬の間の大仕事になりそうで頭が痛いです。稲藁の裁断はいまのところ、トラクターのロータリーを地面すれすれまで降ろして、耕耘刃で裁断してやろうと考えていますが、うまく行かなければ別の方法を考えなければいけません。押し倒されてますから、焼き払うことはできません。

大根葉は浅漬けにして刻むとご飯にあいますね。僕は好きです。根をすりおろしたあの辛味も大好きです。大根は、そのつもりになれば根っこから葉っぱまで全部食べられるのでいいですね。

里芋と日本酒はたしかにあいます。醤油をちょっとつけた里芋の淡白で素朴な味がなんとも言えません。小さくて新しいものなら蒸してもいいですよ。

サツマイモもアルミホイルに包んだらどうですか? (言うまでもないか。)わが家では天ぷらにもします。
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いろは ( 2008/11/28 08:48 PM )
 
農作業とは楽あり苦ありで、でもとても魅力的で、田んぼにいるときはいい気分でいられます。
兼業だから感じられる喜びのようには思います。
日本の文化そのものを感じます。日本の文化とは、やはり農があってこそのものというのを肌で感じられます。
だからではありますが、怪我だけはしないように心がける必要があるのだなあと思います。
事故というと、主に田んぼの出入りと車への載せおろしなど、気を遣います。
僕はコンバインなのですが、手扱ぎの時はやっぱり気を遣うし、扱ぎ胴が詰まったときはカバーをあげて扱ぎ胴を回したりやっていました。
大きな機械や刃物を扱うことが多いので、やはり危険ついて回るのだなと感じます。
それにしても来年はお休みかあ。寂しいです。

てつじんさんにとっては、ハーベスタのトラブルと、イノシシの害とでは、どっちが深刻ですか?
野獣の害というと、うちの方では、鳥とモグラくらいしかなさそうです。機械は安物を使っているので、動いているとほっとしますけど、壊れたら直そうという気は少ないくらいで、元が取れていればやれやれでとっとと別の中古に手を出すような気がします。

最近はカブとだいこんがおいしくなりました。葉っぱもおいしいです。水菜もあるんですけど、水菜よりおいしい気がします。柿も相変わらず食べています。柿って以外と飽きないなあと感じます。
里芋を薪ストーブで暖めるとすごくおいしくなりました。
醤油で食べると日本酒にぴったりでした。
ただ時間がかかるので、ぐっと冷えてお昼頃ストーブに入れると夜にちょうど良くなっているようで、そのままにしておくと水分が抜けてしまうようです。ホイルをするとよいのかもです。

サツマイモも薪ストーブで焼きたいのですけど、なかなかうまくいきません。どういう種類かわからないのですが、焼くよりは蒸すとおいしい品種なのかなと想像したりしています。
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ゆうぞう ( 2008/11/28 06:09 PM )
 
 いろはさん、義兄のお父様の事故、お見舞い申し上げます。後遺症など残らぬよう、良い病院をお選びになりますよう、お祈り申し上げます。 (外科では特にその処置能力に大差があるようですから・・・)

 農作業の事故には、使用する燃料の品質が関係しているのではないかと、思います。
有機溶剤のトルエン・ベンゼンが多く含まれるアメリカ系のガソリンスタンドのものは、たいへん危険です。吸い込むと、酔ったような状態になり、いくら注意しているつもりでも、思わぬ事故に巻き込まれがちです。国産では、アポロマークがいちばん臭いません(^^)。 JOMO、ENEOS のははっきり言って、かなり臭いです(ーー)!

 てつ人さんの草刈り機で足をご自分で切られた事故も、それかと危惧しています。
人間、正常な状態で注意していれば、まず、そんな事はしません。
汗が異様に吹き出したり、異様に疲労感を覚えたりするのも、そうした有機溶剤の作用ではないのかと危惧します。 ( 私の知り合いも、焼畑の斜面を刈っていて、足を怪我されました。頭痛がするようなガソリンの匂いが立ち込めていました。)皆様、ご自愛下さい.
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てつ人 ( 2008/11/28 06:13 AM )
 
藁裁断機でけが、というのは災難でしたね。裁断機の構造を知っているので、事故の状況は想像できます。僕は草刈り機で足指を切り裂いたことがあるので、こういう話を聞くと肉体感覚的に反応してしまいます。事故以来、機械の点検をするときはエンジンを止め、耕耘機は方向転換するときは耕耘刃の回転を止めたりするようになったのですが、忙しいとついつい動いている機械に手を出したりします。けがをしたときのことを脳裏に浮かべながら…

小学校の先生で農地から1時間半離れているところに住んでいる、という条件では、兼業で稲作をするのは厳しいかもしれません。水の管理は実家の人たちにまかせるにしても、田植えの準備から田植えまで、稲刈りから脱穀までは、かなりの時間をとられます。その間は実家に寝泊まりしながら、学校へは実家から通う、という手も考えられますが。

脱穀機は、故障が連続したときは、買い換えなければいけないかな、と弱気になりました。でも、一度メーカーに出して徹底的にメンテテンスしてもうかな、と今では考えています。素人目にもあきからにおかしいところもありますから。脱穀機をもらったときも、メンテナンスを考えたのですが、農協の農機センターから出張してもらいベルトを交換しただけでした。古い機械なので、部品があるかどうか、それが心配です。
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いろは ( 2008/11/27 01:30 PM )
 
脱穀終了ということで、一段落ですね。
機械が調子悪いと来年のことをいろいろ考えることになるんでしょうか。

実は自分の義兄のお父さんが、今年の裁断作業で大けがをされてしまいました。義兄の父ということであったことはありません。
ワラの裁断機を使っての作業だったときいています。
裁断機に指を持っていかれてしまったそうです。
指だけですむか、腕もダメになるのかという重症です。
稲刈も終わってやれやれという状態であったのに、最後の最後にそうなってしまって、義兄もものすごく残念がっていました。
運転させながら、詰まったワラを取り除こうとしたとのことです。
頻繁に詰まるとか、エンジンの掛かりが悪いとかあるとどうしてもやってしまう作業ということもあるかも知れないです。
義兄は実家までは1時間半くらいということですが、随分農業に関心があるようで、今年も稲刈作業を随分やられたそうです。お父さんが大けがということで、来年からは主役でやることになるかもです。小学校の先生なんですが、どのくらい時間の都合がつけられるのかわからないですが、
岐阜の山地でお暮しで、のどかな里の風景の中での稲作をされているようで、はざ掛けをしながら作業だったとのことです。

てつじんさんも脱穀が終わってやれやれというところで、裁断作業をされるかと思いますが、最後まで気を抜かずに作業を終えて下さい。
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ゆうぞう ( 2008/11/26 11:39 PM )
 
 こんばんは。
 脱穀済んで、本当にご苦労様でした。イノシシの害といい、なかなか大変ですね。以前、牛を飼うとイノシシの害を受けにくくなるとかというアイデアは、どうなりましたか? これから、籾摺り・乾燥、(一部)精米、袋詰め、低温貯蔵・・とまだまだ、調製のお仕事が続く事と思います。
以下のように、「哲学者」福岡正信は、豪語していますが、彼の「哲学」をどう思われますでしょうか? 「哲学広場」にも、書き込みさせて頂きましたが、お返事ありません。本物の哲学者らしく、論理的なお返事お待ちしております(^^)。 

 「 単純計算すれば一年約十日も働けば、一人の人間の衣食住の最低はまかなわれるのである。年間十日働いて、三百五十日は寝て暮らせたはず、この数字は何を物語るであろうか。よく人間は生きてゆくために働くと言うが、それはうそで、自然の動物は、本来働かなくても生きてゆける、人間も同じであったということを実証できると私は確信しているのである。」
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