てつがく村の入口 | てつ人の雑記帳
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村便り

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村便り:2007-01-13(仕事始め)
投稿日:2007-01-18(木)

 正月になってはじめての農作業。正月になるまでにやっておくべき仕事が年越ししているので、初仕事といったういういしい気分はないが、身...

 正月になってはじめての農作業。正月になるまでにやっておくべき仕事が年越ししているので、初仕事といったういういしい気分はないが、身体が仕事の流れに乗るのを渋っているような感覚は、年末年始に野良仕事から離れていたせいであり、その意味ではやはり初仕事と言えるかもしれない。

 昨夜は同僚・友人と二人で新年会と称して飲んだので、朝のうちはゆっくりと過ごし、昼食を済ませてから畑に向かった。まず草刈機を使っての屋敷の草刈り。気分的には年末に済ませてすっきりした気分で正月を迎えたかったが、年末に取りかかったものの半ばで作業を中断していた。土蔵と作業小屋が建っている以外は更地の屋敷は、表面にマサ[花崗岩が風化してできた大粒の砂]を入れたものの、数年経つと草で覆われてしまった。セイタカアワダチソウやヨモギが高々と繁った箇所はいかにも荒れ地という印象なので、草刈りを頻繁にしたいのだが、一年に二、三回が精一杯である。

タマネギの追肥と中打ち
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 タマネギは追肥した後、中打ち[中耕、すなわち、植え条と植え条との間を耕すこと]する。肥料を土に混ぜるためと、除草するためである。2回目の追肥まで中打ちをしてやると草が少なくなる。それ以降は草取りはしなくても、タマネギが草に負けるということはない。中打ちは二月始めまでにするようにしている。それ以降にやると、条間に伸び始めた根を切ってしまうからである。
 我が家には三つ鍬が三本ある。中打ちには写真のものを使う。三本の刃が柄の近くで曲がっているのがお分かりだろうか?曲がっているために、刃と柄がなす角がより鋭角になっている。直角に近い鋭角だと、刃が土に入り込んで作業しにくい。中打ちの場合、土の表面を掻く程度でいいので、写真のような角度がちょうどいい。反対に、土を起こすには直角に近い鋭角が便利である。他の二本の三つ鍬は、写真の鍬のように刃は曲がっていないので、主として土起こし用に使う。
ネズミ大根
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 採種用に選抜したネズミ大根(山口大根)。
 上列の左端に赤紫の大根がある。色と形からして赤蕪と交配したかのようである。でも、形質の変化の本当の原因は分からない。面白い大根なので、他のものとは別の畝に植えてみた。採種できたら、今度はどんな大根になるのか楽しみである。
 それからはタマネギ、ソラマメ、ニンニク、アルティショ(アーティチョーク)、ワイルド・ロケットの追肥。11月終わりに定植したタマネギは、第一回目の追肥は例年12月終わりにするのだが、今年は半月ほど遅れた。ソラマメ、ニンニク、アルティショは自然畝で栽培している。これらは自然畝で十分に育つ。ニンニクは多少小振りになるが、ソラマメは慣行畝で栽培するのとほぼ同程度の収穫がある。自然農法は不施肥が原則だが、秋に種蒔きして初夏に収穫期を迎える作物には、寒のころ一度は発酵鶏糞などの有機肥料をやる。寒のころ、という時期に確固とした根拠があるわけではない。しいて根拠をあげれば、有機肥料は、化学肥料に比べて効くのが遅いので、寒に施肥すれば、作物が冬を抜けて成長し始めるころ(2月終わりから3月始めを想定している)にじんわりと効くのではないか、といったものである。

 最後にネズミ大根(「山口大根」)の植え替え。ネズミ大根は長野県上田市の産で、種を上田市の方から一昨年いただいた。去年の初夏に採種をしたが、大根の個体数が少なかったのであまり種がとれなかった。今年は採種用に18本を選んで、他の大根と交配しにくい場所にある畝に植え替えた。信州の大根を村に土着させたいと思っている。
村便り:2007-01-02(白菜の本漬け)
投稿日:2007-01-12(金)

 正月二日ではあったが、12月31日に水が上がった白菜の本漬けをした。 12月25日に仮漬けした白菜は、当初の予定では大晦日までに本漬けにする...

 正月二日ではあったが、12月31日に水が上がった白菜の本漬けをした。

 12月25日に仮漬けした白菜は、当初の予定では大晦日までに本漬けにするはずであった。経験からすれば、漬けて三日ほどすれば水が上がる。本漬けは水が上がって三日後を目処におこなう。すると、計算上は大晦日までには本漬けにできるはずであった。ところが今年はなかなか水が上がらなかった。塩梅や重石は今までと変わらない。仮漬けしたときには水の上がりを確実にするため、差し水をする。それも従来通りであった。再度差し水をしようか、と考え出したとき、一点だけ従来と違うことに気づいた。

本漬け
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本漬け。
 ふたつに割った面を上にして樽にぎっしりと詰めていく。漬物の元は、塩、トウガラシ、コンプ、スルメ、柚子の皮である。根元に切れが入っているが確認できるものもある。荒漬けのさい、この切れ目を入れるのを忘れたのである。
 漬けるときは、右の樽に掛けてあるビニール手袋を使う。衛生上の配慮からではなく、素手で作業をすると、冷たい水で手が凍えるからである。
水が上がる
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水が上がった状態。
 本漬けした翌日、すでに水が上がった。荒漬けと違い、本漬けはすぐに水が上がる。水が上がって漬物石の下側は浸かっているのがお分かりだろうか?
 白菜は漬ける前、根元に十字の切れ目を入れ、そのうちの一つの切れ目を境にふたつに割る。ふたつに割られた白菜には、根元の芯に割れ目と直交する切れ目が残っている。その切れ目は、根元に塩が滲みやすくする。その十字の切れ目を今年は入れるのを忘れたのである。(白菜漬は、2002年から始めて7回の経験がある。しかし、漬け方はまだ身体の記憶にはなっていない ― 身についていない ― ようである。)

 白菜は漬けると、重石の重みで嵩が減り、また、塩の効果で水分が葉から浸出する。すると水が下から上がってきて、押しつぶされた白菜全体を浸す。ところが想像するに、切れ目の入らなかった根元は重石で嵩が減りにくく、水分も出にくい。そのため、今年は水の上がりが悪かっただろう。

 12月30日に仮漬けの白菜を取り出し、根元に切れ目を入れてから漬けなおし、差し水も足した。すると翌日は完璧な水の上がり具合だった。そこで1月2日に本漬けすることにしたのである。

 白菜漬は1週間ほどしてから食べ始める。1週間ほどではまだ味はなじんでいない。しかし、漬物工場で生産されて賞味期限付きで販売される商品とは違い、手作りの漬物の醍醐味は幼年期から老年期まで漬物が成熟・老熟していく過程をすべて味わえるところにある。今回はまず二週間ほど先の週末に、若い味を楽しむ予定である。
秘湯
投稿日:2007-01-09(火)

 変わった温泉に行った。秘湯とでも言うべきであろうか。 この前の日曜日(7日)、雪見の一日旅行をした。瀬戸内の雪のほとんど降らない町...

 変わった温泉に行った。秘湯とでも言うべきであろうか。

 この前の日曜日(7日)、雪見の一日旅行をした。瀬戸内の雪のほとんど降らない町に住んでいるので、子どもが雪を見たがる。そこで、冬に一度、県北や山陰側に雪見ドライブをするのが数年来の恒例となっている。雪見だけではつまらないので、食事するところを考えたり、温泉につかったりする。今年は山間の一軒宿を目指すことにした。

 国道54号線を北上し、島根県側に入ってしばらくして左折し、今度は県道を走る。朝からの雪で周囲は雪野原。県道ともなると除雪してない個所もあり、深い轍をたどるようなこともあった。県道から小川沿いの道に入ってしばらく走ると目的の温泉に着いた。小川に面した小さな宿である。

 着いたのは16時。宿の人は、冬季なので17時に閉める、という。「はじめてでてすか?」と訊かれた。はい、と答えると、泉温が35℃だが大丈夫か、と訊き返された。湯は源泉のままで加熱していないそうである。冬に湯につかるには、暖かい時期から湯に慣れておくのがいいのだが、と説明を受ける。一瞬ためらったが、せっかく来たのだから、入っていくことにした。

 浴槽は地面を2メールほど掘り下げた地下にある。褐色に濁った湯で、浴槽の底の板の間から泡を立てながら湯が湧いている。療養専用の湯なので洗い場はない。泉温が低いので、30分から1時間つかるのがいい、と説明にあった。説明書きにはさらに、高張泉[湯の成分の濃度が体液より高い温泉]なのでつかっているうちに、浸透圧で皮膚から直接、温泉の成分が身体に吸収される、とあった。湯の温度が低いので、10月から5月は五右衛門風呂に湯が沸かしてある。上がり際にその湯に使って身体を温める。40分ほどつかり、その上がり湯で身体を温めてから、寒い冬の空気の中に出た。

 温泉成分が身体に浸透したせいか、あるいは思いなしか、帰りの車の中では身体が中からぽかぽかしてくるようであった。

 ちなみに温泉は島根県の千原温泉。この温泉はホームページを開設しているので、興味のある方は、検索エンジンで調べてみてください。
村便り:2006-12-30/31(農耕の2006年は大晦)
投稿日:2007-01-06(土)

 今年最後の二日は農機具類の片づけなどをした。バインダーとハーベスター バインダーは稲刈りの後、ハーベスターは脱穀の後、ざっと清掃...

 今年最後の二日は農機具類の片づけなどをした。

バインダーとハーベスター
 バインダーは稲刈りの後、ハーベスターは脱穀の後、ざっと清掃したが、一年後にまた使用するまで格納しておく状態にはなかった。タイヤなどの泥をきれいに落とし、藁屑や籾は取り除き、燃料(ガソリン)は抜いておかなければならない。泥は錆を呼び、ゴムを劣化させる。藁屑や籾のあるところはネズミの巣になる。ガソリンを長期間入れたままにしておくと、劣化し、エンジンが始動できなくなる。

 今年は稲作は完全自立したが、まだ作業の要領がつかず、また農繁期にも人手が十分でないので(田植えは補植まで一人だけでやった)、使った農機具(田植機、バインダー、ハーベスター)は作業後、泥をざっと落としただけで、別の農作業に取りかからねばならなかった。その結果、田植機の場合、6月始めに田植したものの、格納できる状態にしたのは8月であった。稲刈りと脱穀は加勢があったが、農機具の後片付けに関しては、田植えのときと同じであった。

 私のような《通いの一人兼業農家》の場合、農作業は後片付けまでいちどきにやってしまわないと、いつまでも切りがつかない。農耕にあてる時間がかぎられているので、どうしても切迫した作業だけに追われてしまうからである。といっても、人手がないから、いちどきに終えることができない。手詰まり状態のまま、終わらない農作業が溜まっていく。物理的に溜まるだけではなく、心理的にも気がかりという形で溜まっていく。

 だから、バインダーとハーベスターを清掃し、ゴミを取り除いて、所定の場所に格納すると、憑き物が落ちたような、すっきりとした気持ちになった。

藁の収納
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 藁は、小屋の棚に収納する。藁は10束ずつを一括りにしたものを40括り納めたので、都合400束になる。もち米の収量からして藁束は600束ほどあったはずであり、入りきらなかった束は欲しいという人にあげ、また、踏み込み温床の材料として畑に積んでおいた。
 一昨年、去年と藁はネズミにかじられた。かじられると藁束は、束と垂直方向に切れ目が入ったような状態になる。一昨年は、切れ目の原因が分からず、脱穀機のせいにした。去年同じことが起きてやっとネズミの仕業であることが分かった。過去2年間はしごう[調製]する前の豆や蕎麦を小屋の床に転がしていたため、ネズミを呼び、そのネズミがさらに藁束に残っていた籾を狙ったのである。今年はネズミを呼ばないように注意したつもりであるが、結果はいかん?
使い藁
 稲作関係でもうひとつ気になっていたのは、藁。脱穀した後の藁は切断して田んぼに鋤きこむ。しかし、一部は使い藁として小屋に納めておく。使い藁は普通、もち米のものを利用する。理由ははっきりしないが、たぶん丈が長く、粘りがあるからだろう。その藁を11月始めに田んぼから屋敷まで運んだ。しかし藁の収納場所にはまだ去年の藁が残っていたので、庭に重ねた。地面からの湿気を遮るためビニール・シートを敷いた上に、藁を重ね、その上に、雨露を避るため、ビニール・シートを被せておいた。そのままで2カ月近くも経ったのである。

 去年の藁を出して、今年の藁を収納棚に入るだけ納めた。

年越し蕎麦
 31日の夜は、自宅で年越し蕎麦を打った。蕎麦粉は青森産の階上[ハシカミ]早生。軽くなった心で美味しい蕎麦を食べて、農耕の2006年が幕を閉じた。
村便り:2006-12-25(白菜の荒漬け)
投稿日:2006-12-28(木)

 午後、昨日、昼前から干していた白菜を漬けた。白菜は、まず荒漬けして水が上がったら、本漬けする。今日は荒漬けである。

白菜を干す
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白菜を干す
荒漬け
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荒漬け
 真ん中の桶の上に置いてある外葉は、手前の桶のふたにするためのもの。外葉でふたをして落としぶたを置き、その上に重石を載せる。真ん中の桶はすでに重石まで載せてある。
 ちなみに、一番奥の桶は、沢庵漬。
石臼を重石に使う
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追加の石は思案の結果、石臼を使うことにした。形状といい重さといい、ぴったりだからである。ただ、洗うのが面倒であること、また、石臼は、いまは使っていないが将来使う可能性を考えて、漬物のにおいをつけたくないこと、のふたつの理由で、ビニール袋に入れた。
 午後、昨日、昼前から干していた白菜を漬けた。白菜は、まず荒漬けして水が上がったら、本漬けする。今日は荒漬けである。


 白菜は二日間干した(実質は丸一日)。母は白菜を二日ほど干してから荒漬けしていたが、私がやりだしてからは干さずに漬けていた。ところが、三年目の去年、1月終わりに漬けた白菜の味がよくなかった。旨みの抜けた青菜の塩漬け、といった味だった。何が原因か特定はできなかったが、干さなかったためではないか、と推測し、今年から漬ける前に干すことにした。

 なぜ干すのか、私ははっきりした理由は分からない。沢庵漬にする大根の場合、干すと甘味が増す。白菜を干すのはわずかな期間だが、大根と同じように甘味が増すのかもしれない。あるいはまた、葉の表面や切り口が硬くなり、葉の中の旨みが抜けにくくなるのかもしれない。

 昨日と今日は晴天だった。だから白菜はたっぷりと日差しを浴びたはずである。また、明日は雨の予報。すると、漬けるのは今日の午後しかない。早めに職場を退出し、16時すぎから作業を始めた。

 白菜の数は19個。それを二つ割りにしているので、38片。重量にして48kg。個数、重量とも今まで最大である。荒漬けには50リットルの漬物桶を使っていたが、今年はそれに入りきらなかった。そこで40リットルの桶も使って、二つの桶に荒漬けした。

 今までは荒漬けの重石を16kg×2個の32kgにしていた。ところが、今年は桶が二つになったので、重石が足りなくなった。経験からして、16kgの重石ひとつでは、水が上がりにくい。あるいは、上がらないかもしれない。ともかく漬け終えると暗くなったので、数年前まで使っていた自然石をさらに重ねるか、あるいは漬物石を買い足すか、明日までに考えて結論を出すことにして、帰宅した。

 白菜漬の詳しい説明は、「白菜漬」(2003年1月5日の記事)を参照してください。はじめて白菜を漬けたときの体験談ですが、やり方や塩などの量は、干すことを除いては、今でも変わりません。
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