村便り:2008-05-04(日) (井手堰き、コンビニ問題、最後の荒起こし)
投稿日:2008-05-05(月)
井手堰きとコンビニ問題 朝8時から井手堰き。二週間前の井手堰きが最初で、今日のが二回目である。この井手に関係しているわが家の田んぼは...
井手堰きとコンビニ問題
朝8時から井手堰き。二週間前の井手堰きが最初で、今日のが二回目である。この井手に関係しているわが家の田んぼは、大町[-おおまち-各家所有の田んぼのうち一番広いもの指す呼称]の一部、2畝足らず。
この井手堰きでは私がやる《べき》ことになっている作業がある。水を川から引く水源が数メートル暗渠になっている。その中に潜っていき砂を掻き出すのが、その作業である。暗渠の横断面は、腰を落とし前かがみになってやっと入れる大きさ。真っ暗な中、ヘッドライトの暗い光を頼りに作業する。私がやることになったのは、以前は一番若いのが私だったから。今年は総勢8名のうち、私より若い者は4人もいる。しかし、暗渠に入るのは相変わらず《潜り慣れた》私。
1時間半ほどで井手堰きは終わった。いつものように、農協の肥料倉庫の前に座り雑談。2、3年前まではビールを飲みながらの話であったが、このごろは飲酒運転に厳しい罰則がつけられたので、アルコール抜き。
「村便り」で一度話題にしたコンビニの排水についての説明が、副井手頭級のお兄さんからあった。
じつは、コンビニ建設予定地と目されている場所の造成工事が4月下旬から始まった。工事現場に立てられた札には「開発行為許可標識」と書いてあり、許可の発行元は市である。「許可を受けた者」と「工事施工者」は、道路沿いの農地を買ったとされる土建会社の代表取締役である。2カ月ほどで工事は完了することになっている。
工事が始まって間もなく、私は測量をしている二人に質問したことがある。彼らは作業員とは別の服装をしていたので、標識に書いてある「設計者」の設計室の人かもしれない。コンビニが建つのか、と私が訊くと、そうだと答えた。「排水はどうするんじゃろう」と重ねて訊くと、「向こうの水路に流すそうです」と答えた。「向こうの水路も農業用水路で。こっちの水路も向こうの水路も、排水は流させん、言うた、と聞いとるがの。」私はいずれの水路にも関係している、いわば当事者だが、人ごとのように話した(むろん、私は百姓姿をしていたので、相手は単なる通りすがりの人間ではないことは分かっていたはずである)。私が、擁壁の高さ、雨水の行方などコンビニについて色々と、突っかかるような口調で尋ねたので、最後には「いったい、何を言おうとしとられるんか分かりません」と相手は言った。私は焦点が拡散した自分の話し振りを指摘され内心照れ笑いをしながら、聞きたかったのは排水の問題、と話を絞った。「こっちの井手もあっちの井手も排水を流せんのなら、そのまだ向こうの県道の側溝かの。でもあれは『水路』じゃなかろうし…」などと話すと、相手は「そんなことだから、クレは発展せんと言われるとるんです」と切り返した。「発展ゆうても、ここは[市街化]調整区[域]なんで。ここは本来は農地であるべきところなんじゃ」と私。でもそれ以上の議論する場ではないし、また、相手は仕事中なので、「お忙しいところ、お邪魔しました」と挨拶してその場を辞した。
副井手頭級のお兄さんに、仕入れた情報について話をすると、コンビニに、排水は流してもろうちゃ困る、と断って以降なにもないがの、と怪訝な顔をした。いずれ井手堰きじゃけん、そのときまで調べてみる、と返事した。その井手堰きが今日である。
お兄さんは、排水を断った経緯を井手関係者に説明した。「コンビニに近い、向こうの井手が、そがいな汚いもん[排水]はいらん、ゆうのに、わしらが、流してもええ、いうわけにもいかんじゃろうが。コンビニできても、周りにゃ、ええもんは誰もおらんで。ほいじゃが、あいつらは、何の条件もつけずに、流させ、言やがる。未来永劫流されたんじゃ、かなわん。」私も、排水受け入れについても、コンビニ建設についても、はっきりと反対だが、集まった人の内心は様々ではあろう。新道建設で削られた狭くなった田んぼを駐車場の一部として貸した人もいる。しかし、排水を流してもいいじゃないか、と言い出す人はいなかった。
私にとって疑問なのは、はたしてコンビニの建設許可は下りているのだろうか、ということである。いま現場に立っている札は「開発行為許可標識」だけである。以前に聞いた話では、今年の8月ころにコンビニができる予定であるから、そのスケジュールに従えば、「開発」が終わるとただちに建設に取りかからなければいけないのではなかろうか。だとすれば、すでに建設許可は下りている…しかし私の知る限りでは排水問題は解決していない。建設許可のためには排水の目処が立っていなければなるまい。すると、開発後の予定が確定していない状態で「開発行為許可」は発行されたのだろうか。副井手頭級のお兄さんが現場を通ったとき「工事施工者」の顔を見たので(お互い顔見知り)声をかけたら、その「工事施工者」は「お前らが反対するけぇコンビニができんじゃないか」と怒鳴ったそうである。「わしゃ、そのまま車を走らせたけぇ、聞こえんかったが、後ろからまだ何か言よりゃがった」とお兄さんは話した。素人頭の私からは疑問符が消えない。(もしこの「村便り」を読んでいる人でこうした問題に詳しい方がいられたら-あえて特定のハンドルネームは出しませんが-ご教授をお願いできないでしょうか。)
最後の荒起こし
井手堰きが散会したのは11時過ぎ。私は簡単な昼食をとって、田んぼの荒起しにとりかかった。今晩から雨が降るという予報なので、今日中に荒起こしを完了したい。合わせて2反4畝の、6枚の田んぼを夕方までにトラクターで廻った。
朝8時から井手堰き。二週間前の井手堰きが最初で、今日のが二回目である。この井手に関係しているわが家の田んぼは、大町[-おおまち-各家所有の田んぼのうち一番広いもの指す呼称]の一部、2畝足らず。
この井手堰きでは私がやる《べき》ことになっている作業がある。水を川から引く水源が数メートル暗渠になっている。その中に潜っていき砂を掻き出すのが、その作業である。暗渠の横断面は、腰を落とし前かがみになってやっと入れる大きさ。真っ暗な中、ヘッドライトの暗い光を頼りに作業する。私がやることになったのは、以前は一番若いのが私だったから。今年は総勢8名のうち、私より若い者は4人もいる。しかし、暗渠に入るのは相変わらず《潜り慣れた》私。
1時間半ほどで井手堰きは終わった。いつものように、農協の肥料倉庫の前に座り雑談。2、3年前まではビールを飲みながらの話であったが、このごろは飲酒運転に厳しい罰則がつけられたので、アルコール抜き。
(クリックで画像の拡大) 「開発行為」のおこなわれている現場。擁壁を作るための枠組みが作られている。 ながらかな傾斜地で、画像の左から右に下っている。現場の左側に新道ができており、それから右側が田んぼ地帯。画像から右に下ったあたりにわが家の田んぼがある。 |
じつは、コンビニ建設予定地と目されている場所の造成工事が4月下旬から始まった。工事現場に立てられた札には「開発行為許可標識」と書いてあり、許可の発行元は市である。「許可を受けた者」と「工事施工者」は、道路沿いの農地を買ったとされる土建会社の代表取締役である。2カ月ほどで工事は完了することになっている。
工事が始まって間もなく、私は測量をしている二人に質問したことがある。彼らは作業員とは別の服装をしていたので、標識に書いてある「設計者」の設計室の人かもしれない。コンビニが建つのか、と私が訊くと、そうだと答えた。「排水はどうするんじゃろう」と重ねて訊くと、「向こうの水路に流すそうです」と答えた。「向こうの水路も農業用水路で。こっちの水路も向こうの水路も、排水は流させん、言うた、と聞いとるがの。」私はいずれの水路にも関係している、いわば当事者だが、人ごとのように話した(むろん、私は百姓姿をしていたので、相手は単なる通りすがりの人間ではないことは分かっていたはずである)。私が、擁壁の高さ、雨水の行方などコンビニについて色々と、突っかかるような口調で尋ねたので、最後には「いったい、何を言おうとしとられるんか分かりません」と相手は言った。私は焦点が拡散した自分の話し振りを指摘され内心照れ笑いをしながら、聞きたかったのは排水の問題、と話を絞った。「こっちの井手もあっちの井手も排水を流せんのなら、そのまだ向こうの県道の側溝かの。でもあれは『水路』じゃなかろうし…」などと話すと、相手は「そんなことだから、クレは発展せんと言われるとるんです」と切り返した。「発展ゆうても、ここは[市街化]調整区[域]なんで。ここは本来は農地であるべきところなんじゃ」と私。でもそれ以上の議論する場ではないし、また、相手は仕事中なので、「お忙しいところ、お邪魔しました」と挨拶してその場を辞した。
副井手頭級のお兄さんに、仕入れた情報について話をすると、コンビニに、排水は流してもろうちゃ困る、と断って以降なにもないがの、と怪訝な顔をした。いずれ井手堰きじゃけん、そのときまで調べてみる、と返事した。その井手堰きが今日である。
お兄さんは、排水を断った経緯を井手関係者に説明した。「コンビニに近い、向こうの井手が、そがいな汚いもん[排水]はいらん、ゆうのに、わしらが、流してもええ、いうわけにもいかんじゃろうが。コンビニできても、周りにゃ、ええもんは誰もおらんで。ほいじゃが、あいつらは、何の条件もつけずに、流させ、言やがる。未来永劫流されたんじゃ、かなわん。」私も、排水受け入れについても、コンビニ建設についても、はっきりと反対だが、集まった人の内心は様々ではあろう。新道建設で削られた狭くなった田んぼを駐車場の一部として貸した人もいる。しかし、排水を流してもいいじゃないか、と言い出す人はいなかった。
私にとって疑問なのは、はたしてコンビニの建設許可は下りているのだろうか、ということである。いま現場に立っている札は「開発行為許可標識」だけである。以前に聞いた話では、今年の8月ころにコンビニができる予定であるから、そのスケジュールに従えば、「開発」が終わるとただちに建設に取りかからなければいけないのではなかろうか。だとすれば、すでに建設許可は下りている…しかし私の知る限りでは排水問題は解決していない。建設許可のためには排水の目処が立っていなければなるまい。すると、開発後の予定が確定していない状態で「開発行為許可」は発行されたのだろうか。副井手頭級のお兄さんが現場を通ったとき「工事施工者」の顔を見たので(お互い顔見知り)声をかけたら、その「工事施工者」は「お前らが反対するけぇコンビニができんじゃないか」と怒鳴ったそうである。「わしゃ、そのまま車を走らせたけぇ、聞こえんかったが、後ろからまだ何か言よりゃがった」とお兄さんは話した。素人頭の私からは疑問符が消えない。(もしこの「村便り」を読んでいる人でこうした問題に詳しい方がいられたら-あえて特定のハンドルネームは出しませんが-ご教授をお願いできないでしょうか。)
最後の荒起こし
(クリックで画像の拡大) 代掻き前、最後の荒起こし。 手前、わずかに見える荒起こしの終わった田んぼは大町。その下の3畝の田んぼにトラクターを入れたところ。落差のある右の農道からはあゆみを渡して入り、出るときは、あゆみなしで、「超速」でゆっくりとバックして上がる。 |