てつがく村の入口 | てつ人の雑記帳
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村便り:2009-01-10(土) (イノシシは今頃…)
投稿日:2009-01-12(月)

 今年の仕事はじめ。昨夕の天気予報では、深夜から雪が降り、今日は日中も雪になる、とのことであった。朝起きてすぐに外を見ると、申し訳...

 今年の仕事はじめ。昨夕の天気予報では、深夜から雪が降り、今日は日中も雪になる、とのことであった。朝起きてすぐに外を見ると、申し訳程度の雪がうっすらと積もっているところがあるだけ。空の様子も雪が降ってくるように見えなかった。今日から野良仕事を始めるつもりではあったが、外の寒さに気持ちは引けたまま。雪が降ればそれを口実に仕事はじめを日延べすることはできるが、雪が降らないのでは腰をあげざるをえなかった。

研いだ鎌
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研いだ6本の鎌。
 左の二本は普通の草刈り鎌。左から三番目は、柄の長い刈り払い鎌。柄の短い右三本は草取り鎌。三本のうち、真ん中の鎌はいつも腰にさしている。
 
とんど
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明日はとんど[本来は小正月に行なわれた火祭り]。結びつけられたテープが強い風にあおられていた。
 
荒らされた横手
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荒らされた横手[田んぼの周囲の溝]。
 右がわが家の田んぼ、左が他家の田んぼ。横手は左の田んぼに所属している。この横手にはU字溝が入れてあるので、修復は容易である。
 
??
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修復した横手。
 水はけがよくなり、溝の水位が下がったことがお分かりだろう。溝の水位が下がると、それにつれてやがて田んぼの水位が下がる。
 予定している仕事は、昨秋イノシシに荒らされた田んぼの修復作業。食い荒らされた稲に諦めはついていたが、ずっと心にかかっていたのは、壊された畦のこと。イノシシにしたい放題にさせておくと畦が駄目になってしまい稲が作れなくなってしまう、という話を聞いたことがある。イノシシがミミズをあさるため畦を掘り返し、掘り崩してしまうからである。わが家の田んぼでも、畦や溝を壊されては何度もなおした。隣が他家の田んぼである場合には、境を確認しなければならない。まだ畦や溝の形状が原状を回復できる程度に残ってたり、畦が石垣であったり、溝にU字溝が入れてあったりすれば、自分ひとりで境を確認できるが、そうでない場合には、田んぼの所有者と協議しなければならない。心にかかってはいたが、様子を子細に確かめてみることからは逃げていた。


 村に着いたのは11時ころ。昼食の時間が近いので、田んぼに出かけるのは午後からにして、ハーベスターのガソリンを抜く作業と鎌研ぎをやった。

 ハーベスターは稲の収穫後、ガソリンを抜かないままにしておいた。ガソリンはきちんと抜いておかないと、一年の間にガソリンが変質して、次の収穫期にエンジンがかからなくなる。じっさい昨秋はわずかに残っていたガソリンが《腐り》始動できなかった。

 井戸端で鎌を研ぐと寒さで身体が冷える。6本の草刈り鎌をそそくさと研いだ。


 午後は田んぼ。田んぼは、横手がつぶれて水はけが悪くなり、半ば水浸しになっていた。ともかくまずは、田んぼの取り巻く排水溝の泥を浚い、崩されているところは溝を作りなおさなければならない。ざっと確認したところでは溝は原状回復の手がかりは残されていた。溝の下流から根気よく作業をやればなんとかなりそうであった。

 作業をしながら、田んぼを荒したイノシシのことをふと思った。この寒空をやつらはどんな処でしのいでいるのだろうか。洞穴とか窪地であろうか。いくら《毛皮コート》を着ているにしても、寒くはあろう。まさか熊のように冬眠はしないだろう。だとすれば食い物はあるのだろうか。最近の新聞に、イノシシが秋にも子どもを生んでいたことが確認できる写真が載っていた。イノシシが増える原因のひとつには、温暖化によって年に二回繁殖ができるようになったこともあるまいか、との研究者の推定が記事には書いてあった。ウリ坊を連れて餌の乏しい冬を過ごすのは容易なことではあるまい。イノシシが住み処にしていると思われる、近くの冬枯れの山を見やった。やつらも必死、わたしも懸命。今年はやつらからこの田んぼを守ってみせる…今日の作業は中途で止めたが、田んぼ修復の目算がついたので、気持ちはすっきりした。
村便り:2009-01-04(日) (白菜本漬け)
投稿日:2009-01-05(月)

 白菜を本漬けするときは、塩少々のほかに、いくつかの《調味料》をふり入れる。唐辛子、昆布、するめ、柚子の皮である。その《調味料》は...

 白菜を本漬けするときは、塩少々のほかに、いくつかの《調味料》をふり入れる。唐辛子、昆布、するめ、柚子の皮である。その《調味料》は家で刻んで、白菜漬けのおいてある小屋にもっていった。

するめ
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するめを刻む。
 単調な作業を背景に、視覚や嗅覚や味覚の印象がいろいろな夢想や記憶を呼び起こす。
 
白菜漬けの素
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白菜漬けの素。
 手前は、左からするめ、柚子の皮、昆布。向こうは、左から塩、唐辛子。
 
白菜の本漬け
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白菜の本漬け。
 《素》ないしは《調味料》を各段毎に振りかけ、白菜を樽に詰めていく。
 最後に柚子の皮を刻みながら、ふと思った。唐辛子の辛味はもしかすると柚子の酸味で中和されるのではないか、と。科学的根拠があるわけではないが、経験からしてそう思ったのである。私の学生時代は全国的に大学が荒れているときだった。或る日、大きなデモに参加した。機動隊に蹴散らされたデモ参加者たちは、大都会の闇で逃げたり反撃していたりしていた。機動隊は催涙弾をデモ参加者をめがけて水平撃ちで発射した。催涙ガスがあたりに充満し、眼からはとめどなく涙が流れだした。すると、誰かがレモンを渡してきた。「汁で眼を洗え。痛みが止まる。」レモンを眼の上で絞って垂らした。すると痛みが止まった。催涙ガスの成分とレモンの酢とが反応して、その成分が無力化されたのであろうか。その経験がよみがえったのである。

 でも…… 酸っぱいのは柚子の汁であり、皮には酸味は(ほとんど?)ない。子どものころ、空腹しのぎに柚子の皮を食べたことがある。いっしょに遊んでいた年長の子どもが「おいしいけん、食べてみいや」と教えてくれたからである。じっさい当時の私にとってそれなりにおいしかったし、厚い皮は食べ応えもあった。今度はその記憶がよみがえり、刻んでいた皮を食べてみた。たしかにあの味である。子どもがそばのテーブルで本を読んでいたので「おいしいけん、食べてみんさいや」と渡した。子どもは食べたがらなかったが「まあ、話の種にちょっとだけかじってみたら」と促した。子どもはほんのわずかかじって、残りの皮とともに複雑な笑みを返した。いまの子どもにとっては、食べ物ではないようである。

 ともかく、皮は酸っぱくないから唐辛子の辛味を中和することはない、というのが正しいかもしれない。

 そんなことなどを考えながら、《調味料》を刻み、午後、白菜の本漬けをした。

今冬の白菜漬けの記事
村便り:2008-12-24(水) (白菜漬け)
村便り:2008-12-26(金) (白菜の仮漬け)
村便り:2008-12-31(水) (今年最後の村便り)
村便り:2008-12-31(水) (今年最後の村便り)
投稿日:2008-12-31(水)

白菜の水がやっとあがる(クリックで画像の拡大)白菜漬けの水が上がる。 画像では分かりにくいが、漬け物石は四個かさねてある。最初は樽一杯...

白菜の水がやっとあがる
白菜の水が上がる
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白菜漬けの水が上がる。
 画像では分かりにくいが、漬け物石は四個かさねてある。最初は樽一杯にあった白菜が、樽の底から三分の一まで圧縮されている。半開きの白菜を使ったので、隙間が多く、そのため水があがりにくかったのだろう。
 12月26日に漬けた白菜の水がなかなか上がらない。とうとうしびれを切らして、昨日、追加の差し水をして、重石をさらに追加した。最初は15kg×2個だったが、ついでもう一個追加し、さらに昨日もう一個追加したから、都合60kgの重石が載った。夕方様子を見に行くと、さすがに水は上がっていた。正月のスケジュールから考えて、1月4日に本漬けをすることになろう。


年越しソバ
 今年は蕎麦を作らなかったので、年越し蕎麦用の粉がなかった。ところが、年末になって蕎麦粉をいただいたので、それで年越し蕎麦を打つことにした。といっても、私は家族が打つのを横で見ているだけ。二八蕎麦を400g、二回に分けて、一回目はわが家のシェフ、次はわが家の子ども《名人》が打った。

ソバを切る
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蕎麦を切る。
 千葉産の、信州大蕎麦の粉を使った蕎麦を、亀嵩(島根県)の手打ち包丁で、《名人》が切っているところ。
 包丁は菜切り包丁。しかしわが家では蕎麦切り専用になっている。
 じつは子どもは幼稚園児のとき、ソバ打ちの高橋名人の技を間近に見たことがある。高橋名人が一心にソバを打っているのを大勢の人が見ていた。一番前で見ていた子どもは、何を思ったか、「名人!」と声をかけた。すると高橋名人、打つ手を止めて、子どもを見て苦笑。「こんな子どもに、名人!なんて言われたんじゃ、力が抜けるよ。」

 そのときの記憶が子どもの手を動かしたわけではあるまいが、初めてにしてはまずまずのソバを打った。


 今年一年「雑記帳」におつきあいいただき、ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

 みなさま。よいお年をお迎えください。
村便り:2008-12-26(金) (白菜の仮漬け)
投稿日:2008-12-29(月)

 仮漬け、荒漬け、下漬け、と複数の言葉を使っていたこと気づいた。本漬けに対する言葉だが、まあ、どれでも通用するか。些細なことが気に...

 仮漬け、荒漬け、下漬け、と複数の言葉を使っていたこと気づいた。本漬けに対する言葉だが、まあ、どれでも通用するか。些細なことが気になったりする。

 白菜は二日間干した。夜は小屋の中に入れた。外においたままでもいいか、とも思ったが、ひとつは雨の予報があったため、またひとつは、夜間に凍みてしまうと質が低下するのではないかとの懸念のため、取り入れた。昼間は安全か、というとそうでもない。鳥が糞を落とさないとも限らない。自然畝には鳥がよく飛来する。草の種とかの餌が、慣行畝に比べて多いからだろう。でも、そんなことを気にするわけではない。売り物にするなら、食品衛生上の管理は厳密にしなければいけないだろうが、自分が食べるものである。少々の《不衛生》には目をつぶる。

白菜仮漬け
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白菜の仮漬け。
 白菜を干すときは、剥がした外葉を敷いたうえに並べる。トロ箱は様々な野菜の収穫や保存に使うので、気持ちだけの《衛生》管理。秤はいつも近所で借りる。
 沢庵漬けでも白菜漬けでも、時期的に当然ではあるが、寒さとセットになっている。初めて沢庵漬けしたときは、雪の降るなか、吹きっさらしの小屋で作業をした。感覚的には、この寒さが《不衛生》を帳消しにしてくれるような気がする。でも、今日は、二日前の調製の日に比べれば過ごしやすい。

 漬け物のにおいが染みついた樽の中を古タオルでぬぐう。それから漬け物用のビニール袋を内側に入れてから、そのなかに白菜を詰めた。塩は白菜の重量にたいして4、5%が目安。白菜を詰め終わった樽を小屋の所定の場所に置き、落とし蓋、15kgの漬け物石を二つ重ねた。以前は漬け物石に自然石を使っていたが、使い勝手が悪いので、いまは市販の漬け物石を使っている。これで、仮漬け完了。
村便り:2008-12-24(水) (白菜漬け)
投稿日:2008-12-25(木)

 12月に入ると沢庵と白菜を漬ける。沢庵は、大根を12月中頃から二週間ほど干して下旬に漬ける。白菜は12月下旬に下漬け、その数日後に本漬け...

 12月に入ると沢庵と白菜を漬ける。沢庵は、大根を12月中頃から二週間ほど干して下旬に漬ける。白菜は12月下旬に下漬け、その数日後に本漬けをする。これが例年のスケジュールだが、今年は沢庵漬けは断念した。白菜も漬けるかどうか迷った。

 白菜は、定植してから三回ほど追肥する。白菜は肥料食いである。大根も追肥を一回する。ところが去年も今年も、その追肥を怠った。追肥の時期が稲刈りと脱穀の時期に重なるので、その時期には畑の世話が手薄になる。しかも畑作物の収穫は家族にまかせているので、ついつい畑のことが私の頭の片隅に追いやられる。白菜は二回は追肥したかもしれない。私は周囲の人たちより一週間遅く種蒔きするので、こまめに追肥して生育を促してやらないと、冬の寒さで生育が止まるまでに結球しない。大根も追肥しないと《大》根にならない。大根の場合は、追肥を思いだしはするのだが、そのうち畝は大根と草が《共生》状態になる。追肥の前に草を取らなくては、と思っているうちに、追肥の時期を逸してしまう。大根の場合、間引きも肥大に関係してくる。私は3、4㎝間隔に一条に種蒔きして、それから順次間引く。適期に間引いてやらないと、肥料を奪い合って肥大が遅れる。つまり、大根は(そして一般に根菜類は)間引くのが肥である。その《肥》も施してやるのが遅れた。

 こうして去年は大きくならない大根を漬けるのはやめ、白菜だけを漬けた。白菜は結球しないものが多かった。

(ここまで書いて去年の記事を読み返してみると、同じようなことを書いていた。)

 去年の白菜漬けは、結球しないものは最初は苦みがあった。緑の部分にはどうも苦み成分ができるようである。やはり白菜は結球しないとだめか、と思いながら食べ続けていると、その苦みがこなれてきて独特の味わいをかもしだすようになった。半結球の白菜も棄てたものじゃないな、と感心した。

 そうした経験があるので、今年は漬け物候補が全部半結球のものばかりだったが、ともかく漬けることにした。



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白菜を干す。
 干している場所は、ナル[稲架の横木]が収納してある木枠の上である。
ナルの収納2
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白菜を干す前の状態。
ナルの収納1
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青シートの下にはナルが重ねて収納してある。木枠の足はコンクリートに固定してある。
 午前中、収穫したあと、外葉をはずして洗い、トロ箱に入れて干した。ゴム手袋を忘れたので、素手で洗った。洗っている最中は、井戸水のためさほど寒さは感じなかったが、作業が終わったときには手がかじかみ、服のボタンをはめることさえできなかった。
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